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君がいたから  作者: HRK
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side 明村 未来


 「空!今日も昼飯食べないの?」


 空が何かを食べているところを見たことがない。昼は寝てるか雑談しているかの二択。お昼ご飯という概念がないのかもしれない。


 「ん。今日は呼び出されてるからそっち行く」


 最近やたらと呼び出されてるけど誰に呼ばれてるのかを教えてくれない。鏡堂ならそう言うはずだから先生か、他クラスの友達?でも同中の鏡堂と藤ノ木はS組だし…。


 「…怪しい」


 俺以外にも気になっている奴がいるらしい。これは調査案件だな。



 日常的に早弁している俺たちは実は昼飯を食べなくても大丈夫だったりする。腹が減ったら校舎内に設置されているパンの自販機に頼ればいい。

 気付かれないように空の後をつけて辿り着いたのはA組。いつメン一同首を傾げるが、教室を覗いて納得。


 「あの子、空を毎日のように呼び出してた子じゃん。まだ懲りてねぇんだ。空も毎回行ってあげることないのになぁ」


 陰でA組のアイドルと言われていて数日前には痴漢騒ぎで少し有名になった夏木という女子と話しているのだが…。


 「いや、近くねぇ?」


 恒例の告白というには距離が近すぎる。


 『ね、見て?どう?』

 『きれい』

 『でしょ!うまく撮れたんだ~!』


 空の表情は見えないものの向かい合って話すアイドルの笑顔は、対友達に見せるものというより…。


 「…まさか、空のやつ抜け駆けしたわけじゃないよな」

 「まさか。あんなに断ってたのに」


 いや…。


 『夏木ちゃん!!空と付き合ったままでいいから俺とも付き合って!!空公認ならいいよね!?』


 「おい!!付き合ってんじゃん!」


 なんかうるさい奴に絡まれている空とアイドルを横目に小声で騒ぎ出した。おいおい聞いてねぇよ。そんなに話したくねぇのかよ。


 『なんでいいと思ったの?もしかしてバカなの…?』

 『夏木ちゃん!チクチク言葉はだめだよぉ…』


 「戻るぞ」

 「えっ。問い詰めないの?」


 「あっちが話したくないなら無理に聞くのもアレだろ」


 高校生にもなってふてくされて教室に戻った。…だって。進級した途端、まるっきり他人みたいじゃん。



 *



 「おい、空ぁ!彼女できたんなら言えよ!」


 俺は話したくなくて突っ伏していたけど他の奴らは、空が戻ってくるなり質問攻めを始めた。


 「ごめん、言う必要ないと思って」


 言う必要のないことをA組のあいつには言うんだな。


 「なんでそんなこと言うんだよ!寂しいだろ!」

 「そういうもんなの?あんまり広めたくなくて」


 あのうるさい奴に言う方が広まるだろ。


 「で、いつから付き合ってたんだよ!」

 「もういいだろ。こういうの苦手なんだよ」

 「そんなこと言わずにさ…」


 「うるせぇな!本人が話したくないって言ってんだから黙れよ!」




 …。



 「は?何キレてんの」


 俺、超めんどくさい奴だ。二年になってから距離が開いてこのまま離れるのかな、嫌だなって思っていたのに。逆に離れられるようなこと…。


 「保健室行く」


 逃げるように教室を離れて頭を冷やす。

 空に彼女ができるなんて超いいことじゃん。なのになんで俺…。


 こんなことになるなら呼び止めなければよかった?いや違う。呼び止めるのは大前提で、俺が勝手に落ち込んで溝を作ったんだ。勝手に俺が近付いて、勝手に俺が呼び止めて、俺が勝手に離れた。空は何もしていない。俺の歪んだ独占欲がそうさせている。


 あとで謝らないと。


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