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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太




 「つまり、空についてだけど」


 まるで今、空のことを話していたかのように急に話し始める。

 食事を終えてから自習し続けて数時間経って初めての会話だ。

 どの辺がどう詰まるのか教えてほしい。


 「ん」


 頭では空のことを考えて無意義に指先だけ動かしていたのだろうか。それとも、きちんと勉強しながらでも考え事ができるように作られているのか。

 幼少期から天才、異才、秀才と『才』が付く言葉は俺のためにあるんじゃないかと思うほどよく言われた。そんな俺よりも遥かに賢く、優れた才能を持つ優だから、俺の想像では足りぬ力を秘めているかもしれない。

 正直、俺はもちろん天才だし、賢いけれど、理屈で表せる範疇だ。ミスもするし、予習復習にかける時間が人より長いだけ。

 比べて、優はコンピューターのように一度頭に入れてしまえばコピーアンドペースト出来てしまう。

 生まれ持った能力が違うのは分かりきっているけれど、機械じゃないのだからいずれ間違うだろう。俺はその時が来たら、誰よりも優の近くで大声で笑ってやるんだ。


 「来週の火曜日、学校に行く用がある」


 ん?話飛んだ?余計なことを考えていたせいで聞き逃したか?


 「午前で終わるから」


 思考停止してすぐに返事をしなかったから、聞き逃したまま話が進んでしまった。今更聞き返すか?


 「午前中なら、空、家にいるかな」


 どうやら話はしっかり繋がっていたみたいだ。ただお話するのが下手くそだっただけで。


 「さあ。デートしてるかもしれないし、連絡取れないからってアイドルの部屋に入り浸ってるかも」


 恋愛にまっすぐな高校生にありがちな休日の過ごし方を伝えると、少し悩むように頬杖をつく。こうして人間っぽく悩む姿は珍しいかも。


 「そっか」


 数分の沈黙後に返ってきたのはなんの結果もない感想だった。




 夏休みは夜更かししてもいいという学生ならではのルールを行使して、外が明るくなるまで勉強を続けた。

 別に好きでやるんじゃない。目の前の天才が続けるから、放棄する選択肢がない。それだけ。


 

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