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落とせ!難攻不落の姫路城!!44

「ほら言わんこっちゃない。おいみんな警戒しろ。もしかしたらこっちに飛び火するかもしれねえぞ」


アポロはシバフを踏みつけたまま、さらにまた踏みつけようとする。


「コラ アポロ!アポロは今駆けっこしてるんでしょ。相手を踏んづけちゃ駄目じゃない。ほら早く走って!」


アポロの脚が直前で止まる。沙織に怒られたことで、さっきまで浮かべていた憤怒の形相は消え去り、今は沙織に怒られたことで耳を伏せて落ち込んだ表情を浮かべている。


「ごっごめんでしゅサオリン。そっそうでしゅアポロは駆けっこをしてるんでしゅた」


「クックックッアポロには悪いが、サオリンにかかると猫みたいだな」


アポロは全力で走る。さっきまでのトテトテと走るカワイイ姿ではない。野生のトラが獲物を狩るかのようなまるで全身がゴムになったかのようなしなやかさで走る。


「クックソ」


シバフは急いで脚に絡みついているツタを取り除き、慌てて走り出す。しかしアポロが走った後にはオーラの残滓ざんしがあり、それはトラックに沿って大きなドーナツが置かれたようになっている。


それに触れようものなら電気でも流れたかのような衝撃が襲う。一方アポロはそれを辿たどることでさらにスピードアップしていく。


「チクショー!」


シバフは焦るが、『最速は俺だ!』そのプライドがシバフに限界を超えさせる。自身の記録を更新するスピードで大回りをして、距離的に不利でありながらも徐々にだがアポロに追いついていく。


「おお盛り上がってきたねぇ」


「アポロ~すぐ後ろまで来てるよ~」


「アポロのりんごパイを食べたい気持ちはその程度ッスか!」


「アポロさん負けないで~」


「ウヒョオオオォォォォカッコイイですよアポロさ~~ん」


みんなの声援に応えるためアポロも力を振り絞る。


「アポロは、アポロは絶対に勝つでしゅよ~~~~~~~!!」


アポロが咆える。


それに呼応するかのように先程までドーナツ型だったオーラの残滓がまるで生きているかのように三階層全体に侵食していく。


「ホッホッホッこれはスゴイ!」


鎧武者は沙織達の横に瞬時に移動し、結界を張る。


「ここから出るでないぞ。沙織とアダム以外、命の保証は出来んからのホッホッホッ」


「サンキュー鎧武者。全く、アポロも少しは自分の力を使えるようになったは良いが無自覚で周りを巻き込んじまうのはどうしたもんか」


「ホッホッホッそれはしょうがないぞ。あやつはおっと!」


「アポロの事を知ってるのか?」


「さあのう?それより見るのじゃ」


結界の外にいるシバフはアポロのオーラの影響をモロに受け、限界まで耐えたがはじき飛ばされて壁にめり込んだ。さらに身体に電流が流れているかのように痙攣している。


「おい!ヤバイだろ中止だ!」


「ふむ、それではアポロが可哀想じゃな」


「馬鹿!そんな事言ってる場合か!もういい俺がやる」


銃を構えようとするアダムを制する。


「アダムよ。主催者に恥をかかすでないわ」


鎧武者は剣を抜き、上段に構えると一気に振り下ろす。


鎧武者のオーラがアポロのオーラを切り裂いた。

すると階層を埋め尽くしていたオーラが消失した。

それと同時にアポロもいつもの姿に戻る。


「チッお前本当に何者だよ」


「ホッホッホッそんなことよりお主にはすることがあるじゃろ?」


息を切らせてアポロが今ゆっくりとゴールする。


「やった~アポロが勝ったッス」


「やったねアポロ」


「さすがです!有言実行!アーサー探偵事務所に敗北の二文字はない!」


「ハハハッリレーで相手をぶっ飛ばしてかつなんて、ぶっ飛んでるアーサー探偵事務所にピッタリですなあ」


みんなでアポロを胴上げする。


「本当にアポロ、お前はムチャクチャな奴だぜ」


「ありがとうでしゅ~!みんなの応援のおかげで勝てたでしゅよ~~!」


沙織陣営はお祭り騒ぎだ。一方・・・


「大丈夫かシバフよ」


「鎧武者様ありがとうございます。暴言を吐いた僕なんかを・・・ありがとうございます」


シバフは鎧武者に土下座する。


「銀次に続きお主もか・・・よい、面をあげよ」

「は、はい」


「シバフよ、良くやった。お主のおかげでアポロの力の一端を見ることが出来たわ」


「一端!?いま一端と!では彼は本当に」


「じゃから言うたではないか。この勝負に勝てばお主の精霊生の自慢になるとな」


「フフ、なるほど私は何も分かってなかった。密林の王者という言葉、嘘ではなかったのですね。本当に惜しいことをしました。一生自慢できるチャンスを逃すなんて・・・いや、もし勝利し、その事を吹聴すれば不敬だと言われ粛正されていたでしょう。負けて良かったですよ」


勝負に負けたのにもかかわらず、涼しげな眼をするシバフを見て鎧武者は笑う。


「ホッホッホッそうじゃな。お主この一戦で成長したの。もう野生動物ではないのじゃ。精霊にとって長生きする秘訣は謙虚さじゃ。しかし自分を必要以上に卑下するでないぞ。それでは精神力の強さが己の強さになる精霊にとってマイナスになるからの。どうしても勝てぬ別格は排除し、それ以外には負けぬという気概を持て」


「では一番に鎧武者様を排除しないといけませんね」


「ホッホッホッ世辞が上手いの。シバフよ、大義であった。ゆっくり休むが良い」


「ははっ」


鎧武者はゆっくりとアポロのもとに歩いて行く。


「アポロ、よくやったの。1番じゃ」


「わ~~い♪ありがとうでしゅ~ガイ~アポロが1番でしゅ~」


アポロは鎧武者に抱きついて面頬をペロペロと舐める。


「ホッホッホッ可愛い奴よ」


鎧武者もアポロをナデナデしてやる。アポロは喉を鳴らしてご機嫌だ。


「さて、これでお主等の三勝じゃな。見事じゃ。だが次からは簡単にいかんぞ。今までの精霊とはレベルが違うからの」


「ふん、そんなの関係無いッス。アリタンがボコボコにしてやるッスよ」


「おおサヤカ、なかなか分かってきたじゃないか。次は私が勝って四連勝でお二人にバトンを繋ぐ」


「ホッホッホッ楽しみじゃ。それじゃ次の階層にいこうかの」


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