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落とせ!難攻不落の姫路城!!78

「阿修羅様、落ち着いて下さい。沙織さんが怖がっています」


マハルに諭され、自分が女性に失礼な事をしていることに気付き、即座に沙織の腕を離す。


「すまない。許してくれ。おいマハル、水を一杯くれ」


マハルが大ジョッキになみなみと注いだ水をひったくる様に取ると阿修羅は一気に飲み干す。


「フ~~~ッ少しは酔いが醒めたか。おい、もう一度聞く。西九条と言ったか?」


「はい、私は西九条沙織ですが・・・それがどうしたんですか?」


沙織が恐る恐る聞くと、阿修羅は下を向き、肩をブルブル震わせている。


「お前は西九条 隆文たかふみの娘だな!ハハハーーーッよく来た!」


「ヒィィィィィィィィィィ」


阿修羅は沙織の腕の付け根に手を差し入れて持ち上げ、クルクルと回転しながら喜ぶ。


「コラ阿修羅!何度も言わすな」


マハルに言われてまた自分が女性に失礼な事をしたことに気付き、すぐに降ろす。


「沙織、沙織と言ったな。すまない、女性に対して失礼な事をした。許してくれ。おいマハル酒だ!宴会だ!今日は飲み明かすぞ!ハハハーーーッ」


「さっき酔い覚ましに水を飲んだとこでしょうが!それに沙織さんは飲みませんから。さっさと沙織さんの話を聞いてあげて下さい」


「なんだ飲まねえのか残念だ。いやっ安心してくれ。俺は酒を強要したりしねえからな。嫌がる顔を見ながら飲む酒ほど不味いものはねえからよ。それで沙織アイテテテテテテ」


「だっ大丈夫ですか阿修羅様」


沙織は頭を押さえている阿修羅を気遣う。


「沙織さん大丈夫です。ただの二日酔いです。たくっこの酔っ払いが!もう一杯飲んどけ!」


マハルはもう一度水をなみなみと注いだ大ジョッキを渡そうとするが阿修羅は拒否する。


「おいおいマハル。俺は酒を飲んでる時の方が調子良いって知ってるだろ?本当に酔いが醒めたらお前どうするんだ?」


マハルがゴクリッと息を飲む。


「分かったらウィスキーロックだ」


マハルは沙織をこれ以上煩わせたくないので手早く、無駄な動きなく作る。


「お待たせしました」


「さすがだマハル。お前の酒を作る動きで酒が飲めるぜ」


「阿修羅様、私の事はいいですから早く沙織さんの話を聞いてあげて下さい」


「そうだった。さあ沙織、ここに座って。俺に話を聞かせてくれ」


「あっはい、じゃあ―」


「ちょっと待った!」


沙織はまだ何かあるのかとビクビクする。


「ハッハッハッ忘れてたぜ沙織、乾杯だ!」


阿修羅は沙織の顔の前にウィスキーの入ったグラスを持ち上げる。


沙織は慌てて自分のグラスを取りにいこうとすると、マハルが新しく水の入ったグラスを沙織に渡してくれた。


「ありがとうございますマハルさん。それじゃ阿修羅様、乾杯!」


チンッ


阿修羅は一気にウィスキーをあおる。


「プハーーッ効く~~~~!マハルッお替わりだ」


マハルは全然話が進まないことに呆れるが、お替わりを用意しなかったならもっと話が進まないことが分かっているので手早くお替わりを用意する。


「おおすまねえなマハル。さて沙織、話を聞こうか」


「あっはい、あの、阿修羅の剣を使うには阿修羅様と契約をしなくちゃいけないって父のノートに書いてあったんで、阿修羅様と契約しにきました」


「ああそんな事か。必要ない」


阿修羅は軽く沙織のお願いを拒否し、ウィスキーに口をつける。


「ちょっ待って下さい阿修羅様。私には阿修羅の剣の力が必要なんです。どうかお願いです。力をお貸し下さい」


沙織はイスから立ち上がり、阿修羅に深く頭を下げる。


「おいおい沙織、頭を上げろ。お前は勘違いをしている」


沙織は訳が分からず頭をあげる。


「あの、何を勘違いしてるんでしょうか・・・」


「クックックお前には契約は必要ないってことだ。さあ、そんなにかしこまるな。イスに座って楽にしろ。お前にそんな態度を取られると隆文に娘をいじめていると誤解されちまう」


阿修羅は優しく笑いながら沙織の肩をポンポンと叩き、緊張をほぐす。


「いいか沙織、阿修羅の剣は神器だ。生半可なオーラの持ち主じゃ反応すらしない。しかしこれを作った奴はな・・・まあ詳細は省くが、俺に少しでも怒りを静めて欲しくて、俺と契約する事が出来たなら使うことが出来るようにしたんだよ。まあムカつくがそのおかげで隆文とも出会えて俺の怒りがほんのほんのほんの少しだけ鎮火したがな」


阿修羅は怒りがおさまった訳ではないと抗議しているような顔で、ウィスキーの入ったグラスを揺らしながらブツブツ言っている。


「じゃあ私は阿修羅の剣を発動するのに十分なオーラを持っているから契約なんてしなくても良いってことですか?」


「その通りだ沙織。まあその他にも俺の力を使って悪事を働こうとする者にも反応しないが、お前にそんな心配はない。お前は隆文と同様、常に人々の事を考えて行動している。本来ならこんな所にいないで俺がしなくちゃならんのだがな」


阿修羅は沙織に頭を下げる。


「そんな阿修羅様、顔を上げて下さい。お願いします」


阿修羅は沙織の言葉を受け、頭をあげる。


「それで沙織よ、それだけか?それだけなら俺は最初に答えたつもりなんだがな。『何しに来た』ってな。いやっすまん、分かる訳ないか。それなら何でここに飛ばされたって話―あいつか!!」


阿修羅がカウンターにグラスごと手を叩き付ける。


「ヒィィィィィィィィィィ」


バキバキバキっとカウンターに大きな亀裂が入り、グラスも粉々に割れる。それに合わせてマハルも苦しそうな顔をする。


「あっすまねえ沙織、それにマハル・・・大丈夫か?」


「馬鹿野郎!ここは俺の精神世界ってことを忘れたのかテメエ。お前をまたガチガチに拘束して閉じ込めてやろうか!」


「悪かったって。拘束するのは止めてくれマハル。お前もりただろ?俺が四六時中暴れるのは。先祖からの長い試行錯誤の末にこの関係に辿り着いたんじゃねえか。機嫌直してくれよ。あと申し訳ないがお替わり」


阿修羅は頭を掻きながら、もう一方の手の中で粉々になったグラスを見せる。


マハルは額に青筋を浮きだたせ、思いっきり阿修羅を睨む。


「お待たせしました。お替わりです阿修羅様!」


カンッとグラスをいつの間にか修復されたカウンターに叩き付ける。


「おう。ありがとよマハル。あ~美味い」


阿修羅はマハルとは反対に、上機嫌でまた酒をあおる。


「あっあの~・・・」


「あっとすまん沙織。何だっけ?」


「阿修羅様と契約する必要はないって話なんですが、それじゃあ私はもう帰っても大丈夫ですか?」


「いやっ少し話をしよう。契約を交わす者に言うことなんだが沙織も知っていた方が良い」


「はい、是非お願いします」


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