side 丹羽 大空
みんなが知っているような歌をワンコーラスも歌わされてこっぱずかしい。二度と来るか。
「すごい!これは!才能だ!ぜひ入部してくれ!!」
部長や他の部員から謎の拍手を浴びて入部してくれって…。
「丹羽くんは一応部員ですよ!」
チビが余計なことを…。
「来たことはなかったけど、僕のバンドメンバーなんです!」
来なくていいっていうから入ったのにこんな展開アリかよ。いや、なしだろ。一人でボケツッコミをして何が楽しいんだ。俺はやらん。絶対にやらん。
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「なんでやらないんだよ。やればいいじゃん」
「歌を褒められるなんてすごいことなんだぞ?」
この人たちに話したのが間違いだった。ただの愚痴として聞き流してほしかったのに…。
「じゃーあ、今からカラオケな」
また行ったことのない場所へ連れて行かれるのか。留守番していたい。
「一番点数低かった奴の奢りな」
金ねーし。そろそろ校則なんて無視してバイトしねーとな。いつまでもこの人たちの世話になるわけにはいかないし。
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「お前やっぱ歌った方がいいぞ?いや、歌え?先輩命令」
初めてのカラオケ大会、何故か優勝した。機械ぶっ壊れてるんじゃね。




