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落とせ!難攻不落の姫路城!!90

鎧武者がヘリを落とすため出て行ったあと、沙織は願った。


「あっ阿修羅・・・様・・・助けて・・・くださ・・い。アポロは・・・アポロは私の大事な家族なんでゲホォッ。連れていかれるなんて・・・やだよおぅ・・・」


その願いに呼応し、鎧武者に投げ捨てられ、お堀の底に溜ったヘドロの中にあった阿修羅の剣が光り輝く。そして主人の元に返るかのように浮き上がり、最上階に向けて飛ぶ。それは鎧武者の亀甲縛鎖をいとも容易く破壊して沙織の手に収まる。


「マハル・・・行くぞ」


「ちょっと待って下さい阿修羅様。アポロさんを貰うと言ってますが嘘では?阿修羅様も何か理由があるのではと言っていたではありませんか。ここは穏便に―」


「マハル!!!」


阿修羅が怒気を含んだ声で怒鳴る。


「お前、俺がここに封印される事になった発端の事件を知らない訳がないよな」


マハルを射殺すような目で睨む。


「フーッそうですね。阿修羅様は引くこと出来ませんよね」


阿修羅が『あいつ』という敵、帝釈天たいしゃくてん

元々阿修羅と帝釈天は、帝釈天をトップとするグループの一員であった。

阿修羅には娘がおり、ゆくゆくは帝釈天に嫁がせたいと思っていたのだが、帝釈天が無理矢理娘を奪った。その事に激怒した阿修羅は帝釈天に戦いを挑んだが、何度も何度も敗北した。それでも戦いを止めない阿修羅は次第に変質していった。阿修羅の戦いを始めた理由は娘を持つ父なら誰もが理解出来るものであり、正義と言える。しかし正義といえども戦いに明け暮れることで、神として最も大事な物の一つである『ゆるす心』を失ってしまったのだ。そのため阿修羅は天界を追われ封印される事となった。


そんな過去を持つ阿修羅が目の前で家族を引き離そうとする行為をどんな理由があれ、見逃すことが出来るだろうか。いや、出来るはずがない。


そんな事をすれば自分そのものを否定する事になる。娘を取り返そうと戦いに明け暮れたその行為が嘘になる。今も心の中では帝釈天に対する怒りが燃え上がっており、赦す心を取り戻していない阿修羅にとってそれは消滅する事もあり得る行為だ。断じて見逃す訳にはいかない。


そんな阿修羅の過去を知るマハルには選択肢はなかったが、実はマハルも同じ気持ちだった。阿修羅に留まるよう進言したのは、自分が阿修羅を抑えきれなかった場合、アポロどころかアダム、サヤカも失ってしまいさらなる悲劇が沙織を襲うのではないかと不安だったからだ。


マハルはインドでもアダムがアポロの奪還に失敗した際には、自分がブローカーをブチのめして奪還してやろうと思っていたほど仲間を大事にする男だ。自分の心の中に住み、ただの人間である自分に毎日毎日うるさいと思う程喋りかけては大笑いする阿修羅に、マハルは確かな絆を感じていた。阿修羅と共に戦うことに何の迷いもない。阿修羅がどんな神か知らない方が良いと言っていたが、そんなことどうでも良かった。そんな神など俺こそが滅ぼしてやるとマハルは思っていた。


「そうだ。理由など関係無い。家族を人質にとる輩など、どんな神だろうと俺が斬る。いくぞマハル!」


「フフッ嫌いじゃ有りませんよその考え方。どこまでもご一緒します阿修羅様」


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