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落とせ!難攻不落の姫路城!!70

「じゃあ次は俺のバンだな」


アダムは土煙に覆われている鎧武者にアサルトライフルのフルオートを叩き込む。


ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・


「チックソが」

アダムが毒付く。アサルトライフルの弾の発射音に紛れて甲高い金属音が紛れ始めたからだ。


ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギン・・・


土煙を押しのけ、弾丸をはじきながら鎧武者が出てくる。鎧武者は腕を守る籠手こてや肩を守る袖をボロボロにしながらも両手に持った刀で弾丸を斬り、弾き、逸らしアダムに迫る。


ダダダダダダダカチンッ


弾切れだ。鎧武者が一気に距離を詰め、アダムの頭目がけて二本の刀を振り下ろそうとした時、天守閣に爆発音が鳴り響く。


ウィングのクレイモア呪符が炸裂したのだ。


アダムは弾切れになる前に、ウィングにアイコンタクトしていた。ウィングはアダムの意図を読み取り、さっきのように鎧武者が突っ込んで来るのを、罠を張って待っていたのだ。


天井に仕掛けていたクレイモアから数百のオーラの弾が鎧武者に降り注いだ。さすがの鎧武者もこれを一発一発刀ではじくのは無理だ。しかも防御が難しい頭上からの攻撃。アダムはマガジンを交換して狙いを定めつつ、クレイモアの爆発による煙が晴れるのを待つ。


沙織達も息をのんで待つ。


格子窓から吹き込む風が煙を外に追いやり、鎧武者の姿が露わになる。


「馬鹿なっ!お前それは・・・」


アダムが驚愕する。


「ホッホッホッせっかくのチャンスに攻撃の手を休めるとは優しい者達じゃな。ワシは言うたはずじゃぞ。殺す気で来い。殺せればいいのと」


鎧武者の手には5階層でヒグマが持っていたのと同じ楯が右手に装備されており、クレイモアの弾を全て回避していた。


アダムがすぐに至近距離から鎧武者に発砲しようとするが、楯で銃口をずらされ、無防備になった顔にぴょん太のマッハパンチを想記させる左ストレートが直撃する。アダムは吹っ飛ばされ壁に激突する。


隣にいた沙織は、鎧武者を殴り飛ばそうとパンチを繰り出すも盾で受け止められてしまう。そして鎧武者が「フンッ」と楯に力を込めると、沙織はアダムと同じように吹っ飛ばされた。


直後、鎧武者のグローブをはめた左腕に白百合の炎のムチが巻き付き動きを抑える。サヤカは鎧武者の後頭部目がけて金属バットを振り下ろし、ウィングが前からサバイバルナイフを鎧の隙間目がけて襲い掛かる。


しかし、サバイバルナイフは右手に持った楯で防御され、金属バットは、左腕を炎鞭えんべんで引っ張っているのにも関わらず、それを意に介さず振り上げて容易たやすく受け止める。


腕を振り上げた勢いで引き寄せられた白百合は腹に蹴りをカウンターで入れられその場で悶絶する。追撃を防ぐためサヤカ、ウィングがすぐに白百合の側に駆け寄り護る。


「ホッホッホッ炎鞭か。白百合よ、これがお主本来の戦い方か?まだまだ修行が足りんの。しかし悶絶しながらも術を消さない精神力は見事。さすが東九条家の次期エースじゃな」

自分の振り上げた腕に巻き付けられた炎鞭を見ながら鎧武者が言う。


「ガハッゲホッ・・・アダムさんに放ったパンチ・・・あれはぴょん太の・・・何故お前が」


「ホッホッホッ戦いには冷静さが必要ぞ。この程度の修羅場で質問に質問で返すようでは、心理戦はまだまだじゃな・・・まあ良い、クマ太郎もぴょん太も良い技を持っておったからの。真似さしてもろたわい」


「真似ってヒグマの楯は通販で買ったもんでしょうが!」


技を真似るだけならまだしも、物質さえも創りだしていることにサヤカは納得いかず文句を言う。


「ホッホッホッ別に驚く事はなかろう。アダムも出来るではないか。ただこの楯は特別製ぞ。ヒグマの持っていた物は耐久力に問題があったからの、ワシが納得いく強度の物に変更した。沙織のパンチすら防ぐ業物わざものになっておるホッホッホッ」


サヤカは絶句する。アダムに一度聞いたことがある。『俺はスパイに関連するものを作り出す事が出来るが性能は本物より劣る』と、鎧武者はアダムに出来ない事をあの一瞬でやってのけたのだ。サヤカは背筋が凍る思いがするが精一杯強がる。


「フンッそれがどうしたッスか!そんな猿真似でアーサー探偵団が倒せると思ってるッスか!」


ガイの背後に静かに喪ヤカが現れる。喪ヤカはゆっくりと近づいていく。


「ホッホッホッその意気や良し!まだ戦いは始まったばかりじゃホッホッホッ」


ガイはそう言いながら、自分を拘束している炎鞭をほどくどころか腕に巻いていく。サヤカはその意図が分からなかったが、『そんな事はどうでもいいッス。考えても分からない事に頭を悩まして集中を欠くなッス。喪ヤカの攻撃を精一杯サポートするのが今一番重要なことッス。あとアリタンの回復が少々ッス』と考え鎧武者の意識をこちらに向けさせる事に集中する。


「気になってたんスけど、その二刀流はもしかして宮本武蔵の二天一流ッスか?」


「む?ああそうじゃぞ。そう言う名の武士から習ったんじゃ」


「習った?今みたいにパクったんが正しいんじゃないッスか?武蔵に幻術をかけて」


「ホッホッホッさすが探偵事務所じゃな。よく調べておるではないか。しかしパクったとは人聞きの悪い、相応の対価を渡したはずじゃがの」


サヤカのサポートもあり、ガイの背後に近づくことに成功した喪ヤカは、後頭部をぶっ叩くべく金属バットを思いっきり振り下ろす。


「ムンッ」


鎧武者は喪ヤカがバットを振り下ろすと同時に炎鞭を白百合ごと振り回す。周りにいたサヤカ、ウィングを巻き込みそして喪ヤカに激突する。


四人は壁まで吹き飛ばされる。炎鞭を腕に巻いていたのは長さを調節するためで最初から喪ヤカのことはバレていた。


「サヤカに喪ヤカよ、バットは縦に振るもんではないぞ。こう横に振るのじゃホッホッホッ」


鎧武者は一人小さかったため、炎鞭の大回転に巻き込まれなかったアポロの前に立つ。


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