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氷狼デリバリー ⑬

そういうとアダムは手の中にマシンガンを創り、氷狼目がけて撃ちまくる。


氷狼は右へ左へ避けながらアダムから距離を取る。


そして氷狼も負けずに氷柱を創りアダム目がけて発射する。


アダムはミニスノーモービルを創り、それを使って雪上を高速で移動することで


避け続けながらマシンガンで氷狼を撃ち続ける。 そして、


「はい、ご苦労さん」


アダムがマシンガンを撃つのを止めたのを見た氷狼は、


一気に踏み込み、のど笛をかみ切ってやろうと脚を地面に思いっきり接地する。


ドンッ


氷狼は上半身だけとなり、数十メートル転がり止まる。


自分の身に何が起こったのかわからない。


何故耳がキーンと五月蠅いぐらい音が鳴り響いているのか分からない。


氷狼はその答えを探すため、両前脚でなんとか上半身を起き上がらせ振り返る。


すると先程自分が接地した場所が大きくえぐれ煙が上がっている。


その時氷狼は自分があの変テコな犬に攻撃された事がわかった。


自分はあの犬に罠に誘導されていたのだ。


何たる失態。氷狼は鼻筋に皺を寄せ、怒りを持ってアダムを見る。


その時氷狼の左前脚がバリンッと音を立てて砕かれる。


氷狼はバランスを崩し、頭から雪に突っ込む。


アダムがライフルで氷狼を狙撃したのだ。


氷狼は普通なら消滅するようなダメージを受けていながらも、


砕け散った下半身、そして左前脚が徐々に回復していた。


「なんつータフな奴だよ。こりゃ俺達にとってアウェイ過ぎるだろ。アイツはこの山からオーラを吸収してほぼ無限に回復できるのか?でも今回はあいつの異常なタフさに助けられたな。危うく殺っちまうところだったぜ。さてさて、そんな体力馬鹿をどうするか・・・まあそんな難しいことは、同じ体力馬鹿のツチグモを倒しまくった西九条様に任せて、俺はダメージを与えながらお帰りを待つか」


そうアダムは決めると、引き金に指を当て、スコープを覗いて狙いを定める。


ターンとライフル弾を発射する音が山中に木霊した。


アダムは、レバーを引いて排莢はいきょうを行い再び撃つ。


ターン、ジャギ、ターン、ジャギ、ターン、ジャギ、ターン。


「ヘヘッ全段命中。回復中の脚を吹っ飛ばしてやったぜ。とりあえずコレを何回も繰り返して氷狼をあの場から動けないようにするぜ」


矢野と高橋は、アダムの鮮やかな手技に感動する。


「素晴らしいですアダムさん。ありがとうございます。あの氷狼をあんなにもあっさ―」


「危ねえ!」


アダムは上空から、矢のように突っ込んでくる氷狼のオーラを感じ取り、二人を突き飛ばす。


二人は怪我をしなかったが、その代償にアダムの右手は牙で抉られ、


オーラがダラダラと流れている。


しかしアダムはそんなこと等ものともせず、左手にハンドガンを創造し、


氷狼に向けて、パンパンパンパンと弾倉が空になるまで撃ち尽くす。


氷狼はバックステップをしながら全弾躱す。


氷狼は二メートル程の大きさに体を作り替え、


山を山頂方面に大きく迂回して陰陽師達を狙ってきたのだ。


陰陽師達は回復の術式をアダムに唱えようとするが、アダムはそれを断る。


「それよりも、戦闘に使ってた術はまだ使えるかい?」


「はいっ使えます」

「私も」


「そうかい。そりゃ良かった。じゃその時のために温存しといてくれ」


アダムは氷狼を見る。


「おい氷狼!参ったぜ。あれは抜け殻かよ。しかも、俺じゃなく怪我してる陰陽師達を狙うとはね。冴えてるじゃねえか。俺だと避けられると思ったか?それともサオリンが陰陽師達を追いかけるのを見て、俺がコイツ等を守ると思ったのか?チッ狂戦士状態でいれば良かったのによ」


氷狼はアダムが自分に語りかけてきているのを無視し、氷柱を発射しようと周りに氷柱を創る。


ドンッドドドドンッ


しかし、それらは粉々になり、地面に落ちて雪と同化する。


アダムが大型拳銃パイソンで迎撃したのだ。


「痛ってええーーーー!肩と手首が粉々になりそうーーーー!おい氷狼!これは片手で撃つ銃じゃねえんだから無理さすなよ。殺すぞ。いやいや駄目だ落ち着けアダム、殺っちゃ駄目だ」


氷狼は相変わらずブツクサ言っている変テコな犬に恐怖を覚え始める。


逃げる事も考えたが、それではもう一人の人間が帰ってきてしまい、二対一になってしまう。


しかもこいつは妙な罠をしかける。


今、こいつを殺らなければ、ジリジリと追い込まれて確実に自分が殺られる。


コイツだけはと氷狼は強く思う。


それは谷底に落ちた人間を追いかけたあの人間はヤバイと氷狼は感じていたからだ。


今戦っている犬よりも警戒しなければいけないと。


あいつが谷底に落ちた人間を追いかけてくれたのがこの闘いで一番の幸運。


しかし、ここでモタモタしていれば、せっかくの幸運がフイになる。


戻ってくる前に全員を始末し、山中に逃げて力を蓄える。


そう決断した氷狼は、自身が最も自信がある武器、


自らの牙で嚙み殺すために身を低くし、今にも飛びかかろうとする。


とその時、目の前の雪の中から何やら白い物が噴きだしてくる。


氷狼は戸惑い飛びかかろうとした姿勢をあわてて解除する。


「不思議か氷狼?スモークグレネードってやつだ。それじゃまたな」


アダムは白い煙の中に消えて行く。


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