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落とせ!難攻不落の姫路城!!67

姫路城の天守閣には神社がある。長壁おさかべ神社だ。鎧武者はその社の上に腰を下ろして待っていた。


「来たか。覚悟は出来たようじゃの。さあやろうか」


「何言ってるッスかガイ!サヤカ達はお前のことが信用してねえッス。面頬で表情を隠してるお前に信用なんかないッス」


「ホッホッホッそれは困ったの。でもサヤカの言う事ももっとも。これから戦うというのに顔を隠したままなのも失礼じゃな」


鎧武者は面頬を外す。そこには狐の顔があった。


「どうじゃ?男前かの?」


「ふんっアポロの方が可愛くてカッコイイです~~」


「ホッホッホッそれはワシも同感じゃ。ワシもアポロが大好きじゃ」


「う~~~っ・・・」


「もう止めろサヤカ!ガイに一言いいたいお前の気持ちは分かるが、神様だしあんまり失礼なことは言いたくないというお前の気持ちを読まれて、楽しませてるだけではないか」


「いやアリタン!これからサヤカの話術でガイを泣かすとこッスよ~!」


二人のやり取りに鎧武者は大いに笑う。


「ありがとうサヤカちゃん」


沙織がサヤカに微笑む。それを見てサヤカはあっさり引き下がる。


「鎧武者、まだ準備が出来てないわ。二つ聞きたいことがあるわ」


「なんじゃ次は沙織か、いつまでワシを待たせる気じゃ。はよ、はよ言え」


「ガイ、アンタに攻撃は効くの?」


「おうそうじゃったのう。効くぞ。耐久力はライナス程度かの。あとこれも忘れちゃいかん。お前達はワシを殺す気で掛かって来い。殺せたらいいがのホッホッホッでは行くぞ!」


「まっ―」


鎧武者は気を抜いている沙織に当て身をし、吹っ飛ばす。沙織は天守閣の格子窓を突き破り落下する。


「沙織さんに何するッスか!これでも喰らうッス」


バキバキバキッ

鎧武者の全身が凍りつく。


サヤカは動物と戦うということが分かった時、東九条家に氷の呪符を用意するようにいっていたのだ。種によっては寒さが苦手な者もいるし、そうでなくとも身体の一部分でも凍らすことが出来れば動物の大きなアドバンテージの一つであるスピードを殺すことが出来るからだ。


「もう終わりッスか!鎧武者はこのアーサー探偵事務所所長サヤカが討ち取ったッス!」


「誰が所長だ!」


「アダムは嫉妬してるッス。動物なんてのは凍らせれば楽勝ッス」


バキバキッ

鎧武者はあっさりと氷を砕くと、サヤカとの間合いを一瞬で潰し、首を掴み吊し上げる。


「サヤカーン」


アダムはサヤカを助けようと銃を構えるが、サヤカを楯にしているので狙いを定めることが出来ない。


「お主が所長?ホッホッホッまだまだ、まだまだまだまだ気が早いのではないかサヤカよ。いや、魔王よ」


「クッ効いてないッスか・・・」


サヤカは両手で鎧武者の手を掴み何とか外そうと試みるがビクともしない。


「ホッホッホッ魔王よ。今までの戦いを見ておらなんだか?ワシはあの者達の大将じゃぞ!あんな氷などでは皮膚すら凍らすこと叶わん」


「グッ・・・離せ!ってこの・・・手は!?」


「おお気付いたか?太いじゃろ?ライナスの手じゃ。お主は魔王というカッコイイ肩書きがあるのに、ワシはただの大将。釣り合いがとれんと思うての。百獣の王であるライナスの手を真似たんじゃ。どうじゃ?同じ王じゃぞホッホッホッ」


鎧武者の手は、自分の首など指をパチンと鳴らす程度の力で千切り飛ばすことが出来ると分かり恐怖に震えた。しかしそれを無理矢理抑えこみ、首が絞まっている状況にも関わらず、精神を集中し喪ヤカを呼びだそうと試みた。


「相棒は喪ヤカと言ったの。出てこないであろう?ホッホッホッ」


「!!ッお前喪ヤカに・・何・・したッスか!」


「別に。相手の能力を潰して己に有利な状況を作るなど当たり前すぎて何やったかすら覚えておらんわ。じゃが心配するな。喪ヤカは無事じゃ。さて、ライオンと言えば『獅子は我が子を千尋の谷に突き落とし、這い上がって来た者だけを育てる』ワシはこの話が好きでのう」


「ちょっ・・待って・・・」


「お主はどうなんじゃろうなあサヤカよ。己の事を所長や魔王と称し浮かれておるが、お主にその資格があるのか?」


「その獅子とライオンは・・・全く別物で無関係―」


「ホッホッホッ細かい事はいいんじゃ。行って来い」


鎧武者はサヤカを背後の沙織がぶち抜いた格子窓から外に放り投げた。


アダムはサヤカがいなくなると直ぐにマシンガンで鎧武者を撃つ。


鎧武者は腕で弾丸をはじきながら一瞬で間合いを詰め、サヤカ同様首を掴まれる。


「お前達動くな」


鎧武者の強大なオーラが二人に纏わり付き、一瞬強制的に脚が止まる。


「クッ!!!」

「チクショーーーーーー!!!!!」


アダムが引きつけてくれているうちに、サヤカを救おうと走り出した二人だったが・・・終わった。


サヤカが地上に叩き付けられるまでの僅かな時間が過ぎてしまった。


「貴様!絶対に許さん!サヤカの仇は私が死んでも討つ」


「サヤカは良い子だった。お前の目は節穴だ。サヤカは将来もの凄い陰陽師になったはずだ。お前はいたずらに少女の命を奪ったにすぎん。この悪神め」


白百合とウィングが烈火のごとく怒る。


「ホッホッホッ案ずるな。命は取らんと言うたじゃろうが。もう少ししたら沙織がサヤカを連れて戻ってくるじゃろうて」


鎧武者の言葉に三人は安堵するが所詮は敵の言葉、白百合とウィングは急いでゴーストウォッチを確認する。鎧武者の言う通り、沙織とサヤカが同一地点にいること、サヤカのバイタルサインが正常だった事に胸をなで下ろす。


「アダムさん!サヤカは無事です」


仲間の言葉にアダムも心底ホッとする。


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