表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
224/292

落とせ!難攻不落の姫路城!!35


「さあここが第二階層じゃ」


「それで対戦相手はどこにいるんだ?」


「うん?いるではないか。ほら、あそこじゃ」


鎧武者の指す方をみると、これから戦うというのに緊張感なく何かが寝転がって尻をかいていた。


「えっ!?・・・あれペンギンじゃないッスか?」


「そう・・・だよね。私も見間違えかなって」


「わ~いペンギンさんでしゅ~!」


「おいコラ鎧武者!なんでペンギンが対戦相手なんだよ!」


「うん?お主知らんのかこの姫路市立動物園はペンギンやアシカもいる珍しい動物園なんじゃぞ」


「へ~そうなんだ。動物園に行ったのに水族館の気分も味わえるなんてお得だね」


「しかも入園料が200円じゃ」


「安いッスね~。それ大丈夫ッスか?動物達飢えてないッスか?」


「ホッホッホッ大丈夫じゃ。皆元気にやっとるよ」


「こらお前等!遊びに来てんじゃねえんだぞ。おいガイ、それぐらい知ってるよ。俺が言いてえのは、なんで水中で本領を発揮するペンギンが二階層将軍なんて受け持ってるんだってことだよ」


「ホッホッホッアダムよ。何を言うておるのじゃ、強いからに決まっておろう。彼奴あやつはこの水のない城の中でも他の者を圧倒する力をもっておるからここにおるのじゃ」


「なんだと!」


アダムはだらしない格好をしているペンギンに対する警戒レベルを上げる。


「さあ、紹介しよう。第二階層将軍 ペンギンの銀次じゃ」


「ふあぁぁぁぁ~~~~~。やっと来たんか。遅いで君等。ワシが昭和生まれやから言うて舐めてるんちゃうか」


「なんスかあの言葉使い。可愛さのかけらもないッス」

「本当ね・・・残念だわ・・・」


「さあ、お主等は誰が出るんじゃ?」


皆の視線が一斉にサヤカに集まる。


「フッフッフッみんな分かってるじゃないッスか。ここはこの魔王サヤ―」


「アリタン行けるか?」


「はいアダムさん。準備も覚悟もすでに出来ています」


「アリタン頑張って」

「アリタンファイトでしゅよ」

「白百合、先手必勝だぜ」


みんなサヤカを無視し、話を進める。


「コラコラコラコラちょっと待つッス。今、サヤカが出る流れだったッスよね!」


「あぁっ?何言ってんだサヤカーン。みんなお前が絶対出たいって言うだろうなと思ったから一瞬お前の顔をチラッと見ただけだ。でもみんなの意思は分かったな。アリタンが行く」


「ちょっちょっとホントに待ってくださいッス。なんでッスか!なんでサヤカじゃ駄目なんスか?」


「お前も本当は分かってるんだろ?あいつペンギンだぞ?ここは城の中だぞ?それなのに将軍になるぐらい強いんだぞ。どうしてだサヤカーン?なんでアイツは強いんだ?」


「そっそれは・・・」


「サヤカーンお前だけじゃねえ。みんな答えられねえ。そんな奴の前に、こんな事を何度も言いたくねえが・・・一番弱いお前が出るなんて自殺行為だ」


「そうよサヤカちゃん止めた方が良い。でも落ち込まないで。アダムはああ言うけどサヤカちゃんは弱くないよ。何て言うかここにいるメンバーはレベルがね・・・」


「サヤカ、止めといた方が良い。俺の予想だが銀次は何らかの能力で水の中にいるような環境を作れるのかも知れない。もしそんな環境に取り込まれたらどうする?水中でバットを振るのか?白百合なら遠隔呪術で何とか対応出来る。白百合に任せておけ」


「ふんったまにはウィングも良いことを言うじゃないか。サヤカ、教えたはずだぞ。敵の能力が分からない場合、第一に考える作戦行動は撤退だと。引き際を間違ったためにお前より優秀な陰陽師が何人も命を失っている事を忘れるな」


「でも!でもアリタン!サヤカはこの戦いに出たいッス。サヤカは何のためにアリタンのしごきに耐えてきたと思ってるんスか!みんなの力になる為ッス。足手まといは嫌なんスよ」


サヤカは目に涙を浮かべて白百合に訴える。


「この馬鹿が!」


白百合に涙は通じない。白百合のこれまで歩いてきた道は修羅の道。その道の途中で脱落し、命を落とす多くの者を見てきた。一時の感情で弟子の命を無駄にする判断などするはずがない。白百合はサヤカを平手打ちしようと振りかぶる。


「ホッホッホッお主達の考え、よく分かった」


鎧武者が白百合の腕を掴む。


「白百合、お前の弟子を殴ってでも思いとどまらそうとする気持ちに心を打たれたぞ」


白百合はすぐに鎧武者の手をふりほどき、距離を取る。


「白百合に免じて、お主達に二つ教えてやろう。まず一つ、銀次との戦いにサヤカが出ても問題ない。と言うかサヤカが何とか対応出来るのはこの階層で最後じゃ。次の階層以降にサヤカが出ることはワシにも責任が持てん」


「サヤカーンには棄権してもらう」


「ホッホッホッアダムよ。過保護もたいがいにせい。本人が出たがっておるのじゃ。それに銀次は言葉使いは悪いが、動物霊達を纏めておるワシが信頼しておる精霊の一人よ。ワシの命令を無視して命を奪うなどせんよ。そしてあと一つじゃが、アポロと銀次を見ておけ」


「アポロ?なんでアポロが関係あるんだ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ