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君がいたから  作者: HRK
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side 丹羽 大空


 「ほい!できたぞ。大林流、今時カット」


 美容師を目指しているとかで実験台にされた俺の髪はツーブロックと言われる刈上げ系のイケイケにされてしまった。


 「いいじゃん!似合ってるよ!」

 「うん!いい!」


 自分では絶対に選ばないであろう髪型に戸惑いを隠せない。こんなんで学校に行くとか…。


 「ピアス行っちゃう?」

 「うん、それぐらいなら許そう」

 「むしろ垢抜けていい感じになるよな」


 自分のことなのに全部任せてしまった。初めて見るピアッサーとその音にちょっとビビったけど痛みはなく、お下がりのピアスをたくさん貰った。


 「ネックレスとかしちゃうとちょっと違うんだよなぁ。なんだろ。なんか、、」

 「もう一歩よな」

 「…色?」


 「…それだ」



 大林さんが急いで染粉を買いに行き、流されるまま流されて金髪になってしまった。



 「うんうん、これくらいがちょうどいいよ。あとはたくさん寝て身長伸ばしな。ここでならいくらでも寝ていいからさ」

 「こっから学校行けよ。近いだろ」

 「天才」


 一見ガラの悪いヤンキーたちがここまで親切にしてくれるのが何故かは分からなかったけれど死んでもいいと思っていた俺は特に反論することもなく空気のようにそこに居座らせてもらった。



 一日学校を休んだだけで、俺の席がなくなっているんじゃないかとソワソワしていた。それより気にするべきことがあったはずなのに。


 学校に近付くにつれて息が詰まり、タバコ臭いあの部屋が恋しくなった。それになんか周りが騒がしい。やたらと目が合う。やっぱり学年ビリの問題児が一日でも休んでしまったら帰れっていう雰囲気になるんだよな。


 教室に入ってからが一番うるさく、窓から飛び降りてでも消えてしまいたかった。休んだくせに来てごめん…。


 「おいおいおいおい…どうした?」


 最初の頃に話しかけてくれていた明村、だっけ。今は青いんだな…。


 「来なくなると思うよね。俺も来る気なかった」

 「いやいやそうじゃなくて。昨日休んだだけで何があった?」


 “ソレ”と指をさされて初めて、全ての騒動を悟り真剣に飛び降りようかと考えた。

 髪型から何からいじってもらったんだった。なんで忘れてたんだ。無関心にもほどがあるだろ…。



 「なんか、別人みたいですごい」


 明村が目を見開いてどうにか受け入れようとしてくれている中、慌ただしい足音が聞こえてきた。すごく嫌な予感がする。



 「空!?」


 …やっぱり。噂が噂を呼んで早速来ちゃったみたい。世界で一番嫌いな鏡堂が。


 「なにやってんだよ。成績が悪いからって不良の真似事か?はっ。似合ってねぇよそれ全部。悪ぶろうとしてかっこ悪い!!!」


 俺よりちょっと背が高いからって。俺よりちょっと声がでかいからって。俺より幸せな人生歩めてるからって。


 「黙れよクソ坊主。どうせ勉強しか取り柄のないガリ勉なんだから一生机と睨めっこしてろよ!」


 思ったより声が出てしまってびっくりしたけどスッキリした。こうやっていつもいつも俺に大きな声で話しかけてストレス発散してたのか。本当にどこからどこまでも嫌いだ。



 「こんなとこまで付いてきたくせに中途半端に道外れて馬鹿じゃねぇの?ここでガリ勉にもなりきれない無能がイキってんじゃねえよ!!」


 俺の渾身の大声よりも遥かに馬鹿でかい大声で怒鳴られて非常に不快。教室の周りはいつの間にか物凄い野次馬に囲まれていた。その間から割って入ってきた生活指導の強面教師になぜか俺だけが連行された。

 金持ちで頭が良かったらそれだけで人生勝ち組なのな。死ね。死ね!!!





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