落とせ!難攻不落の姫路城!!99
「宇迦之御魂大神様、何故我々は勝てたのですか?側近の方にも我々の力は遠く及ばないのに」
今度はウィングが質問する。
「フム、そうじゃな。何故じゃろうな~」
宇迦之御魂大神が尻尾でアポロをコチョコチョする。アポロはくすぐったくて笑う。
「尻尾が一尾しかない・・・!まさかあの強さで九分の一の強さなのですか!?」
ウィングは宇迦之御魂大神が九尾の狐神ではなかったかと思い尋ねる。
「半分あたりじゃ。じゃがお主はワシの事を九尾の狐と思っておるのか?違うぞ。勘違いしとる者も多いが、神使が狐というだけでワシは人の子と同じ姿をしておるのじゃ。耳と尻尾があるこの姿は、神使にワシの力の一部を宿らせたからじゃ。本体は今も伏見におる。強さ的にはまあそんなもんかの。ワシの力を与え過ぎると神使が耐えられなくなるからの。これで神器がまがい物じゃと言うた理由も分かったかのホッホッホッ」
「あっあれで・・・」と全員が乾いた笑いを浮かべる。
「はっははあ。申し訳ありません。不勉強でした!」
ウィングはまた頭を下げる。
「これ、何度も言わせるな。面をあげよ。別にそんな事などどうでも良いし、先程はお主達にそう言わせるように誘導したからの。多くの人の子が今のお主達のように、ワシの事を敬ってくれておるのじゃ。それだけでワシは満足じゃ。それにそもそも姿形を間違っておると怒る神々などおらんよ。なぜなら神格が高くなるにつれて大陰陽師ですら姿を見る事が難しくなるのじゃからな。それなのに間違っておると怒り、天罰を加えるなど意味がわからんじゃろ?」
「確かに。ありがとうございました」
「さて沙織よ。ワシに何か言いたいことがあるのじゃろ?遠慮する事はない。ワシ等は亀甲縛りのように固い絆で結ばれておるのじゃからな。さあさあ言うてみよ」
さっきのアダムの話から心を読めるとは思ったが、まさかチャンスがあれば言ってみようと心の片隅で考えていた事に気づかれるとは思いもしなかった。
「はっはい。宇迦之御魂大神様、私にオーラをコントロールする方法を教えて下さい!」
「オーラのコントロールじゃと?」
「はい!私はオーラのコントロールが下手で周りに迷惑ばかりかけているんです。ホテルでは私以上のオーラを吹き荒らしていたのに、浅見さんだけ無傷でした。どうやったらそんな風にコントロール出来るのでしょうか?」
「う~~~ん。そう言われてものう~。ワシもこれが出来るようになったのは千年以上前の話じゃからな。忘れてしもうたわ。お主はどうじゃ?」
宇迦之御魂大神は側近に問いかける。
「はい、私は新人の教官も兼ねているのである程度教えることが出来ると思いますが、ただ私が教えているのはまだまだ修行不足で弱いと言っても神ですよ。オーラの質が人間とは違いますので上手くいくとは・・・」
「沙織よ。見せてやれ」
「はっはい。清本さん達は離れていてくれますか。サヤカちゃんは・・・一応離れてて」
「大丈夫ッスよ沙―」
白百合のゲンコツが落ちる。
「宇迦之御魂大神様の御前だぞ。さっさと離れろ!」
白百合がサヤカを引きずって離れる。
「精霊化」
沙織の周りを銀の膜が覆い、周囲の者に圧力を与える。
「おお、人間にも関わらず神のオーラを纏うとは。これなら銀羽織を纏うことが出来るやもしれん・・・」
「銀羽織?」
「そんな事も知らんのか?いやっ知っているはずがないな。我々稲荷神がそう呼んでいるだけで、お前達に馴染みがある人間神はそれを天の羽衣と呼ぶからな。宇迦之御魂大神様、もし許可を頂けるなら稲荷神昇進試験を受けさせてはいかがかと」
「フム、前代未聞じゃな。ホッホッホッ面白い。受けさせよ」
「はっ」