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君がいたから  作者: HRK
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side 鏡堂 広太


「さすが学年二位なだけあって説明が分かりやすい!家庭教師になってほしいくらい」


 放課後居残りで村尾と伊藤に数学を教えてあげたらべた褒めされた。今まで『勉強して当たり前』、『優を抜かすための手段』としか思っていなかったものを褒められるのはなんだかくすぐったい。


 俺の家庭は特別勉強に厳しい訳ではなかった。幼い頃から雑学や本に触れる機会が多く、元の性格上好奇心が人一倍だったことで1つ情報を手に入れたらそこから『なぜ?』と疑問を抱かずにはいられなかった。分からないことは悪じゃないけれど、分かることが多いのは人生においてとても幸福なことだと思って勉強を続けて今に至る。

 親から『あれしなさい、これしなさい』と口うるさく言われたことはほとんどない。逆を言えば、テストでいい点を取っても特に褒められもしなかった。けれどそれは親が俺に対して無関心なんじゃなくて俺の個性を尊重しているから。

 どの家庭でも早寝早起きや毎日ご飯を3食食べるといった習慣付いた行動にを褒められることはないだろう。俺にとっての勉強ってそういうことなんだと思う。



 「教えてくれたお礼にマックでも行かね?」

 「マック」

 「そ。マック」


 村尾の提案に伊藤はうんうんと頷いている。


 「うん。名前は知ってる」


 そう。名前だけ。行ったことはない。学習意欲は高いけど興味のないことにはきっかけがない限り関わらない。これがその、きっかけってやつか。


 「行ったことないの?」

 「ない」

 「まー、なんていうか鏡堂って育ちよさそうだしファストフードとは無縁っぽいよね」


 そんな風に見えているのか。周りからどう思われてるかなんて気にしたことなかったから初めての気付きだ。


 よし。行ってみよう。






 食べたことがないなら最初はスタンダードなやつでしょ。とおごってもらったハンバーガー。一口かぶりつくとあまじょっぱいソースと肉感が口いっぱいに広がった。


 「え、うま。」


 こんなん3口で終わっちゃう。


 「高校生にはマックだよな~。味よし、コスパよし、立地よし!」


 確かに学校から近く、同じ制服を着た人が何人かいる。


 「ポテトもさぁ、うまい!ってほどのクオリティじゃないのに何故か止まらないんだよ。食べてみ?永住できるぞ」

 「うん、芋だ」


 確かにハンバーガーほどの衝撃はないが飾らない塩気がちょうどよい。


 「で、コーラで流し込む!」


 村尾と伊藤の親切なレクチャーに心が躍る。


 「うんま」

 「ふっ。これで鏡堂も立派な高校生だな」

 「マックにハマったら沼だぞ…」


 経験者は語る…と渋い顔をして二人は頷いた。




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