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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太



 悔しいとか。悲しいとか。感情論なんてとっくに過ぎてそこまで思い詰めてしまっていたのかと、自分の愚かさを知った。


 心臓がドキドキと嫌な音を立て、柄にもなく焦った。空が相手じゃなかったら笑い飛ばせていたかもしれない。



 「こんな頑張って生きる必要あるかな。人って何のために生きてるの?教えて」



 十何年しか生きていない奴が、そんな絶望を抱くな。楽しいことや生きていて良かったと思えることが必ずある。生きる意味なんて、考えるな。



 「…しんどいなぁ。こんなときでも飛び降りる勇気はないんだよ。…眠るように死ぬにはどうしたらいい?」



 涙を笑顔で隠すように喋らないでほしい。怒りの沸点を越えすぎて一時的にそう思ってしまっただけだよな。死にたいなんてそう簡単に出てくる言葉じゃないということが分かるから、落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせた。


 今この手を取らないと本当にいなくなってしまうような気がした。うまく頭が回らない。何か、何かないか。何かしらあるはずだ。空を地獄から救い出す何か。



 ………。



 「一緒に住もう!」


 「……………。」



 「家に居場所がないなら一緒に住めばいいじゃん」



 頭では分かっている。何言ってんだ俺、って。そもそも家の話をしていないしそれで何が解決なんだよ、アホか。



 「…は。現実的じゃない。死ねクソ坊主」




 ………だよな。やらかした。せっかく壁を壊せたかと思ったのに、より頑丈な壁を作られてしまった。




 *




 「死にたいって、そう言ったの?」



 翌朝、優と登校中に昨日のことを相談した。馬鹿なの?って咎めてほしい。



 「死にたいっていうか。楽に死ねる方法教えてって。目が死んでた」


 さすがの優でも多少感情が見える。あいつの環境が酷いのはずっと知ってるけどここまでくると、どれだけ冷静な人でも狼狽えるのだと知って少し安心。


 「…変に励ますより良かったんじゃない。馬鹿なこと言ってるわーってあっちも少しは冷静になっただろうし」


 いつもみたいにゴミを見るかのような目で蔑んでほしかったのに。こんな時ばかりまともなことを言う。


 「けどさ、結構ガチだったんよ。目が」


 「なら本当に一緒に住めばいい」


 「は?」


 「……」


 "お前が言ったんだろ"と言われている気分。


 「………親に家くれって言ってきなよ」


 「いや…え?ばか?」


 優は俺より狼狽えていたらしい。





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