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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太




 で、忘れてはいけない本題。いつ話そうか。

 みんながいる前では話せないからどうにか空だけ引っ張りたいんだけど。



 「藤ノ木はいつもどうやって勉強してるの?」


 村尾の質問にみんな興味津々。注目されて良かったな。

 学年首席の優に勉強方法なんか聞いても何の参考にもならないぞ。


 「教科書読んで、解いて、答え合わせ」

 「それだけ!?」


 ほらな。

 コンピューターみたいに一度読み込んだ情報は正確に把握するから、今までこいつに勝てたことがない。数学、英語、国語、なんでも、全部一位。生まれつき脳みその作りが違うんだよ。


 実技では勝てるんじゃないかと頑張ったけれど、体育も音楽もセンスがよろしいって褒められているところを何度も見た。


 ただ一つ勝てることがあるとしたら…。


 「逆に苦手なことあるの?勉強できて運動できて…」


 「料理とか、演技とか」


 料理だけ。それ以外は勝てないけれど家庭科なら俺の方がかなり上。だと思う。

 やろうとしてないからできないだけなのかもしれない。やればできるなら多分勝てない。


 けどまぁ、優に勝つために生きてきた感あるから、優の苦手分野で勝負するんじゃなくて、得意分野で正々堂々と戦うぜ。

 あっちは勝負してる気なんてさらさら無いだろうけど。


 「料理かぁ。俺も苦手だわ…。男子はともかく、夏木ちゃんと武藤さんは得意なんじゃないの〜?」


 俺は得意だけどな。


 「私もお菓子なら作るよ。自分で食べたいから。恭子は練習中だもんね」

 「アカリが何でも作ってくれるからあたしはいいの」


 「夏木ちゃんがよく持ってきてるドーナツとかマドレーヌってもしかして…」

 「あれは買ってる!手作りって出来立てが一番美味しいからその場ですぐ…」

 「全部食べるってこと!?」

 「……たまに恭子とかお母さんにお裾分けしてるから!1人でじゃないもん」

 「だとしてもすごい食べるじゃん…いつもお昼ご飯、お菓子かドーナツだし…。体型維持すごいね…。会話だけ聞いたらおデブだよ」


 村尾のストレート発言に女子軍が大暴れしはじめたのは言うまでもない。

 いつも夏木に猛アタックしている割に結構言うこと言うんだな。



 「空、ちょっといい?」


 A組トリオが騒いでいる様子を見て微笑んでいた空を呼んだ。



 「あぁごめん、もっと早く言おうと思ってたんだけど」


 あいつらのストッパー役として優を置いて二人で廊下に出た。


 「やっぱ現実的じゃないし人に迷惑かけたくないからやめとく。本当にやばくなったら自分でなんとかするよ」


 ……。



 「やばくなったらって、どれくらい?」


 「………」


 「俺からしてみればもうとっくの昔にやばい状況突破してるんだけど」


 「……そうかな。なんだかんだ生きてるしやろうと思えばやり返せるよ」


 「…やり返す気なんてないんだろ。殺されたらそれでいいやって、思ってる」


 「思ってないよ」


 「思ってる。やり返すタイミングはたくさんあったはず。けど、いつも黙って耐えてるんだろ」


 「その親切心、いいと思うけどもっと人選びなよ。俺なんか助けてもなんの得にもならない」


 話を逸らそうとしても無駄だぞ。


 「なぁ空。今楽しい?」


 「…まぁ人並み程度には」


 「これから先はもっと楽しくなる」


 「怪しい薬売ってるみたい」


 「逸らすな!」


 「…逸らすだろ。普通に」


 「まじでさ!意地になってないで人を頼るとか甘えるとか愚痴を言うとか!」


 「愚痴って何が変わるんだよ。そんなんで状況が変わるなら誰も苦労しねぇだろ。助けたいとか心配とか、感謝はしてるけど頼んでねえからこれ以上首突っ込むな」


 「何でそんなに頑固なんだよ!クソが!」


 「お前も十分頑固だろ!」


 「お前よりはマシだ!」


 

 ついつい大きな声で怒鳴ってしまったけれど、空も空でかなりでかい声。

 頼りないストッパーは全く役に立たなかった。


 「どうしたの?喧嘩?止めに入っても殴らないでね…」


 そーっと割って入ってきた村尾はやさしーく俺の腕を後ろへ引いた。

 反対に優は、空の両腕を押して数歩下がらせている。


 「まじで腹立つ!なんであいつあんなに頑固なんだよ!どうにかして!」


 『まぁまぁ』と宥める村尾に八つ当たりしてみるが全然スッキリしない。

 確かに愚痴っても何も変わんねーな。


 「あのクソ坊主、半径50メートルくらい接近禁止令出しといて」


 空は空で優に余計なこと言ってるし。50メートルって距離とりすぎだろ。


 「空、どうしたの?」

 「クソ坊主がしつこいんだよ。終わった話をいつまでも」

 

 「いつ終わったんだよ!!まだ終わってねえから!俺はしつこいぞ!!」

 「あーはいはいうるさいですね黙ってください」


 「二人こんなに仲悪かったの?今までよく喧嘩しなかったね」


 「俺が怖くてびびってたんだろ!俺はしつこくてかっこよくて強いからな!!」

 「声がでかいのだけは認めてやるけどうるせぇだけだから黙れや」


 「何一つ噛み合ってないし、しつこいのしか心当たりないよね…」

 「鏡堂って優等生のくせに馬鹿っぽい部分あるよね」

 「なんか、一周回って仲良いのかもしれない。だってほら、」


 「死ねクソ坊主」

 「誰がてめぇのために死んでやるかばーか!」


 「誰も押さえてないのに、あの距離で言い合ってるよ」

 「言葉のチョイス、小学生か」



 「ほっといても大丈夫そうだね。恭子デートしよっ!駅前のカフェ、新作出たんだよ〜」

 「まーた甘いもの食べるの?太るよ??」

 「半分こしよっ?」

 「んー、あんたは?」

 「えっ!?誰?俺?」

 「そーでしょ」

 「え!行く!夏木ちゃんかっこ武藤さんとデート!」

 「なんであたしがかっこなのよ。どー考えてもあんたがかっこ枠でしょーが!」

 「もー誰もかっこじゃなくていいよ〜。空〜私たち先行ってるから、後から来てね〜!駅前のカフェだからねー!」


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