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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太


 「来週から始まる中間テストの範囲が分かりません」


 ギリギリになって泣きついてきたのは当然村尾だ。


 「授業中何してんだよ」

 「聞いてたはずなんだけど…寝てたみたい」


 クラスによって範囲も難易度も変わるから一概にこことは言えないんだがクラスに友達がいないんだろう。S組の範囲を教えておけば間違いはないはず。


 「来年こそはS組に戻るからさ!多少難しくてもやってみせるよ!な!空!」


 仲直りしたのかは知らないけど今日も別に元気ではなさそうな空にもS組の範囲を教える。SとFじゃ授業のペースに相当な差があるはず。こんなの言ったって無駄だろうけど。


 「相変わらずS組の教科書はやばい。呪文じゃん」

 

 呪文ではないけど村尾には難しいかもね。A組くらいが合ってるよ。


 「微分積分?」


 空は俺の汚いノートの式を見ただけで数学の単元を言い当てた。


 「習った?」

 「クラスではまだ」


 「え!?なんで分かったの!?」

 「見たことある記号」


 これが解けるようになったら強いな。中間試験が楽しみだ。





 暗記物は教えようがないから主に英語、物理、化学、生物、数学を教えているのだが村尾はともかく空はとにかく吸収した。今までの間違った勉強法をもっと早い段階で改善できていたら間違いなく俺たちと並ぶ学力だった。俺自身、勉強は金と同じくらい価値のあるもので蓄えれば蓄えるだけ人生を豊かにするものだと思っているから、その可能性を何年も奪い続けてきた空の親に腹が立って仕方がない。

 悲惨な状況でもここまで頑張ってこられた空だから、違う環境でやっていたらこんなに苦労することはなかっただろう。

 これから先は正しく努力して、最低限の苦労で済むようにしていこうな。


 

 「どうしよう…。もうすぐ中間テストだ…。終わりだ…これ以上クラス下がったら生きていけない…。あ、でも夏木ちゃんと一緒に落ちるならそれもありだな…」


 テスト期間だというのにバイトを休むことなく真面目にコツコツ貯金する空はとんでもない努力家。俺には真似できない。シフト面でリミッターを設けないと何があるか分からないからと担任が毎月の時間数を決めているらしい。いい奴だな。


 「空、明日は?」

 「明日はアカリと勉強する」


 「ハッ!?アカリ!?名前で呼んでる…」

 「クラスで聞いてるだろ」

 「…それもそうだ」


 相変わらずのアホトーク。楽しそうだな


 「村尾は?」

 「俺もアカ…鏡堂君と勉強したいです」


 殺人眼で睨まれ急いで言い直す村尾と空はなんだかんだ仲が良い。今度、空のバイト先に夏木と村尾で偵察へ行くらしい。そんなことしてる暇があるなら勉強しろよな。


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