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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太



 勉強そっちのけでカラオケに行く雰囲気になってしまった。俺は興味ないから行かないと言うが「ノリが悪い」だの「音痴」だの言われて腹が立つ。遊ぶ暇があるなら勉強しろよな。


 「どこのカラオケがいい?みんな家どっち方面?」

 「安ければどこでもー!」

 「ゆーてみんな電車通学じゃん?駅のとこでよくない?」


 A組の3人が場所決めで盛り上がっている中、空が口を開いた。


 「バイトだからまた今度誘って」


 盛り上がり組をよそに教材をスクールバッグにしまい、すぐにでもそこから立ち去りたいように見える。

 不自然な様子に直感で嘘だと感じた。


 「え!?バイトなの!?何時から?」

 「18時」

 「すぐじゃん!ショック!!空の歌声聴けると思ったのに」


 夏木の残念そうな表情に背を向け帰ろうとする空を追う。


 「なぁ、本当?」


 廊下に出てから肩を掴んだ。

 デリカシーがないと言われても無神経だと言われても関わるって決めたから、嘘をつく理由を知りたい。


 「……」


 今にも『は?』と言いそうな目つきに、間違ったかと思ったがすぐ視線を落としたことでやはり嘘だったのだと分かった。


 「怖いんだけど」

 「何が?」


 「なんでも見透かしてます的なその目」

 「そんな目で見てねえよ。ただ、嘘だろうなってことはなんとなく」


 話を聞くと、バイトの稼ぎだけでは遊ぶ余裕がないから、みんなが気を遣わない形で帰りたかったのだと。


 「家は大丈夫なの?」


 バイトが嘘なら家に帰るのだろう。正直、カラオケ代くらい奢れる。ただ空のプライドを傷付けそうで容易に提案できない。

 かと言って素直に家に帰すのはプライドや自尊心を無視してでもしたくない。

 

 「お前に心配される筋合いねえよ」

 

 確かに空から言わせればそうかもしれない。でも心配ってのは頼まれてするもんじゃねえから。


 俺が言い返せば喧嘩になる。そう分かるから少し黙って考えよう。なるべく空が家にいる時間を少なくできる方法を。


 「空、部活は?軽音。行かねーの?」

 「ずっと行ってないんだから今更行ったって何にもならない」


 俺との会話が怠いのか、呼び止めたことに怒っているのか、心底うざそうな顔をされているが、俺にとってそんなことは問題じゃない。

 金を使わず、家に帰らせる時間を遅らせる…。尚且つ、うるさいあいつらも一緒にいられる方法…。


 「俺ん家来る?」

 「行かない」


 一生懸命考えた結果を即答で断られると悲しくなるな。


 「おーい、鏡堂、どした…ってまだいたの?バイト遅れるよ???」


 戻らない俺を不審に思った村尾が教室から出てきた。


 「こいつ、バイトの日勘違いしてたんだって。だから今から部活行こうぜって話してたとこ」

 「は!?」


 息を吸うように嘘をついたことに俺自身もびっくり。一番驚いているのはもちろん空だろうけど。


 「部活?なんで?カラオケは?」

 「俺も空も財布忘れたからタダで歌わせてもらおうぜ」


 そんな勝手が通用するのかは知らないが俺や村尾も体験入部ってことで練習させてもらう体で行けばどうにかなるだろ。


 「行くなんて誰も…」

 「いーーから。そこにいるだけでいいから家に帰るのはその後」


 反論の余地すら与えず強行突破。村尾と夏木は適当に楽しそうなことチラつかせておけば付いてくるし、優や武藤も腰巾着だから勝手に付いてくる。

 そんで、帰りは空の家に付いて行く。家庭の事情なんか知ったこっちゃない。土足で踏み荒らしてやる。


 「え!軽音部!!?行く行く!!楽しそう!!」


 案の定、夏木と村尾のテンションはぶち上がり予定変更に成功した。


 空の機嫌が悪くなろうがなんだろうがどうでもいい。嫌われても付き纏うからな。

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