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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太


 空の変貌ぶりに驚いて思いっきり言い過ぎてから、空がどんどん不良になっていった。数週間会わなかっただけでなんか身長高くなってる気がするし、明らかに気が強くなってる。F組のチャラ男である明村とかいうやつと打ち解けて授業中にもかかわらず大きな声で喋っていると教師がぼやいていた。

 雰囲気や授業態度は悪くなっているのに、何故か成績は良くなっているのだと風の噂で聞いた。小テストや中テストで満点だった時にはカンニングを疑われ再テストを受けさせられたらしいが何度やっても満点。今まで眠すぎて受けられなかった授業が嘘のように寝なくなって、喋っているけれど問題には答えられるって。どんな魔法だよ。

 けど俺は不良のあいつなんて絶対認めない。根暗に戻れとは思わないけどせめて普通になれよと。あんなの俺が知ってる空じゃない。


 喧嘩になるのを覚悟で、むしろ喧嘩を売りにF組に行く。何度突っ返されても似合ってないことだけは伝える。


 「空」

 「はぁまたきた。うざい帰れ」


 明村やその他のチャラ男との楽しい時間を奪ってごめんけどまじで不良の道にだけは行くな。


 「似合ってない」

 「だから?お前に関係ないだろ。死ね」

 

 初めて激しく口論した時も思ったけど意外と口悪いんだよな。


 「恥ずかしくねぇの。痛いぞ」

 「…まじでうざいな。絡むなよ。友達いねぇの?暇なの?目障りなんだわ」


 もっと早く俺がどうにかしていればよかった。どうにかできたかは分からないけれど不良の道に進むと分かっていたなら…。


 「目障りだろうが何だろうが言い続けるからな。一人じゃなんもできない奴のくせに」

 

 こんな暴言を吐きたい訳じゃない。せっかく、…せっかく積み重ねてきた努力をそんな簡単になかったものにしてほしくないだけ。不良になったら努力したところで不良だからと認めてもらえなくなる。カンニングを疑われたのだってそんな格好しているからだろう。悔しくないのかよ。どう考えても勉強できる環境じゃなかっただろうに、ここまで付いてきた。こんなすごい奴なのにちょっと道を外しただけで何もかも無駄になるかもしれないんだぞ。もっと考えて行動しろよ。どアホ。


 「った」


 つい言いすぎて殴られた。めっちゃ痛い。


 「殺すぞ」


 死ね、から殺すぞになった。怖。目がガチなんだよ。怖えよ。







 「俺でも殺すと思う」

 「優まで…。だって思わねえ?あんなに毎日寝不足な状態でさ、家庭環境悪い中で必死に勉強してきたんだぜ?それをさ…」

 「それを言えばいいのに。頭沸いてる」

 「だってさぁ…」

 「しばらく行くのやめなよ。広太のやり方じゃ逆効果もいいとこだよ」


 担任からもF組、出禁を言い渡されてるからな。まぁ、行くけど。





 「なぁなぁ、鏡堂と、その丹羽大空ってどういう関係なの?」


 村尾と伊藤が興味津々な顔で話しかけてきた。どういう関係って、うーん。


 「強いて言うなら幼馴染?」

 「あーね」

 「けどほんとすげえ変ったよな」

 「同一人物とは思えない」

 

 かつては学年最下位の問題児として有名人だったのに、今となっては垢抜け選手権第一位として有名になってしまった。垢抜けなのか?あれ。


 悪い奴にそそのかされて迷子の子羊に見えるんだけど。


 「元はモサかったじゃん。だから全然思ったことなかったんだけど、結構イケメンだよな。羨ましい。俺あの顔になりたい」

 「それ。もっとこう、落ち着いた髪にしたらもっと素材生かせそうな気もする」


 イケメンか?似合ってないとしか思わなかったから分かんねぇな。


 


 懲りずに何度も喧嘩売りに行って何か月か経った頃、空がボロボロで登校した日があった。不良同士の喧嘩かってざわざわしていたけれど、俺は何となく違うんじゃないかって感じていた。

 明村や他のよく喋っているメンバーも何となく何かを感じてかその日は大人しかったそう。


 

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