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サンタしゃんに菓子折を ①

私の作品を見て下さり、本当にありがとうございます。


これは私の中でも好きな話です。出来れば最後まで、少し長いですが見て下さい。お願いします。


「大変でしゅ~!サオリン起きてくだしゃい!大事件でしゅ~!」


アポロは寝ている沙織の胸の上で騒ぎ立てる。


「な~に~アポロ~・・・私はまだ眠いんだけど・・・」


「サンタしゃんに、アポロの欲しい物を書いたメモを靴下の中に入れて、枕のそばに置いてたんでしゅが、サンタしゃんプレゼント入れてくれてないでしゅ~。アポロは悪い子でしゅか?」


沙織は昨日、迂闊にもクリスマスの話をアポロにしてしまったことを思い出した。


「自分が欲しい物をメモに書いて、それを靴下に入れてクリスマスツリーに吊しておくと、サンタさんがそれをプレゼントしてくれるのよ」ってアポロに言ってしまったためこんな事態になっていると朝の寝ぼけた頭が追いついた。


「そんな訳ないじゃない。アポロは良い子よ。でもツリーが部屋にないから、サンタさんが分からなかったのかも?」と適当な考えを言って沙織は逃げる。


「そうなんでしゅか!大変でしゅ!アポロ達のせいでサンタしゃんが迷子になっているでしゅ。サオリン、早くツリーを買いに行くでしゅ!」


12月26日にツリーを買いに行くのは何て言う罰ゲーム?と思いながら沙織が困っていると、


ニュースを見ながらブラックコーヒーを飲んでいるアダムが助け船を出した。


「そういや昨日窓の外に赤い服を着たジジイがいたからハンドガンぶっ放しておいたぜ。ジジイの癖に素早くてよ、ソリに乗って逃げられちまったぜ。手応えはあったんだが赤い服を着てたから、いまいち効いてんのか分からなかったけどな」


「なっ何てことをするでしゅよー。それサンタしゃんでしゅアダム。アポロ達にプレゼント持って来てくれたのに酷いでしゅよー。早く菓子折持って謝りにいくでしゅよー」


アポロは、ブラックコーヒーを飲んでるアダムをユッサユッサと揺らしながら抗議する。そのせいでアダムの持っているカップからコーヒーが零れて太腿にかかり、「アッつ!アッつ!おいアポロ止めろ!」とこちらも必死に抗議している。


しかし菓子折なんて言葉をどこで・・・あっ昼ドラかと沙織は納得しつつ、


『でもハンドガンで撃たれた事を菓子折で許してくれる聖人みたいな人いるわけないよね・・・あれっ?よくよく考えてみればサンタって聖人じゃん、いけるかもしれない!』


などと沙織はまたまた適当なことを考える。


「アポロ諦めろよ。サンタは世界中の子供達にプレゼントを運ばなきゃならないんだ。家がどこかわからない何てことはよくある事だろうぜ。いつまでもそんな家を探してはくれねえよ。今年は諦めな」


アダムの言う事を聞きたくないのか耳を後ろにペタンと倒し、


その上から両手で耳を塞ぐアポロ。


「サンタしゃん来てくれましゅもん。絶対来てくれましゅもん!」


アポロの行動に、アダムが沙織に『どうすんだよ』って言う顔を見せる。


沙織はどうすれば良いかわからず頭を抱える。


「そうだ。昨日は私が見せてって言っても見せてくれなかったけど、サンタさんに何をお願いしたの?」


アポロは少し迷っていたようだが、しばらくするとお願い事を入れた靴下を取りに行き、


それを沙織に手渡した。


沙織はあれだけ嫌がったアポロを見るのは初めてだったので、


アポロのお願いを見ることに緊張する。沙織は恐る恐るメモを取り出す。


「・・・・・エイトパッド・・・・何コレ?」


沙織がアポロに聞いてもモジモジして話しにくそうにしている。


沙織の頭にはパッドと言えば胸パッドしか思いつかず、


沙織も顔を赤くしてモジモジしてしまう。


「おいおいサオリン何赤くなってんだよ。それはサオリンが考えてるようなもんじゃねえよ。よく考えて見ろよ。サオリンの胸にパッド八枚入れたところで男を誘惑出来る分けないだろ?全く探偵事務所の所長ともあろうものがその程度の推理力しかアッッツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーー」


沙織はテレビを見ているアダムの頭にコーヒーのおかわりをする。


アダムはゴロゴロとリビングを転がり悲鳴を上げる。


「このセクコギ!人の胸を小さいって馬鹿にして。いい?私は胸もお尻も大きさで勝負してないの。形で勝負しているのよ!」


沙織はアダムをほったらかして、アポロに質問する。


「ねえアポロ、エイトパッドって何?」


「・・・・・器具でしゅ・・・」


アポロは小声で呟く。


「えっ?何」


「ダイエット器具でしゅ!コレを使ったらテレビを見てても痩せられるでしゅ」


アポロは顔を赤くしながら先程よりは大きな声で言う。


「ダイエット器具?エイトパッドが?」


沙織がどんな物かわからず首を捻る。


「サオリンこれの事だよ」


アダムは頭についたコーヒーをタオルで拭きながら、エイトパッドをスマホで検索し、


そのサイトを沙織に見せる。


「これは今流行の電気で筋肉を刺激することで、腹筋をつけながら痩せるっていうダイエット機器だよ。ちなみに俺の靴下に入れたお願いは、アダムに言われてこのシリーズの腕の筋肉を鍛えるやつだ」


アダムは靴下からメモを取り出して沙織にみせる。


沙織はアポロがこんな物を欲しがっているなんて思いもよらず驚くが、同時に失望もした。


「アポロ~。これじゃあサンタさんは来ないかもね~。努力もしないで簡単に痩せようとしてるんだもん。まず走ったり、食事制限したりしないと」


沙織は未だに顔を赤くしてモジモジしてるアポロの両脇に手をいれて持ち上げ、


アポロの目を見ながら諭すように言う。


「でもサオリン、これを付けると痩せるだけじゃなくて、筋肉もついて強くなれるでしゅ。アポロは旅館でサオリンに約束しましゅた。アポロはサオリンがどうやっても傷付けられないぐらい強くなるって。アポロは、アポロは強くなりたかったでしゅ」


アポロの告白を聞き、沙織はアポロをギュッと抱きしめた。


アポロは昨日も大家から、昔の話を聞いて少し落ち込んでいる私を見て強くなりたいと思ったのだ。


そんなアポロをギュッと抱きしめずにいられるだろうか?いや絶対出来ない!


「ありがとうアポロ。アポロは良い子だよ。誰が何と言ってもアポロは良い子だよ!サンタさんは道に迷ってるだけだよ。今日の夜には来るかもしれないよ。ツリーを用意しておかなくちゃね」


「ホントでしゅか?嬉しいでしゅ。来て欲しいでしゅ~」


アポロは尻尾をぴーんと立てて、喉をゴロゴロと鳴らす。


アダムは二人を見てヤレヤレと嬉しそうに溜息をつく。


そしてアダムも何か買って貰おうと、スマホで商品の検索を始めた。


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