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イロトリドリ  作者: 柊 彩芽
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わたしとエッセイ

 エッセイが好きです。

 とはいっても、好きになったのはほんとうに最近のことで、エッセイはむしろずっと苦手なジャンルだった。そんなわたしがどうしてエッセイを書こうと思いたったのか、そんな話から始めていこうかなと思います。


 わたしがエッセイを初めて読んだのは大学2年生の2月。ちょうど3ヶ月前くらいの話だ。

きっかけは好きな声優さんのエッセイ本だった。それはエッセイというものに触れてこなかったわたしの人生ががらりと変わった瞬間だった。


 もともと小さいころから本を読むのが好きだったわたしは、本を読み進めながら頭の中で想像して思いを馳せるのが好きだった。物語だったら主人公の心情だったり、説明文だったら筆者の考えだったり、そういったことを文章から読み取って楽しむのが本だと漠然と思っていた。国語の問題はこういうふうに解いていきます、と学校で教えられた気もする。

 ところが国語の授業なんかでエッセイと一般に呼ばれる文章を読んでみると筆者の気持ちが全く読み取れないのである。読み取れないからうまく想像ができない。筆者の考えがさっぱりわからなかった。

 シンプルに、ニガテだなと思った。

 いつしか、自分はエッセイとは相性が悪い人間なんだと結論付け、これまでの20年間、わたしは一度もエッセイに触れてこなかった。もちろん、これからの人生においても自分から進んで手にすることはないと確信していた。


 そんな時に好きだった声優さんのエッセイ本に出会ったのだ。はじめは、この人の本だから、そんな軽い理由で買ったのだが、読み始めてみるとどうしたことか。ページをめくる手が止まらない。

なんだこれ。心地いい。おもしろい。

 テンポのいい言葉たちが、文章たちが、すーっと自分の中に吸い込まれていくのがよくわかる。

短い文章の中に書いた人の体験や記憶がうまくまとめられている。同じようなこと考えたことあるなあって相槌をうったり、あまりにもおかしくてゲラゲラ笑ったり。なんだか書いた人が目の前で話してくれているような気分になる。

 そうか、エッセイって文章全部が筆者の心情なんだ。

 このひとはこんなことをしてこんなことを考えたのか、と、素直にそのまま感じていればよかったのだ。第三者の考えなんてはじめから求めていないのだ。わたしはエッセイを何も知らなかったのだ。そりゃあそうだ。だって今までまともに向き合ってこなかったんだもの。そもそも読み取る必要なんてなかったのだ。そんなことは蛇足だったのだ。

 とまあ、これはあくまでわたし個人の考えなのだが。


 エッセイに興味を持ち始めていたちょうどその時ハマっていたアニメが、エッセイから生まれた作品だと知っときは正直運命だと思った。

 うわ、まじか、ここにもエッセイが。なんてタイムリーな。

 20年間全く見向きもしてこなかったものに一瞬にして心奪われることだってあるのだ。いつ何が起こるかわからない。やはり人生はおもしろい。


 先日、本好きの祖母と連絡を取った際に、

「エッセイにハマってるんだよね」

と、まだハマって間もない、さほど読んでもいないのに背伸びをして言ったところ祖母がいくつかのエッセイ本をおすすめしてくれた。


 というわけで、さっそく今日は近くの小さな書店にその本を探しに来ていた。Mの棚を端から順番に見ていって迷わず「向田邦子ベスト・エッセイ」を手に取る。

 まずはエッセイを自分のお金で買うところからはじめよう。


 これはエッセイに魅せられたとある田舎の大学生の日常を綴ったエッセイです。 

 わたしの頭の中をふらっと覗き見るような感覚で読んでいただければ幸いです。


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