落とせ!難攻不落の姫路城!!28
「サヤカーン、お前ガイにブチ切れだな」
「アダム!アダムも後ろにいたんなら黙ってないで加勢してくださいッス!」
「はあ!?お前はガイに『軍師は俺かアリタンに任せたほうがいい』って言われてキレたんだろ?それなのに俺が加勢しちゃ、絶対『アダムは黙ってるッス!』って俺にもキレただろ。サヤカーン、落ち着けよどうしたんだよ。本番はこれからなんだぜ?」
「すいませんッス。こんな非常事態に取り乱して」
「大丈夫よサヤカちゃん。サヤカちゃんはしっかり役目を果たしてるよ。それにサヤカちゃんはまだ実戦二回目じゃない。それなのに神クラスの敵の大将つかまえてガイなんてあだ名つけるなんて前代未聞よ凄すぎるよ」
「サヤカーン、ガイにビビらずに啖呵をきったのカッコ良かったでしゅよ」
「そうそうカッコ良かったぜ。ウチの新人なんか平均十回任務をこなさないと使い物にならないんだぜ。それなのにお前はもうしっかりやれてる。ホントに驚異的だぜ。さすがクリスマスウォーの首謀者だ。俺達の予想を軽く超えてくる」
「そうそう。お前はよくやってる。悪くない。なのにどうした?ほら言ってみろ。ここには日本でトップクラスの陰陽師達がいるんだ。相談してみろ」
「皆さんありがとうッス。じゃっじゃあ・・・・・サヤカは情けないッス。ガイの目的が全く分からないッス。アイツは突然姫路城を奪ったと思ったら、田中さんにはあんな優しい一面を見せてるッス。この三の丸広場での合戦もお互いが必要以上に傷つかないようにしてるッス。アイツは何を考えてるッスか?今まではお遊びで、これから大天守で殺し合いをするんスか?だとしたら何故?もうすぐ命懸けの戦いが始まるかもしれないというのにサヤカは軍師としてアイツの目論見を看破出来ていないッス」
サヤカは両手を地面に叩き付ける。
「そういう事か。お前はガイを怒らせて少しでもヒントを得ようとしてたのか。サヤカーンすまねえ。俺はガイをディスるのに参加するべきだった」
アダムは頭を下げる。
「サッサヤカちゃん所長の私より仕事しないで・・・・・」
「マジか・・・すまなかったサヤカ。俺はお前の事を甘く見ていた。許してくれ」
沙織とウィングはサヤカを立たせる。
「でもそうねえ、ガイの目的かあ~。本当に何だろうね?」
「そうなんス。全く―うん?どうしたんスかアポロ?」
アポロがサヤカの脚をポンポンと叩く。
「ねえサヤカーン。ガイのやりたい事が分からないんでしゅよね?アポロは分かりましゅたから教えてあげましゅよ」
「「「「えっ!?」」」」
「アポロ、お前分かったって本当か?」
「アダムも分かってなかったでしゅか?ホームズしゃんより早く解いてしまったでしゅ~。嬉しいでしゅよ~」
アポロは沙織に飛びついて大喜びする。沙織もそれに応えてナデナデしてあげる。
「アポロスゴイねえ。じゃあ鎧武者さんが何をしようとしてるか教えてくれるかな?」
「いいでしゅよ。みんな鎧武者しゃんが悪い子しゃんだと思ってるから分からないんでしゅよ。鎧武者しゃんはホントに優しい人でしゅよ~」
「どう言う事ッスかアポロ?教えて欲しいッス!」。
「サヤカーンには分からなくてもしょうがないでしゅよ。動物しゃん達はこの姫路城をテリトリーにしてるんでしゅよ」
「あっ!」
アポロと同じ元々動物であるアダムが声を上げる。
「そうか!そう言う事か。アイツはみんなのために・・・フフフッハハハハハハッこいつはアポロに一本とられたぜ。さすが名探偵の助手だ。ちょっと前までインドの森を彷徨っていたことはあるぜ」