落とせ!難攻不落の姫路城!!94
『阿修羅様おやめ下さい。もう降参してるんですよ。ここで引きましょう。こんなにも強い神をボコった阿修羅様の文句を言う命知らずなんていませんよ。それにコイツの言う通りです。私は阿修羅様のことが好きです。あなたに残されたものが赫怒の炎だけだなんてそんな寂しい事を言わないで下さい。それにあなたを救うって言ってくれた沙織さんもいるじゃないですか。あなたは決して一人なんかじゃない。阿修羅様、どうかお願いします。ここで引き返して下さい。もし沙織さんの精神を破壊すれば、私はあなたを絶対に許しませんよ!』
『何故だマハル?邪魔をするな。コイツを殺せば俺は役目を終え、沙織は解放されるんだぞ』
『馬鹿野郎!コイツがどんな神かは知らんが、もう降参してるんだぞ。流れの中で殺してしまったというのと、降参してるのにあえて殺すというのは全く話が違う。お前が知らない方がいいというぐらいの神だ。眷属がいるんだろう。必ず復讐されるぞ。今この瞬間だけ沙織さんを助けても意味がねえだろが!』
『それならそいつらも滅ぼせばいい』
『チッ話が通じねえ。完全に狂戦士化してやがる。止めろって言ってんだろが!阿修羅監獄―牢―』
精神世界の阿修羅の周囲に鉄の杭が現れ最後に天井を覆う。阿修羅の現世への影響力を遮断する効果のある牢屋だ。
『阿修羅様、大人しくしていて下さい』
しかし阿修羅はそれに手も触れず、オーラの爆発的な放出により吹き飛ばす。それだけではなく、マハルもバーも吹き飛ぶ。
『この野郎!大神様の加護がなかったら死んでたぞ!どんだけ力を解放しているんだ』
マハルはボロボロになった服を破る。その胸には帝釈天の紋章が刻まれていた。入れ墨などではない。マハルの一族が帝釈天に連なる一族であるため、その当主として相応しいものに代々紋章が浮かび上がるのだ。マハルはこの紋章を通じて帝釈天の力を使役することが出来る。
『偉大なる帝釈天様。我に阿修羅を封じる力をお授け下さい。阿修羅監獄―地獄縛―』
床が地獄と繋がり数多の亡者が現れ阿修羅を押さえ込む。阿修羅はまたオーラを放出して吹き飛ばそうとするが、オーラは全て地獄に吸収される。
阿修羅は身体にへばり付いた亡者を引き剥がしては殺し、引き剥がして殺すが、亡者は次から次へと地獄から這い上がってくる。
いつもなら地獄に連れて行かれ、好き放題暴れたのちにまたひょっこりとバーに顔を出すが、今回は勝手が違う。引きずり込まれる素振りさえ見せない。亡者をサンドバッグのようにボコボコにし続けている。このままでは沙織への影響力を遮断することが出来ない。
『アダム、沙織さんを護れと言ったはずだ!早くなんとか・・・しろ!長くは・・・もたん!』