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君がいたから  作者: HRK
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side 武藤 恭子





 あたしは絶対に、丹羽大空を許さない。


 他人ヒトの中間試験の結果に泣いてくれる優しい親友に寄り添うどころか、『ひとりにして』なんて。

 

 「空だって、悔しいはずなのに。全然辛そうな顔見せないの。酷いよ、先生たち、みんな最低だよ」


 「うん。そうだね。…そうだよね」


 「辛いから、ひとりになりたかったんだと思う。でも、…でもさぁ。私にもその辛さ、分けてほしかった」


 彼女を泣かせておいて、本人は知らん顔。自分だけが辛いって?ふざけんな。

 アカリがどんな気持ちで泣いてくれてると思ってんだ。あいつがアカリの前でだけでも辛そうにしていれば、この子がこんなに悲しい思いをしないで済んだのに。


 「…頑張ってたのに。すごくすごく、頑張ってたのに、私に謝るんだよ。無駄にしちゃってごめんねって。空が謝ったら、先生たちが正当化されちゃうじゃん」


 不良だから、急に点数が上がったら誰でも疑ってしまうのはよく分かる。あたしみたいにあいつが頑張ってる姿を見ていない人なら、カンニングしたって決めつけてしまうのも仕方ないのかなって思う。


 けどさ。隣の人の回答を丸写ししたって、自己採点した時の点数にはらならないわけでしょ。

 カンニングペーパーを持ち込んでコソコソやっていたらその場で指摘されるでしょう。


 先生たちがやるにはあまりにも理不尽で汚いんだよ。問題児で嫌われてるのかもしれないけどさ。やっていいことと悪いことの区別も付けられない大人が教師なんてやるなよ。


 そんな奴らを、あいつは正当化したんだ。彼女を泣かせて自分の心を守ったんだ。


 あたしは丹羽大空を絶対、絶対に、許さない。







 「武藤さんおはよう。なんだかいつにも増して顔が怖いよ」



 可愛い可愛い大親友が傷付けられて学校どころではないあたしに無神経にも話しかけてくる奴がいる。



 「…夏木ちゃん大丈夫かな…。空もまだ登校してないみたいだったし…」


 「クソヤンキーはあんなの痛くも痒くもないんでしょ。頼むからあいつの名前出さないでくれる?」


 「えぇ…。怖ぁ」



 空って名前を聞くとイライラして仕方ない。一番悪いのは受験資格を剥奪した先生であって、あくまでクソヤンキーは被害者なのだと頭では分かっているつもり。

 でも、彼女を泣かせていい理由にはならないのよ。


 「あっ、夏木ちゃん、おはよう」


 無神経ボーイ村尾の掛け声も心なしか元気がないように聞こえる。


 「アカリ。おはよ」


 「おはよ!今日の一限なんだっけ」

 


 あからさまにカラ元気で頑張ろうとするアカリにため息が漏れる。


 「英語だよ!俺と予習デートとか、どう?ロマンチックに図書室で」


 「どういうこと?意味分かんない。あ、課題やるの忘れてたー」


 村尾も気を遣っているのか、いつもより遠慮気味。

 優等生なアカリが課題を忘れることなんて滅多にないのに、わざとらしく『話しかけないで』オーラを纏って教科書を広げた。


 「…武藤さん、怖いってば。スマイル、スマーイル」


 村尾が作って見せた笑顔だって硬いじゃない。二人とも無理に笑おうとして馬鹿みたい。やってること丹羽とおんなじだっての。


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