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サンタしゃんに菓子折を ⑰


朝起きたら、アダムがキッチン立っていた。アダムとアポロ用に、沙織が作ったエプロンを着たアダムがコーヒーを入れてくれた。


「よく寝てたなサオリン。まだ青森での疲れが十分に取れてねえみたいだな。大丈夫か?」


「おはようアダム、心配してくれてありがとう。大丈夫。久しぶりに龍の術を使ったから、身体がビックリしてるだけだよ。あっコーヒーもありがとねアダム」


「良いって事よ」


「サオリン見て欲しいでしゅよ~~。サンタさんが一杯プレゼントくれたでしゅよ。アダムに付けてもらったでしゅよ。それにピカチーもいるでしゅよ~。アポロの欲しい物が分かるなんてサンタしゃん凄いでしゅ~」


エイトパッドシリーズが装備されているアポロがピカチーを持ちながら飛び跳ねて喜んでいる。


何かアポロの身体がサイボーグみたいになっている。


「朝起きたら、付けてくれ付けてくれって言ってな。でもカワイイだろ?」


「うん。あんなに喜んでくれたら買った甲斐があったよ」


沙織はコーヒーを飲みながらアポロが喜んでいる姿を見る。


「今日の朝飯は俺が作るからサオリンはまだゆっくりしてていいぜ」


「あっ今日はモーニングコーヒーもいれてくれるしすごく優しいじゃない。アダムもやっと女性の扱いを学んだね。嬉しいよ」


「ハハハッそうだな。サオリンにそう言われると天国の御主人も喜んでくれてると思うよ」


そう言ってアポロは振り返り、朝食を作るためにキッチンに向かう。


ブフーーーーーーッ

沙織は盛大にコーヒーを吹き出す。


「ゲホッゴホッちょっちょっとアダム!なんでアンタがそれを付けてんのよ?」


「ああこれか、おれもサオリンが言うように、大きさじゃなく形で勝負しようと思ってな」


アダムがニチャァ~と笑う。


アダムのオケツにはエイトパッドシリーズ ヒップが装着されていた。それはアポロのプレゼントを買う時に、沙織が自分用に買ったものだった。沙織はコレを買ったことがアダムにバレるとまた馬鹿にされると思い、車に隠していたのだ。


「どっどうして分かったの?」


「ああ、簡単だよ。数だよ。みんなにプレゼント買うって言ってたのに、プレゼントの数が合わねえからだよ。夜にふと、目が覚めて便所行った時に、ツリーに飾ってあるアポロの靴下の下に置いてあるプレゼントを見て思ったんだ。アポロの靴下の周り以外に、どこにもプレゼントの箱がねえって。昨日はアポロの手紙に感動して気にも留めなかったが、そんな事あるのか?俺へのプレゼント、スマホは正月までに買いに連れてってくれるって言ってたから、ないのは当然として、なんでサオリン用のプレゼントの箱もないんだ?


初めは俺のプレゼントを買いに行く時に、一緒に何かを買うのかとか、二十歳を越えてるから買うのをやめたのかと思ったが、俺はサオリンと9ヶ月以上一緒に住んで分かったことがある。それは多くの女子同様、イベントを大事にするタイプだ。アポロに「サンタさんが私にもプレゼントくれたよ~」と言えば、大盛り上がり間違いなしなのに、しかも昨日、インプタグラムにアップしてリア充になるとか言ってたサオリンが、女子なら必ず押さえるべきクリスマスに何も買っていない?おかしい。それでサオリンの靴下の中身を見ると『アポロが強くなれますように』と、また七夕と勘違いしているような事を書いている。サオリンはこれで怪しまれることはないと思ったかもしれないが、俺は逆にこれで確信した。絶対何かあるってな。だってそうだろ?サンタは神様じゃねえんだ。そんな事は、今もエイトパッドシリーズを全身につけて、ビリビリ-」


アダムが振り返ってアポロを見ると、アポロが、ひっくり返って小刻みに震えている。


「アッアッアダム、たったっ助けてっでしゅでしゅよょょょ-」


二人は慌てて、アポロのお腹以外の器具を外していく。


「ハーッハーッハーッありがとうでしゅ~。早く強くなりたいでしゅから、アダムの言いつけを破って、パワーをマックシュにしたら痺れて動けなくなったでしゅ~ごめんでしゅ~」


「お前は、クリスマスプレゼントで死にそうになるんじゃねえよ!」


「そうだよアポロ、気を付けてよ。焦って早く強くならなくていいから。大事なのは続けることだぞ。応援してるからね!」


「はいでしゅ」


アポロは元気よく返事し、姿見まで走って行き、エイトパッドを付けている今、どんどん強くなっていることを想像してニヤニヤしている。


「え~っと何だっけ?あっそうそう、今もビリビリとエイトパッドで鍛えているアポロに、さっきみたいに直接言えばいいんだよ。何か必ず買ってるはずだ。そう確信した俺は、昨日のサオリンの行動で不審な点を洗ってみた。そしたらピンと来たよ。サオリン、何でワックに来るのに時間がかかった?サオリンは時間にキッチリしてるし、無駄な物は買わないタイプだ。サヤカーンのプレゼント用に購入した服を選ぶのに手間取った?いや、昨日の反応じゃあ、サヤカーンにまんまと欲しい物を買うように誘導されたと思うから違う。俺達が設定した時間もそんなにキツいものじゃなかったはずだ。それなのに何故?」


沙織は言葉に窮する。


「クックックッ。俺はエイトパッドの全商品を調べたよ。ネットで検索したら女性専用のヒップって商品があった。これだと思ったよ。サオリン、お前はコレを買うか悩んでいたな。エイトパッドシリーズは、アポロのために買うという大義名分があるから、レジに並ぶのもあまり恥ずかしくなかったはずだ。プライベートで女の子に声を掛けるのは恥ずかしいが、仕事で声を掛けるのは恥ずかしくないってやつだ。


でもこのヒップシリーズをカゴに入れると、店員はどう思うか?当然、彼氏が使ったりするのではなく、サオリンが使うと思うよな。サオリンからしたら、アポロのために買うのも恥ずかしいのに、店員から「こいつ全身買ってやがる。包装なんてカムフラージュしなくても分かってるよ。お前が使うんだろ。なんてズボラな奴!」と思われるかもしれないことがメチャクチャ恥ずかしかった。でも欲しい。リア充になりたい。そんな葛藤をしていたら時間だけが過ぎていき、ツリーの下に置く用のプレゼントを買う時間もなくなっちまった。クックックッ・・・


あとは、そんな物を隠すとしたら車の中ってことで、探したらビンゴってやつだ。フーッ夜中にこんな面白い推理をさせてくれるなんて、サオリンはサンタに違いねえ。菓子折受け取ってくれるかい?」


アダムはエプロンの下に隠し持っていた菓子折を沙織に見せる。


「このバカコギ!朝から女に恥かかせんじゃないわよ!!アンタの御主人はあきれてるわよ!!!」


沙織は顔を真っ赤にしながら枕を投げてアダムを非難する。慌ててアダムはキッチンに逃げ帰る。


「ハハハッまあまあそう怒んなよサオリン。今日は久々にゆっくり出来る日なんだ。笑って許してくれよ」


「ほんとにもう!アダムは」


沙織は頬を膨らませながら怒るが、目の前の光景にすぐに笑顔になった。


目の前には今も姿見の前でポーズをとってニヤニヤしているアポロがいる。キッチンでは、アダムが朝ご飯のホットケーキを焼いてくれている。沙織は思った。『私、リア充なんだな。こんなにも幸せなんだもの・・・。昨日はアダムを怒ったけど、丼でご飯を食べるあの写真、楽しくて、みんな笑顔で一杯だった夕食の一瞬を切り取ったものなんだもの、アダムの言うことも今なら分かる。フフフッもう少しあれはそのままにしておこうっと・・・ありがとう私のサンタ達、サヤカちゃんもね』


沙織はベッドから飛び起き、笑顔で二人をモフモフした!

ここまで読んで頂きありがとうございます。皆さんを少しでも楽しませることが出来たでしょうか?もし、クスッと少しでも笑って頂けていたなら幸いです。


今日、こんなに連投したのは、私はこれから約2ヶ月間資格勉強に専念しようと思ったからです。この物語はこれで終わりではありません。まだノートに書いているだけの物が沢山有ります。7月の中旬頃にはまた新しい物語をアップしていきたいと思います。もし、宜しければその時また覗いて頂ければ幸いです。次の話は、サヤカのクリスマスウォー(仮)とミミズクのみっちゃん(仮)になります。


あと、私は小説家になろうに初投稿したのが、この物語ですが、その前に異世界?半異世界?ものを書いていました。しかし途中からこちらにシフトしたので完成してはおらず、放置したままになっていたのですが、最近見直したところ『面白いな』と、自画自讃ながら思ったので、それも完成させてまたアップしたいと思います。


最後になりますが、ここまで物語を読んでくれた皆さんは、私にとってサンタさんです。ありがとうございます。こんな幸せを運んでくれた皆さんが、幸せでありますように。

                    

                            5/14  にこまる


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