落とせ!難攻不落の姫路城!!27
「うん?目的?」
鎧武者は面頬の隙間からサヤカを覗き見て、面白いものでも見つけたようにニタリと笑う。
「ホッホッホッさあ知らんのお~。お主は自分の事を軍師、軍師という割に何も理解しとらんの~。アダムや白百合に任せた方がいいのではないかホッホッホッ」
「なっ!?舐めるなッス。鎧武者、お前評判悪いッスよ!姫路城をいきなり乗っ取ったり、ホテルの窓ブチ割ったり、さっきサヤカをディスったことといいメチャクチャ評判悪いッスよ。みんなお前のこと嫌いッて言ってたッスゥーーーーーーー!!!」
鎧武者はサヤカの軍師とは言えない幼稚な返しに肩を揺らして笑う。
「キーーーーーー!!!笑ったッスね鎧武者!いや、サヤカがお前にピッタリなあだ名を付けてやるッス。ガイ!お前は今日からガイッス。害悪のガイッスよ。鎧はガイとも読めるッスからね。鎧を着て人々に害を与えるお前にはそれがお似合いッス!」
「お~サヤカよ。さすが軍師じゃの。難しい読みも知っておるとはホッホッホッ。ではこういう四字熟語は知っておるか?鎧袖一触」
「エッ!?え~~~と~・・・・ガイ!ちょっと自分が知ってるからってマウント取りにくるのやめて欲しいッス!ホント性格悪いッスよ!やっぱお前はガイッスよ決まりッス!」
「ホッホッホッ人の事を、害を与えるからガイでいいというお主に性格の事を言われたくないがの。それでさっきの四字熟語の意味じゃが、鎧の袖でちょっと触れる程度のわずかな力で、簡単に相手を打ち負かすことじゃ。ワシにピッタリの言葉じゃの。ガイ、気に入ったぞ」
「ちょっ何カッコイイあだ名にしてんスか!あだ名ってのは人に付けられるものッスよ!サヤカの許可なしに勝手に意味変しないで欲しいッス!」
「ホッホッホッ。サヤカよ、今は合戦中じゃぞ。自分の意を通したくば己の力で言う事を聞かせれば良いのじゃ。そしてそれをワシも期待しておる。さて、お主達に質問したいがよいか?」
「いいぜガイ。なんでも聞け」
「ホッホッホッ言い響きじゃな“ガイ”。聞きたいのはな、ここから大天守の道程なんじゃが・・・もし、また動物霊が護っておったらお主達はどうする?」
「そりゃRPGぶっぱよ」
「英霊百人が消える瞬間まで迫撃砲の絨毯爆撃だな」
「分かった!もう良い!お主達はコピーといえども世界の宝の姫路城を爆撃するなぞ良心が痛まんのか!特にウィング、米兵が爆撃するならともかく日本兵にそんな事させるでないわ!」
「確かにそうだな。英霊はそんな事望んじゃいないか。しょうがない。地道に攻めるよ」
「いや、もう良い。大天守までの道程には兵を置かんこととする。無駄じゃと分かったからな。ゆっくり大天守までくるがよい。その勇気があればのホッホッホッ」
「馬鹿な事言ってんじゃないッスよ。ガイこそ早く大天守に帰って隠れてた方が身のためッスよ!」
「ホッホッホッサヤカよ、面白かったぞ。お主には期待しておる。ガッカリさせるでないぞ。ああ、清本達にはもうここまででよいと伝えておいてくれ。それと甲冑はもう脱いでくれて構わん。ここからは自身の力を発揮できる格好で来い」
そう言ってニヤリと笑うとフッと目の前から消える。