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落とせ!難攻不落の姫路城!!56

「まあ勝負を分けたのは2ラウンド2ダウン後のお前のパンチだったな。あれさえ避けられてたら・・・いや、それが勝負だな。3ラウンドまでやるって言って試合を引き延ばそうとした俺が悪い。それとコーギーのオーラにビビったこともだ。要するに俺はお前を倒す事だけを考えれば良いのに余計な事を考えすぎたんだ」


「アダムさんが何かしたのか?」


「あっ!ワリィ・・・余計なこといっちまった。忘れてくれ」


「言ってくれぴょん太。さっきも言ったが私はお前に実力で勝ったなどと毛ほども思っていない。リングの中だからこそ勝てた。それも幾重にも幸運が重なってな」


「お前は強えな・・・あの時、お前は完全に意識を失っていたんだ。正直俺はヤベエと思ったよ。試合が終わっちまったってな。でもその時、サヤカが急にお前に罵声を浴びせ始めたんだよ。それをあのコーギーがもの凄えオーラを出していさめた。その結果お前は意識を取り戻したんだ」


「そうだったのか。悪かったなぴょん太。やはりこの勝負は―」


ぴょん太が白百合の背中をバシンッと叩く。


「何言ってんだ白百合ハッハッハーーーーッ。俺は正直喜んださ。これで3ラウンドまでお前と戦えるってな。それに駄目なのはやっぱり俺なのさ。アダムが解放したオーラにビビっちまったんだからな。リング内にいたことを心底感謝したぜ。この中にいる限り鎧武者様が手は出させないからよ。柵の中の暮らしが長かったせいか、試合中だってのに安心しちまった。それが油断を招いてあのキツい一発を貰う羽目になっちまった。まさか・・・それも作戦のうちじゃねえだろうな?」


「フフッそれは考えすぎだよぴょん太。そこまで見通すことが出来たならそれは人ではない。神か悪魔・・・・・・魔王」


白百合はバッと振り返ってサヤカを見る。サヤカは鎧武者にアーサーボクシングジムというシャツを出して貰い、それを着て敵味方関係無く無邪気に写真を撮っていた。とてもじゃないがそんな事をしたように見えない。一人でぴょん太はおろか自分や、ましてアダムさえも巻き込んで操作していたなどと・・・。


「なくはないか?ハッハッハーーーーッ面白え!良い勝負だったな白百合」


ぴょん太がまた背中をバシバシと叩く。


「父ちゃん!」


ぴょん吉がぴょん太の脚に飛びついた。


「おお、ぴょん吉。すまねえな、父ちゃんのカッコイイ姿見せられなくて」


「何言ってんだよ、父ちゃん格好良かったよ」


「そうだぴょん吉、お前の父ちゃんはカッコイイ男だ。この白百合が太鼓判を押そう」


「白百合強いね!僕が父ちゃんみたいに強い精霊になったら戦ってくれる?」


「もちろんだ。父ちゃん以上に強くなるんだぞ」


白百合はぴょん吉を微笑みながらなでる。


「白百合ありがとよ。お前と戦えて本当に良かった。魂と魂のぶつかり合い殴り合い楽しかったぜ!」


「ああ、私もだぴょん太」


「あと、別の意味でもお前で良かったよ。正直、あの姉ちゃんとコーギーが相手じゃ、俺なんかじゃ1ラウンドも立っていられなかっただろうからな」


「ふふ、お前は違いの分かるカッコイイ男だ。あのお二人は私が尊敬する方々だ。私なんかでは足下にも及ばんよ。ハ~ッそれに比べて私の弟子は相手の強さも分からず無茶するばかりで泣けてくるよ」


「ハッハッハーーーーッそう言うなよ白百合。試合中俺は実況のアイツから異様な圧を感じて気持ち悪かったぜ。何というか操られているような感じがしたんだ。白百合、大事に育ててやんな。あいつは強くなる。それにお前がダウンした時、アイツは誰よりもお前の事を心配して、悲しんで、そして怒ってたぜ間違いねえ。良いコンビじゃねえか」


「そうか、あの声は現実の・・・でもやめてくれ、あいつとコンビなんかではない。ただの師匠と弟子の関係だよ。そして・・・ライバルだ」


「ハッハッハーーーーッおまえも違いの分かるカッコイイ女じゃねえか。またぴょん吉と東九条家に会いに行くからよ。歓迎しろよ」


「ふふ、日本屈指の陰陽道の流派である東九条家に乗り込んでくるつもりとは。やはりお前はカッコイイ男だよ。いつでも来い。受付にカンガルーがボクシングをしに来たと言えば通すように伝えておくよ」


二人は拳を合わす。ぴょん吉も拳を合わそうと手を伸ばす。二人はぴょん吉の高さまで屈んで今度は三人で拳を会わした。


「じゃあな白百合。敗者はサッサと退場するよ」


ぴょん太はぴょん吉を肩車し、大歓声を浴びながら帰って行く。

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