落とせ!難攻不落の姫路城!!89
ウィングが放った術は強力である。しかし余りにも目立ち過ぎた。鎧武者は上空に打ち上げられた瞬間に警戒した。ミサイルの直撃を避けるため、アダムに対してしたようにクナイで迎撃しようと刀を消し、代わりに指と指の間に挟むようにクナイを創造した。両手で計8本のクナイで鎧武者はペトリオットミサイルに挑む。
「相手にとって不足なしじゃーーーーーーー!!」
鎧武者は右手の4本のクナイを放ち4基のミサイルの迎撃に成功する。あと4基、同じように今度は左手のクナイを放とうとした時、ミサイルよりも強烈な何かが迫る気配がして、1本を残し振り返る。
ぎりぎり、ぎりぎり顔面への防御が間に合う。しかしその代償としてクナイが粉々に砕け散った。
「クナイといえどワシが創造した武具を砕くとは・・・アダム!お主は本当に面白い」
ペトリオットミサイルが鎧武者に着弾する。
「ヘヘッガイ、クナイの数は不足しちまったな。ホテルでの借りはかえしたぜ」
大天守付近の木々の中にアダムはいた。対戦車ライフルを木の幹を利用して上方に向けチャンスを待っていたのだ。
「お前はヘリのミサイルから俺を護ってくれたんだよな。ありがとよ。でもよ、アポロを、家族を奪おうとするお前を倒さない訳にはいかねえ。許して・・・くれ・・・」
弾丸にあまりに大量のオーラを込めたため、アダムは姿勢を維持出来ず、木からずり落ちる。
地面に大の字になり、そのまま意識が失われようとする瞬間、アダムは自分の舌を噛んで抗う。
「俺が、俺が寝てどうする!大切なものを護れるかどうかはこの瞬間に掛かってるんだぞ!!俺がみんなを護るんだろが!ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
アダムは気合いを入れ、ふらつきながらも立ち上がった。そして白百合から渡されていた霊水を飲み、頭からぶっかけてまた戦場に戻っていく。
光と炎が収まり、空にまた闇が戻った時、鎧武者はダメージを受けつつも宙に浮いていた。
「むう、危なかった。しかし沙織の『火龍王の咆哮』ほど脅威ではなかったのが幸いじゃったの」
鎧武者は辺りを見回す。
「ふむ。これで全滅かの?ホッホッホッ面白かった。面白かったぞホッホッ―」
戦いの余韻に浸ろうと、今にも燃え落ちそうになっている大天守に目を移した時、鎧武者の顔が凍りつく。
「貴様!!!」