落とせ!難攻不落の姫路城!!61
「さて、ヒグマ。続きをやるか」
「はあ~~~これやから京都住みは。いけず言うて楽しむその性格直した方がええで。降参や降参」
「クックックッそうか忠告ありがとよ。サオリンからいつも怒られるんだが治らねえんだよ。まあ気長に頑張るよ」
「アダム!」
「おおサオリン!勝ったぜ!うん?なんだなんだみんな走って来て。勝利の抱擁か?しょうがねえ奴等だブッ」
沙織がアダムを殴り飛ばす。
「アンタ!手榴弾を投げ込むなんて何考えてんのよ!クマ太郎さんの言う通りその性格すぐ直しなさいよ今すぐよ!」
「ホントでしゅよ!ウィングが守ってくれなかったら危なかったんでしゅからね。昼ドラもう一緒に観てあげないんでしゅからね!」
「ほんと馬鹿じゃないッスか!女子中学生に手榴弾投げ込むなんて異常者ッス。今度作る広告にはその事を大々的に書いてやるッスからね!」
「「それはやめろ(て)」」
「おっおう・・・」
沙織とアダムの目力半端ない反対にサヤカはたじろぐ。
「三人ともすまなかったよ。俺が悪かった。許してくれ」
みんなに怪我がなかったし、アダムは全面的に非を認め謝罪している。それに今は依頼の途中ということもあり、アダムを許すことにした。
「ウィングとアリタンも許してくれこの通りだ」
アダムが二人に頭を下げる。
「大丈夫ですよアダムさん。私は自衛隊員ですから。新人訓練で投擲ミスなんて年に何回かありますから」
「私も大丈夫です。アダムさんは間違っていません。突入する時が一番危険ですからね。勉強になりました」
「謝罪を受け入れてくれてありがとよ。まあでも最初にガイが、サオリンや俺が暴れられるように審判すると言ってたから大丈夫だとは思ってたんだよ」
「もうアダムったら!絶対はないんだよ。一応敵なんだし」
「そうだな。でもよ、俺は四階層でガイとやり合って信用しても大丈夫だと思ったんだ。アリタンの腕も治して貰ったしな。ちなみに4階層で俺達を治療してくれたのは、実質そこで家来との戦いは終わりだからだよ。実力差がありすぎてな。そうだろ?」
「ホッホッホッバレたか。アダムと沙織。この二人は別格じゃからの。クマ太郎では勝てはせん。じゃから不意打ちも認めたのじゃが・・・やっぱり負けたの」
クマ太郎が申し訳なさそうに頭を下げる。
「よいよい。気にするな。殆どの者がアダムには勝てはせんのだ」
「いい戦法だったぜ。俺を苛立たせ、油断させてからの不意打ち。自身の巨体とスピードを生かしたタックル、さらに俺の攻撃を受けないように楯を使うオマケ付き。その上、場外に落としてカウント負け狙うなんてよ。見事過ぎて俺は落ちてる途中に冷静になっちまったよ」
「おおきに。そう言ってくれてホンマに嬉しいわアダムさん。ワシ、鎧武者さんから先に対戦相手聞いて絶望してましてん。縄張りを賭けて戦いたい言うたけども選ばせえよ!下の階の奴等卑怯やぞ!なんで2強しか残ってないねんって。鎧武者さんも『おそらくアダムとやることになる。強いから作戦を今から考えて頑張れ』って無茶やで。もうホンマこの階に来ても居留守つこて出て行かんとったろかと最後まで思てましたわ。さっきの場外カウント勝ち戦法が上手くいかんかったら、なんか他の勝負に変えて貰おうて思てたら、肉片に変えられそうになるわでもうムチャクチャですわ。強すぎますわ」
「それでこの階層に来た時真っ暗だったし、お前もなかなか出て来なかったのか・・・でもクマ太郎、お前なかなか強かったぜ。それに相手がサオリンじゃねえ分、お前はついてるよ。サオリンなら手加減間違えて消滅してたかもしれねえからなクックックッ」
「そっそうやね・・・上のアイツに同情するわ。西九条さん、こんな事頼むんも何やけど優し~~く優し~~く倒してあげてや」
ヒグマは沙織に手を合わせてお願いする。
「だっ大丈夫ですよ。それに私より強いかもしれないじゃないですか!」
「「「「「「「それはない」」」」」」」
沙織以外の全員が否定する。
「おいおいお前が言うのはどうなんだガイ」
「別に隠してもしょうが無いじゃろ。逆に強いと言って一瞬で消滅させられたらどうするんじゃ?」
「まっまあそうだな・・・じゃあ降参しようか?」
「申し訳無いが戦ってくれんかの。六階層将軍はこちらの大将軍じゃ。その大役を担っておる者が戦わずして終わるなどワシが認めん。その者も戦わずして終わるなど望んでおらんじゃろうからな」
「まあ戦うのはサオリンだし、ダメージを負うことなんてないだろ。じゃあそろそろその不幸な対戦相手に会いに行くか」