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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太




 「恭子、家着いたって!よかったぁ」


 午前五時手前、安堵した様子の夏木がほっと胸を撫で下ろした。

 三時過ぎに不機嫌丸出しの武藤が家を飛び出し、追いかけると騒いでいた夏木を男三人で説得していた。

 村尾が行くということで合致し大人しくなったものの、心配は心配だと落ち着かない様子だった。


 この辺は道が複雑だから迷っていたのだろうか。随分と遅い帰宅だ。

 家がどの辺かは知らないが、疲れたのだろう。村尾もそのまま帰るそう。


 流れで解散になったとして、空まで帰ると言わないだろうか。いや、言うだろう。どうやって止めようか。


 「鏡堂ー、俺ら泊まってっていい?朝だけど」

 

 ナイス斎藤!!むしろ心を読んだのかもしれない。

 

 「何泊でも泊まって行ってまじで」


 慣れさせる作戦だからな。


 「キャー!お泊まり会!?みんなで!?楽しいね!」


 夏木が乗り気なのも助かる。


 「斎藤は何泊する?荷物取りに行こうかな」

 「飽きるまで」

 「俺は帰」

 「え!?帰っちゃうの?私と斎藤置いて帰っちゃうの?」


 夏木はこっちの事情を知らないはずだから、純粋に楽しいことに釣られて協力してくれているのだろう。

 助かる。


 「何日もいたら悪いでしょ」

 「うん、確かに」


 事情を知らないから空の言葉に従ってしまう。


 「迷惑?」


 頼みの斎藤に視線を送ったら跳ね返されてしまった。

 失敗するなよ、俺!!


 「迷惑じゃない。毎日いて。寂しいから」


 本音だ。本当にそう思ってるし、帰られたら俺が辛い。


 「寝る」


 ずっと勉強し続けていた優が離脱し、貸している部屋へ消えていった。


 「藤ノ木はどんだけいんの?」

 「んー、ほぼ毎日。でもあいつ空気だから。存在感ない」

 「んじゃー毎日いよ。な?夏木」

 「うん!毎日いる!ね!空」

 「……うん」


 「鏡堂に勉強教えてもらって、首席横取りしなきゃなー」

 「だから俺じゃないって。優なの!一番は!」

 「同じだろ。一番も二番も」

 「同じでたまるか!あいつを抜かすのが俺の生き甲斐なの!」

 「抜かせたことあんの?」

 「ない!」

 「自信満々に言うことじゃねえ。ウケる」


 「空も頭いいんだからねー」

 「あーなんか、うっすら知ってる気がする」

 「斎藤より頭いいんだからねー」

 「それはないだろ」

 「試験何点だったの?」

 「947」

 「空は?」

 「902だったかな」

 「あーー惜しい!!抜かせるからね!頑張ろっ!」

 「抜かせるかな」

 「斎藤だよ?抜かせるよ」


 「夏木、俺そんな馬鹿っぽい?」

 「馬鹿っぽいっていうか、馬鹿でいてほしいというか」

 「なんだそれ」

 「勉強できるようには見えないんだもん」

 「褒めてるよね?あざーす」

 「褒め…んん?まぁいいけど」


 空は環境さえ整っていればどんどん吸収していくから、勉強できる人に囲まれていればもっと伸びるはず。

 次はカンニング騒動なんか起こさせない。実力だって証明したからな。その都度行われる小テストでさえ手を抜くことなく対策していれば、教師からの印象好転するだろう。


 「ふぁ眠い」

 「俺も。鏡堂ー布団貸して」

 

 「準備してくるから待ってて。部屋一個ずついる?」

 

 一応女子がいるから聞いておく。

 部屋自体はあるからな。


 「…空と寝る」

 「…俺も、空と寝る」

 「斎藤はダメ!私の空だから」

 「うわーー。ハレンチー。避妊はしろよ」

 

 斎藤の二の腕に真っ赤な手形が付いたのはここだけの話。


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