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サンタしゃんに菓子折を ②


三人がアパートの外に出ると、雪がちらついていた。ホワイトクリスマスだ。


以前の沙織なら身体を丸めて寒いと言っていた所だが、


ちょっと前に経験した寒さに比べれば可愛いものだと微笑を浮かべる。


沙織は車にのりエンジンをかける。


電車にしなかったのは買い物の後にサヤカの様子も見に行こうと思ったからだ。


沙織は、アダムがまだ自分が何を買って貰うか悩んでいるようだったので、


ツリーやエイトパッドも売っているデパートに向かう事に決め、雪が舞う京都の街に車を走らせる。


「ねえアダム、アポロ。サヤカちゃんはサンタさんにお願いするの忘れてると思うから、私達でサヤカちゃんにプレゼント買わない?」


「賛成でしゅ。サヤカーンにも喜んで欲しいでしゅ」


「そうだな。俺も賛成だ。でもアイツ中三だろ。何が良いんだろうな?」


「私が考えてるのは、探偵の仕事で使えるような道具がいいなと思ってるんだけどね。アダム何か心当たりない?」


「そうだな~。虫眼鏡、指紋検出キット、コート、メモ帳、ボールペン・・・サオリン、良いこと思いついたぜ。これは俺達全員分購入しよう。ちょっと値が張ると思うがいいかサオリン?これは絶対役に立つからよ」


「いいよアダム。アンタの事を信頼してるから。全員分買おう」


「サンキューサオリン。スマホ借りるぜ」


そういうとアダムは後部座席に移り、


そこに置いていた東九条アイテムカタログを見ながら電話をする。


アダムは「こっちの商品にあるオプションをこっちの商品にもつける事は出来ねえのか」とか「何?構造上無理だと。どこでそれ作ってんだ?総本家?じゃあ俺がやるから機械開けといてくれ。オッちゃんじゃなかった、当主にアダムが商品を改造したいから機械を使わせてくれって言ってるって伝えといてくれ。これはビジネス・・・」等と難しい話をしているので、ほっといてアポロに話を振る。



「でもそれじゃあ所員への備品の提供みたいになっちゃうから何か他の物も欲しいよね。ねえアポロ、サヤカちゃんのためにサンタさんに何をお願いしたらいいかな?」


「エイトパッドシリーズの脚のやつがいいでしゅ。アダムのと合わせてこれでコンプリートでしゅ。サヤカーンもこれを使って強くなったら、早く帰ってこれるかもしれないでしゅ~」


「そっそうね・・・」


沙織はそれも買っておこうと決めた。


どうせいつか買わされそうな気がしたからだ。


そして、それとは別に自分で何かサヤカのために購入しようと心に決めた。


そうこうしている内に目的のデパートに到着した。


「大っきな建物でしゅ~」


アポロはウキウキして、あちこち走り回っている。


「コ~ラ!アポロ。ツリーを買いに行くよ」


三人はオモチャ屋に行く。アポロはそこで目を輝かす。


「ここスゴイでしゅ!カッコイイロボットもカワイイぬいぐるみも沢山あるでしゅ!あっピカチーでしゅ~」


もうツリーの事など忘れて周りに沢山並んでいるオモチャに夢中だ。


「アポロ!お前は目的を忘れるんじゃねえ。アーサー探偵事務所の所員たるもの、先に任務を遂行しろ。それは後で見せてやるからよ!」


ピカチーのぬいぐるみを見て目をキラキラさせているアポロの首の後ろの余った肉を掴み、


ズルズルと引きずりながらツリー売り場に三人は向かう。


沙織は始め、クリスマスが終わったのにツリーを買うなんて罰ゲームだと思っていたが、


ツリー売り場にはカップルやサラリーマンがいた。


職業によって、クリスマスは絶対に休めない人がいるので当然かとホッと胸をなで下ろす。


「アポロはどのツリーがいい?」


「これでしゅ!この一番大っきなやつがいいでしゅ!この大きさならサンタしゃんは迷わないで来れるでしゅ」


沙織とアダムは顔を見合わせ渋い顔をする。


デカい!アパートの天井に届きそうな大きさだ。


飾り付けやその後の収納を考えた場合大変な事になりそうだ。


それにクリスマス用の晩ご飯の用意する時間なども考えた場合、


もう少し小さい方が良いなというのが二人の意見だ。


「なあアポロ、こっちの少し小せえのにしねえか?大きすぎると飾り付けが大変だぜ」


「大丈夫でしゅ。アポロが一生懸命するでしゅ。夜までにはこのツリーの飾り付け任務を遂行するでしゅ」


「でっでもこっちの1.5メートルサイズの方が私は良いと思うな~。このサイズの方が、アポロの好きな様に飾り付け出来ると思うしさ。サンタさんもアポロが自分の為にこんなに綺麗に飾り付けしてくれたんだと感動してくれると思うよ」


「むむっ。サオリンの言う事も一理あるでしゅ・・・・・。そうでしゅね、アポロが選んだツリーはサオリンに肩車してもらってもツリーの先端に届かなさそうでしゅ。こっちの方が楽しく飾り付け出来そうでしゅからそっちにしましゅ」


「偉いぜアポロ。デカけりゃ良いってもんじゃねえ。小さくてもお前がサンタをもてなすために、自分が思う飾り付けが出来たならそれが一番だ」


「そうよアポロ。私達も期待してるよ。アポロが一所懸命飾ったツリー!さあ飾りも見に行こう」


アダムと沙織の言う事を聞いて、やる気になったアポロは足取り軽く、


飾りが売っている棚に向かう。


そんなアポロを見て沙織とアダムはお互いに親指を立てて健闘を称え合った。



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