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落とせ!難攻不落の姫路城!!68

「しかしアダムよ。お前のマシンガンは凄い威力じゃな。亀治郎の甲羅がもう限界じゃ」


弾丸を腕ではじいたカラクリは、ゾウガメの精霊を楯に変化させ腕に装着していたからだ。


「亀に・・・はじかれたのか・・・ショックだぜ」


「ホッホッホッ気にする事はない。亀治郎単体の力では今頃この甲羅は蜂の巣になっておるわ。ワシが限界まで強化したからこそじゃよ。それなのにこの有様。誇って良いぞホッホッホッ。さてと、サヤカはここから放り投げたが・・・」


「ヘヘッ・・・亀は千尋の谷に落としたりしないだろ」


「そうなんじゃが・・・何という名前じゃったかのう・・・おお、そうそうアイスキュロス!」


「アイス・・キュロス・・・・・待て!」

アダムは何か知っているのか脚をバタバタと動かし、脱出を計ろうとする。


「ホッホッホッ無駄じゃ無駄じゃ。そうかアイスキュロスを知っておるか。さすが探偵事務所をやっているだけの事はある。みな博識じゃのホッホッホッ。お前達は知っておるかの?」


白百合とウィングはアイコンタクトするも二人共知らないようだ。


「そうか知らぬか。アイスキュロスは古代ギリシア アテナイの三大悲劇詩人の一人じゃ。その者はある時、神のお告げを聞いたのじゃ。『天からの殴打によりお前は死ぬことになる』とな。その者は家にこもったりしたのじゃが、一生外に出んという訳にはいかんじゃろ?ある日、細心の注意を払いながら外に出たんじゃ。外出は成功し、頭上には青い空が広がるだけじゃった。じゃが・・・その者の頭の上に鳥が亀を落としての、死んでしもうた。酷い話じゃよ。この者にお告げをしたのがどんな神かしらんが、ワシなんかよりよっぽど悪神と思わんかウィングよ」


「そんな大昔の事なんか俺にはどうでも良い。それより今現在、仲間の首を絞めているお前のほうが、俺にとってはよっぽど悪神だ」


「ホッホッホッ言いよるわ」


「クッ・・・俺は亀じゃねえがよ・・・投げるなら早く投げろ!」


「ホッホッホッアダムよ。逃げようたってそうはいかんぞ。お主をこの窓から投げ捨ててもかすり傷すら負わんじゃろうが。それにアイスキュロスの話とズレが生じてしまうじゃろ?」


「どっどう言う事だ?」


「こういう事じゃよ。亀治郎よ、戻れ」

鎧武者が、甲羅の楯を装着していた腕に向かってそう言うと、甲羅の楯が手の平サイズのゾウガメの精霊に戻り、鎧武者の手のひらの上に移動した。そして鎧武者は亀治郎をバシンッとアダムの背中に叩き付ける。するとアダムの背中に甲羅が装備された。


「グアァァァァァァァくっ首が・・・・・」

甲羅の重みで下に引っ張られ、アダムの首がより絞まる。

「ホッホッホッ亀の甲羅、良く似合っとるぞアダム。亀治郎の能力はの、お前達に分かり易く言えば子泣き爺じゃ。その甲羅が時間と共にどんどん重くなり圧殺するんじゃ。さてこれで亀になったことじゃし、言い伝え通りよ。沙織がアイスキュロスにならんかったらいいのホッホッホッ・・・行ってこい!」


鎧武者はとんでもない重量であるのにも関わらず、亀治郎を装備したアダムをオーバースローで天守閣から放り投げた。


「サッサオリィィィィィィィィィィン優しくキャッチしてぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・」


「ホッホッホッ元気があってよろしい!」


「さて、残りはお主達じゃが、覚悟はいいかのホッホッホッ」


「チッ半端ねえな。沙織さんはともかくアダムさんはクマ太郎を圧倒したんだぞ。それに頭も切れやがる。沙織さんはサヤカさんを受け止めている。もし同じような感覚で精霊化しないであの状態のアダムさんを受け止めでもしていたら・・・」


ウィングは一気に三人を仕留めようとした鎧武者に恐怖を感じた。身体も知らず知らずの内に硬直していた。そんなウィングに白百合が向き直る。


「どっどうした白百合!敵に背を向けブベェ」


白百合の強烈なビンタがウィングの顔に炸裂する。


「この軟弱者が!!相手が私達よりも数段強い事など分かっていただろうが!たとえ勝てなくてもやるしかないんだ。それなのにやる前から気持ちで負けてどうする愚か者が!お前は自衛隊の看板を背負っていると言っていたな。今すぐ辞表を出せ、持っていないなら口頭で辞めると今すぐ言え!全国の日本を護っている自衛官達に申し訳ないと思わんのかこのクズが!」


「・・・すまん白百合。もう大丈夫だ」


「ふんっそのようだな。お前はこいつにビビっているが何を恐れる必要がある?コイツはただの卑怯者だぞ」


「何?このワシが卑怯者じゃと?どういう意味じゃ白百合、言うてみよ。言い掛かりなら許さぬぞ」


今度は鎧武者に向き直り言う。


「許さぬのはこっちだ卑怯者め!沙織さんは質問が二つあると言ったはずだ!それなのに一つしか答えず、それどころかお前を信用し、無防備なままで二つ目の質問をしようとした沙織さんをお前は攻撃した。これが卑怯者でないなら何だ!」


「ホッ!そうじゃったか~すまんすまん許してくれ。ワシもここまで戦いたくてウズウズしとっての。待ちきれなかったんじゃ。では皆が戻ってくるまで休戦じゃ。よっこらせ。お前達も座って待つがよい」


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