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落とせ!難攻不落の姫路城!!30

「さすがだなサヤカーン。軍師を名乗ることはある。名古山からも姫路城が見えるんだよ。だから同じようにテリトリーにしてたって訳だ。数的には圧倒的に霊園が有利だが動物園の霊は強烈だ。たとえばライオンに闘犬でもない普通の犬をけしかけても大人と子供の喧嘩みたいなものでまるで勝負にならねえ。そんな猛獣の動物霊達だから数十頭でも、霊園の数千体の霊とバランスが取れていたんだ。人間は知らず知らずに出来ていたそのバランスを利用して自由に城を観覧出来ていた。しかし動物園が移転したらどうなる?」


「姫路城が霊園の動物霊数千体に占拠されるッス」


「そうだ。だから鎧武者はこの際、この姫路城は誰のテリトリーかハッキリさせようとしてんじゃねえか?まず動物園と霊園の決着はついてるみてえだな。この広場には猛獣はいなかったからな。じゃあ後は誰がテリトリー争奪戦するんだって言うと人間だ。しかしこれは勘だが、ガイは俺達を勝たせようとしているかもしれねえ」


「勝たせる?なんでッスか?もしそうならそんな面倒なことせずに動物霊達を叩き潰せば良かったじゃないッスか。まあ姫子と田中さんの事があるから私達を戦わすメリットはあるッスけど」


「う~ん何故戦わせるのかはハッキリとは分からねえが、ただ俺がもし神様だったとしても人間に勝たせようとするだろうな。おそらくかなり前から動物園の猛獣達が姫路城を実効支配していたんだと思う。でもこの広大な姫路城を数十頭だ。それに夜、城に入ってくる人間は警備の人間しかいない。共存出来ていたんだ。だがそれが入れ替わって霊園のペット数千の霊が占拠したらどうなる?警備にも影響が出るだろうし、そのまま10年も過ぎたら平成の大修理終わったばかりだってのにまた大修理が必要なくらいボロボロになっちまってるだろうよ」


「たしかに。75年前も姫路城を護ったッスもんね。そして今回もコピーを用意して傷付けないようにしてるッス。と言うことはガイの目的は姫路城を人間がテリトリーとすることを動物霊達に認めさせると共に、猛獣の精霊すらねじ伏せる強い陰陽師達と戦うことッスかね?」


「そうかもな。予想していた事だが、ガイが格の高い神か妖怪という推理が現実味を帯びてきたな。人間の素晴らしい文化財を護ろうとしてるのもそうだし、こんな複雑な事を考え、実行し、おまけに姫子、田中の後悔や数千体の動物霊の想いも昇華させてやがる。けっアポロの言う通り優しい奴だぜ。だが俺達にはちっとも優しくねえ!クソッ」


「すっスゴイね二人共。ガイの目論見を看破するなんて」


「本当ですよ。二人共頭の中どうなってるんですか」


「いや、まだ何故俺達を呼んだ理由が分かっていない。気を抜くのは早え」


「えっ?呼んだってどう言う事?私達まさか鎧武者に呼ばれて来てるってこと?動物霊を倒せる強い陰陽師だから東九条家から依頼されたんじゃないの?ちょっとアダムそれは考え過ぎじゃない?ほらさっきアダムが言ったように単に数千の動物霊達を納得させるためだよ」


「いや、何かあると思ったほうがいい。サオリンの言う納得させるっていう点においてはアポロと俺は動物霊だから、俺達が無双してもあいつ等が人間にテリトリーを認めることにはならない。だから俺はサオリン、サヤカーン、アリタン、ウィングの四人に何かあるんじゃないかと見てる。オッちゃんが『失礼のないように』と送り出した事が気になるんだ」


「う~ん、じゃあ東九条家の現当主と会ったこともない私は関係無いでしょう。あと白百合もないでしょ。アイツも弱いですからね」


「また沙織さんの前で私の悪口を言っているのかウィング。このクズが!」


白百合が職員達に治療をまかせて帰ってきた。


「言ってねえよ!沙織さんとサヤカと俺とおまえの誰が鎧武者の標的になるかって言ったら俺達はねえだろが」


「むっそんな話になってるのか?それはもちろん沙織さん一択でしょ。アダムさんは、鎧武者が沙織さんを狙っていると考えているのですか?しかし当主がアーサー探偵事務所を売るような真似などするはずがありません」


「いや、アリタン。そう言う事じゃないんだよ。オッちゃんは何か知っていて、あえてアーサー探偵事務所を鎧武者にぶつけたんじゃないかってことだ」


「そんな!?当主にすぐ確認を!」


「やめとけアリタン。ガイ、ああ鎧武者の事だけどよ、あいつの正体が何なのか分からねえが、今の所は東九条家と対立してねえんだ。オッちゃんも苦しい立場で本当に何も言えねえんだと思うぜ。それをアリタンが下手に藪を突っつくととんでもねえ事になりかねねえ。オッちゃんを信用しようぜ」


「はっはい、そうですね。当主を疑うなどもっての他でした」


「いやアリタン、それ怒られたじゃないッスか。直らないッスね~。当主のことッス、今頃はこの依頼の事も忘れてポップコーンをムシャムシャ食べながら映画でも見てるッスよ」


「貴様は当主のことを何だと思っている!あの方は―」


「ハイハイそれは帰ってからやってくれ。ウィングも加えた作戦会議をしなくちゃなんねえんだからよ。サヤカーン、甲冑を脱ぎながらアリタンにさっき話したことを伝えといてくれ」


沙織達はしばらく今後について話し合うと、清本達にここに残るように伝えた。


「皆さん無事に帰ってきて下さい!無理ならすぐ諦めて引き揚げて来て下さい。鎧武者に占拠されて中に入れなくなっても、ぶっちゃけ姫路城の魅力は外観ですから大丈夫です!ギャーギャーうるさい奴には、この清本が成敗してやりますからなワハハハハッ」


清本達が沙織達をワイワイ騒ぎながら見送る。


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