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落とせ!難攻不落の姫路城!!65

「ライナス!」


「ハッ!鎧武者さん。申し訳ありません」


ライナスは唯一少しだけ動く頭部を下げて謝る。


「本当にお主は・・・オムツを履かせてくれたら百獣の王として一生懸命誇り高く戦いますからと言うから履かせてやったというのに・・・自殺が誇り高いと勘違いするとは何事か!」


「すみません。しかしこれが私の最高の攻撃だったので・・・」


「効かんかったよ沙織には。多少のダメージを与える程度じゃ。だから自殺と言うとるんじゃ」


「そっそんな!?」


「ライナスよ、まだまだお主は修行不足じゃな。ワシがお主を鍛え直してやる。まあお主の覚悟だけは認めよう。しかし死に場所を間違うな。死ぬのなら誰かを生かして死ね。分かったな?」


「はい、ありがとうございます」


鎧武者は沙織に向き直り、抱っこしているアポロを手渡す。アポロを受け取った沙織は、アポロの満面の笑顔に、ライナスに対する怒りが鎮火していく。


「沙織よ、ライナスを救ってくれたこと感謝するぞ」


「いえそんな。私がライナスさんの覚悟を読み間違えたのが悪いんです。何やってんだろ私。また私のせいで・・・」


「沙織よ、何でもかんでも背負いこむな。人の背中はそんなに大きくはない。今のはこの愚か者が沙織の温情を全く理解せず、勝手に自爆しようとしただけの話じゃ。沙織が気にすることなど一ミリもないぞ」


「痛い!痛いですって!」


鎧武者はライナスのヒゲを引き千切る勢いで引っ張る。


「ふん、沙織の心の痛みはこんなものではないわ。反省せい!」


ライナスは何度も何度も沙織に頭を下げる。


「しかし見事じゃ。ライナスを縛るこの縛鎖!人間が構築出来る術の精度の極地に達していよう」


「そっそんな、私の縛鎖なんてお爺ちゃんに比べたら・・・」


彼奴あやつを人という枠組みに入れるでない」


「えっ?お爺ちゃん知ってるんですか?」


「西九条弘じゃろ?もちろんじゃ」


「えっちょっともう正体教えて下さいよ。もう何だかんだで仲良くなったじゃないですか」


「ホッホッホッ確かにの。お主達とのこの城内バトル楽しかったぞ。じゃが教える事など出来ん。あとハッキリ言うておく。ワシはお主達の敵じゃ!」


鋭い眼光と共に鎧武者から桁違いのオーラが放出される。沙織達はホテルの時のように吹っ飛ばされないよう両脚に力を込める。


「命は取らんが、相応の痛みを負うことになるであろう。それを覚悟して登ってくるがよい。そしてライナスよ・・・」


「はっはい」


鎧武者は腰にいている二本の刀を抜く。


「えっちょっと!?鎧武者さん?」


キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンッ


鎧武者は一瞬で沙織の縛鎖を細切れにする。


「今から下の階に降り、全員を避難させよ。ここからはこの姫路城全てが戦場じゃ」


「はっはい。了解しました!」

ライナスは階段を駆け下りていく。


「では上で待つ」


鎧武者は最上階に消えて行く。


「フーーーッやっぱメチャクチャだなアイツ」


「アダム、やっぱりこの先はアダムと私だけで―」


「いや、全員で行く。そうだろ?」


「当たり前ッス。アーサー探偵事務所の主役のサヤカが行かないなんて選択肢はないッス」


「アポロは名探偵の助手でしゅよ。付いていくに決まってるでしゅよ」


「沙織さん、当然私も行きます。東九条家から任務を遂行するように申しつけられていることもありますが、私は沙織さんと一緒に戦いたいんです」


「俺もですよ。何のために大規模術式の許可を取ってきたんだって話ですよ。アイツを倒すためです」


サヤカ、アポロ、白百合、ウィング、誰一人リタイアなど考えていない。


「でも問題は攻撃が通じるかどうかで・・・」


「それは大丈夫だと思うぜ」


「どうして?あのもの凄いオーラ見たでしょ?」


「ああ、見たよ。でもアレは神のオーラじゃなかった。俺達と同じ普通のオーラだった」


「でもそんなのたまたまでしょ?」


「いや、そうとも言い切れない。サオリン、ライナスが自爆しようとしていた時の鎧武者の様子見てたか?」


「いや・・・私は見てなかったけど」


「アダムさん、鎧武者はかなり真剣に焦っているように見えました」


「そうだアリタン。じゃあ何故だ?神のオーラを使って術を行使すれば、さっきのライナスのように巨大なオーラを纏っていようともサオリンのように縛ったり、気絶させたり出来たんじゃねえか?」


「まさか使いたくても使えないんスか?」


「そうだサヤカーン。アイツはすでにこの城全部を別の場所に隠して、コピーを置くっていうムチャクチャな事をしている。だからアイツは戦いに割くほど神のオーラに余裕がない、または使えない。案外、治療で使い切ったのかもしれねえ。アリタンの真っ黒な腕を一瞬で治したんだからな。それにほら、サオリンと俺には治療しないって言ってただろ。あれはサオリンと俺は余裕で勝つから必要無いという意味だと思ってたが、使い切ったから出来ないっていう意味も含んでるんじゃねえか。だから今使えるのはメチャクチャ洗練された俺達と同じオーラなんだと思うぜ」


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