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落とせ!難攻不落の姫路城!!84

「ヤバかった~~~」


アダムは心底ホッとしていた。


「チクショー、あいつダメージ通ってないのかよ。これ以上強い攻撃したらサオリンの手足を駄目にしちまうかもしれねえ。サオリンを正気に戻す方法何かねえか」


アダムがそんな事を考えながらバイクを飛ばしていると一つのアトラクションの看板が目に入った。


ミラーハウスはこちら


「ミラーハウスってたしか鏡の迷路・・・それだ!」


アダムはミラーハウスの中に入る。

追いついてきた阿修羅も警戒しながら入っていく。


その瞬間、自身に向けられた凶悪なオーラを察知し、阿修羅は何度も剣を振るった。その度に鏡が砕け散る。


「ヘヘヘッどうした?お前を狙う奴でもいたか?それは阿修羅、お前自身だよ。魔に落ちたお前のオーラが反射されているんだよ」


阿修羅はアダムの言う事など耳を貸さず、至る所から感じる敵意のオーラを刈り取るように剣を振るう。しかしそれは鏡を細かくし、さらに自分に向けられる敵意を増やすだけだった。


「クックックッ分かるか阿修羅?お前が天界を追われたのはそういう事なんだよ。『人は鏡』っていう言葉が人間の世界にはある。簡単に言えば、人に明るく話しかければ、他人も自分に明るく喋りかけてくれるが、逆に話しかけずにいれば、他人も話しかけてくれないってな。じゃあ敵意を向ける者はどうなる?特に『ゆるす心』を失ったお前は問答無用で全てを傷付ける。しかも歯止めが効かないときたもんだ。そんな奴なんかボコボコにして追い出して、二度と戻って来られないようにするに決まってるだろ」


阿修羅はそれでもアダムの言う事など聞かずに暴れ回る。しかしこれはアダムの思い通りだった。鏡には先程アダムの言った通り魔をはね返す力があるが、もう一つ別の一面がある。


―異界と現世を繋ぐ―


そう、アダムはこの鏡を使って阿修羅の集中を削ぎ、そして阿修羅の中にいる沙織に呼びかけることこそが、このミラーハウスに阿修羅をおびき寄せた目的だった。


「おい聞こえるかサオリン!なんつーツラしてんだ!いつも以上に不っ細工なツラしてんぞ。眉間にしわ寄せて、鼻にもおびただしい皺が一杯だぜ。いつまでもそんな顔してちゃ顔にくっきりと皺が残るぞ。同じ皺残すんでも俺達と一緒に笑い皺残せ!さあサオリン、こっちに帰ってこいよ!」


アダムは必死に沙織に呼びかける。


「グゥゥゥゥゥ・・・」


阿修羅は苦しそうなうめき声をあげる。アダムの声は聞こえているようだ。


「よし!」


アダムはガッツポーズする。そんなアダムは今外にいる。阿修羅が入ったのを見計らって、こういう施設には必ずあるギブアップした人達専用の出口からすでに外に出て、沙織が作った御札をミラーハウスの四方に貼り、中の鏡の呪力を高めていた。そして自慢の耳と鼻で阿修羅の動きを感知しながら、ゴーストウォッチを使って沙織に話しかけていた。


沙織との主導権争いは凄まじく、アダムが阿修羅に加えた攻撃以上にこたえているようで、頭を抱えて苦しんでいた。そして阿修羅がこの状態を打破するため、ミラーハウスを吹き飛ばそうとしているのをアダムは感じ取った。


「サオリン、スキを作ってやるから戻ってこいよ」


次の瞬間ミラーハウスが大爆発を起こした。

御札を貼ると共に設置した爆弾のスイッチを入れたのだ。


巻き起こった土埃が風に流されると、そこには全身に鏡の破片が刺さり、シャツを血で赤く染め、両脚も血だらけ、さらに両腕で顔を防御してはいるが、血が頬を伝い顎から滴り落ちている沙織がいた。


「サオリン!」


アダムは動揺した。しょうが無いとは言え、自分の家族を血だらけにしてしまったことにアダムは動揺した。


沙織を正気に戻すはずが、血だらけの沙織を見てアダムの方が一瞬正気を失ってしまった。しかしその一瞬が命取りだった。


その隙を逃さずアダムに超スピードで近寄り、アダムの首を掴んでそのまま吊り上げた。


「チクショウ阿修羅!サオリンを返しやがれ!グアアァァァ」


阿修羅はアダムをくびり殺す勢いで左手に力を入れる。右手に阿修羅の剣を構え、あと数秒後にはアダムの腹に穴が開くのは確実だ。


「ここが限界です阿修羅様!アダムが死んでしまう」


阿修羅の能力で沙織の視界を共有していたマハルが叫ぶ。


しかし阿修羅は反応しなかった。今まで30%以上解放したことがなかったため、この開放率になると自分の言葉さえも通じなくなるのかとマハルは不安を覚えた。


マハル自身も阿修羅が際限なく暴走しないようにするための術を今までずっと展開しており疲れ切っている。このままではマズイ。最後の手段に出る前にマハルはもう一度阿修羅に叫ぶ。


「阿修羅―」


阿修羅がマハルに手のひらを向けて制止する。


「大丈夫だマハル。お前のおかげでまだ・・・俺に自我は・・・ある。沙織がアダムを殺そうとしても・・・さっきのようにギリギリ避ける事が出来る。だから待て・・・待つんだマハル。沙織が何かをしようとしている・・・」


「えっ沙織さんの支配が優勢なんですか!?」


「いや、そうじゃない・・・しかし今、急激に盛り返されている。沙織は何かするつもりだ・・・この状況から沙織は何を・・・」


沙織は阿修羅の支配に対抗し、アダムを離す。そして―


沙織の動向を見ていたアダム、阿修羅、マハルは驚愕する。


「止めろ!何をする気だサオリン!」

「よせ沙織!」

「沙織さん!」


次の瞬間、沙織は阿修羅から支配権を取り戻した。


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