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落とせ!難攻不落の姫路城!!58

「白百合よ面白い試合じゃったぞ。手に汗握る戦いに何度手を出しそうになったことか。さて白百合、腕を出せ」


「敵のお前に言われて『はい、どうぞ』と出す奴がどこにいる」


白百合は鎧武者を睨んで言う。沙織達も同様に鎧武者を睨む。


「いい目だお前達。今すぐ戦いたくなってくるではないか。しかしその腕では・・・興が削がれる。そこでだ、今まで戦ってきたサヤカ、ウィング、アポロ、白百合、お前達は今ここでワシが治療してやろう」


「ハンッとうとう本性を現しやがったか。お上品にするのも我慢の限界かい?」


アダムが白百合の前に立つ。


「ホッホッホッ警戒するなアダムよ。ワシが小細工などする必要がないということは、お主が一番良く分かっているはずじゃ」


「・・・ふ~っそうだな。試合中ずっとお前にアタックし続けたが全く効果がなかったもんな」


今回、アダムが解説席に座った目的は二つある。一つは前述したように白百合をフォローする事、そしてもう一つが鎧武者に対して水面下で攻撃する事だ。サヤカに実況をさせたのは鎧武者への攻撃で忙しく、あまり白百合にかまっていられないと思ったからである。サヤカが騒いだ時が俺の動く時だと定め、二人はバッチバチにやり合っていた。


「大丈夫だみんな。治療して貰え。コイツは俺達と戦うつもりなんだから少しでも消耗させとこうじゃねえか」


沙織達はアダムがそう言うならと治療して貰うことにする。


「白百合よ、こんなに腕が真っ黒になってもぴょん太に向かっていくお主の心の強さに驚いたぞ。楽しみにしておるからの」


鎧武者は嬉しそうに話しかけながら腕を取る。すると次の瞬間、腕が炎に包まれたかのような熱さを感じる。


「ぐっ貴様!」


「ホッホッホッ腕の調子はどうじゃ?」


「・・・痛くない。腕の色も治っている。いやっ違う。以前より力が増している」


「今ならぴょん太を捉えられるかもしれんなホッホッホッ。すまんのウィング」


「なっなななな何謝ってんだよ。しっ白百合の腕が動いてよっ良かったじゃねえか!こんながさつな女の面倒見なくて済んでせいせー」


ぴょん太から学んだコンビネーションブローをウィングにぶち込む。


「うむ。今まで以上に反応が良く、オーラの伝達もスムーズだ」


ウィングはカウントも必要無いほどピクリとも動かない。


その姿をみて沙織、アダム、サヤカ、鎧武者は大きな溜息をつく。



「じゃあ次はウィングを見てやるかの・・・・・・ふむ、何が骨には影響がないじゃ。肩甲骨にはヒビが入っておるし、肋骨はボロボロ、アゴもあっ!これはさっきのパンチのせいじゃなホッホッホッ強くなっておるようでなによりじゃ。それにしてもウィングもよくこんな肩甲骨で白百合の傷を治療出来たものよ天晴れ!では行くぞフンッ」


「がぁぁぁぁぁぁーーー!」

ウィングは自分が今、BBQコンロで焼かれているかのような熱さを感じて飛び上がる。


「あれ?え!?マジか!?」


ウィングは自分の肋骨を思いっきり叩く。


「全く痛くねえし、骨にオーラが満ち溢れている。凄え。何だコレ」


「ホッホッホッ大丈夫なようじゃな。さて次じゃ」


アポロが前に出る。


「久しぶりじゃの」

鎧武者は小声で言う。


「えっ?」


「何でもない気にするな。この小さな身体でよく頑張ったの。まだまだ本来の力を出すには負担が大きいか。さあ、両手を前に出すのじゃ。少し熱いが我慢するんじゃぞ」


鎧武者は差し出されたアポロの手を取る。


「アッアポロは痛いの嫌でしゅよ・・・」


「そんな事でどうするのじゃ!お主は密林の王者なのじゃぞ!」


「そっそうでしゅた!アポロは密林の王者でしゅ!どんと来いでしゅ!」


口では強がっていても、顔はそっぽを向き、目は思いっきり閉じている。

そんなアポロの姿に鎧武者は慈愛に満ちた笑顔をこぼす。


「では行くぞ。ハッ」


「・・・・・・・・・・あれっ?まだでしゅかガイ?早くやって欲しいでしゅよ」


「アポロよ。もう終わったぞ」


「えっ?全然熱くなかったでしゅよ」


「そうじゃろうな。治療が熱いと言ったのはアポロの怯える顔が見たかったからじゃホッホッホッ」


「もうガイ!ヒドいでしゅよ~~~!でもありがとうでしゅ。身体の痛みが全くないでしゅよ」


アポロは鎧武者と握手し、ブンブンと元気よく振る。


アポロに痛みがないということで全員が確信する。

鎧武者は神だと。


姫路城を消してしまうとんでもない事が出来る時点で全員が思っていた事だが、神と同質のオーラが流れているアポロには痛みがないということは、鎧武者は神ということだ。


「さて次じゃ」


残っているサヤカが前に出る。


「・・・熱いぞ」


「そんな訳ないじゃないッスか~~。サヤカは菅原道真公の子孫であり、巫女ッスよ?神のオーラが流れてるに決まってるッス。あっでも大丈夫ッス。怯えている顔は得意ッスから」


「ほう、何故熱いか気付いたか。しかし道真も大変じゃのう。子孫がこんな馬鹿で」


「馬鹿ってなんスか!サヤカはこれでも東九条家でアッチャャーーーーーーーーーーーーーーーー」


サヤカはまるで全身についた火を消すように何度も何度もゴロゴロと床を転げ回る。


「サヤカちゃんどうしたの!?まさか攻撃?」


沙織が鎧武者をキッと睨む。


「違う違う。ワシは最初に言うたはずじゃぞ熱いと。それにお主自分で言うとったじゃろが、魔王とな。神と魔王の相性が良いわけなかろう。まあ取りあえずやってみたろの精神でやってはみたが、やっぱり出来んかったの。残念じゃホッホッホッ」


「ホッホッホッじゃねえーーーーッス!サヤカは熱い思いしただけじゃないッスか!」


「まあお主次第じゃホッホッホッ」


「何スかそれ」


「じゃあ治療も終わったし、次の階に向かうかの。お主達には怪我をしても治療はせんぞ」


「ハンッ。要らねえし、その必要もねえ事はお前が一番良く分かってるはずだろ?」


アダムの言葉に鎧武者がニヤリと笑う。


「楽しみじゃ。本当に楽しみじゃよ。さあ早く次の階に向かうぞ」


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