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落とせ!難攻不落の姫路城!!25


鎧武者はどこから持って来たのか太鼓を鳴らす。


「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーー!!!!!」


動物達は雄叫びをあげ、地響きを轟かせながら沙織達に迫ってくる。その大群を迎え打つべく沙織が刀を構えていると、後方からバイクの甲高い音が聞こえてくる。


後方から陸上自衛隊偵察用オフロードバイクに乗ったウィングが現れ沙織の前に止まる。


「ウィングさん!」


「突撃――――――――!!!」


ウィングは右腕を霊に向けて叫ぶ。


「えっ!?突撃?そうなの?」


強い口調で言われたため、押しに弱い沙織が駆出そうとした時、後方からダッシュしてきた白百合がウィングの延髄に思いっきりラリアットを喰らわす。

強烈な不意打ちをくらい、バイクから転げ落ちて動かないウィングの胸ぐらを掴んで強引に立たせる。


「いい度胸だウィング!死にたいようだな。よし殺してやる。あいつ等がここに来る前にお前を私の手で八つ裂きにしてやる!」


「ちっちが・・・うっうしろ・・・」


ウィングは死の間際のようなか細い声で白百合に告げる。

白百合はウィングの最期の言葉ぐらい聞いてやろうと後ろを見ると、突撃ラッパが三の丸広場に鳴り響き、百人の日本兵が突撃してくる。


「なっ何だこれは!?」


「いっ言っただろが・・・自衛隊の奥義だって・・・」


その光景に鎧武者も驚く。しかしすぐに口角をあげる。


「面白い!やるではないか。それでは人数分の武器を用意してあげんとの」


鎧武者が右手を日本兵がダッシュしてくる直線上に向けると、大量の刀が現れる。


日本兵はそこから刀を一本ずつとり、霊達に突撃していく。


日本兵と動物霊が激突する。


数は敵の方が多い、しかし日本兵の中には八十年以上英霊として祀られてきて、精霊に進化している者がほとんどだ。鎧武者から力を少し借りて強くなった霊など物の数ではない。動物達が握る刀を弾きとばし、斬りつけていく。


「これは決まったな。やるじゃねえかウィング。一番槍見事だったぜ」


アダムが死体のように地面に倒れているウィングをねぎらう。


「あっありがとうございますアダムさん」


「本当に見事でしたぞウィング殿。やはりウィング殿を一番槍に任命した私の目に狂いはなかったですぞ!」


「清本殿ありがとうございます」


ようやく痛みが引き、ウィングは立ち上がる。


「ふん、確かに結果だけ見れば良くやったウィング。しかし私はお前を認めない。大事な事を一切伝えない奴など信用できん。お前はこの戦いに覚悟を決めて望んでいる清本殿達に胸を張れるのか!お前が来る前に田中殿は大門前で命をかけて戦ったんだぞ。それなのにお前は遅れて来たにもかかわらず私達が立てた作戦を無視し、全員の命を危険に晒したのだ。お前は―」


「まあまあ白百合殿。私達のために怒って頂きありがとうございます。ウィング殿が所属する部隊は自衛隊の機密事項に当たるのは私達も知るところですから気にしないで下さい。それより白百合殿、もう戦の方は大丈夫でしょうか?それでしたら・・・」


「あっもう大勢は決しましたので参りましょうか!私が念のため護衛を引き受けさせて頂きます」


「えっアリタン何するんスか?」


「治療だよ。広場の端に傷ついている霊達がいるだろ?」


「でも敵ッスよ!?」


「お前の物差しで測るな愚か者が。清本殿はお前など比較にならないほど清い魂を持っておられるのだ」


「いやいや白百合殿、そんなこそばゆくなるような事を言わんで下さい。ただ私は市長になる前は医者でしたからな。傷ついている者を見るとウズウズしてほっとけないだけですよワハハハハハッでは白百合殿、急ぎますぞ!」


「はい。おいサヤカ、お前はしっかり次の策を練るんだぞ。ウィング次はないぞ!」


「すまなかった白百合」


白百合はウィングの目をじっと睨み付けるとコクりと頷き、清本と傷ついた霊達の元に走って行く。


「皆さんすみませんでした」


ウィングが頭を下げる。


「いやいや頭を上げて下さい。白百合さんはああ言いましたけど、私達は感謝してますから。なあ?」


「そうですよ。いきなり刀持たされて数千の霊と合戦て言われて困ってたとこですわ。それに私、犬派なんですけどめっちゃワンちゃんおったから無理ゲーやんてさじを投げてたとこですわ」


職員達はウンウンと頷く。


「気にしなくて良いッスよウィング!アリタンは頭が固いッスからね。そんな事よりサヤカはもう一回あの術を使えるかの方が気になるッス」


「さすが軍師だな。でもすまないサヤカ、あの術はこれで打ち止めだ。ただ他に別の強力な術がある。それは白百合が戻って来てからみんなに説明したい」


「了解ッス ウィング」

「私も気にしてないですから。東九条家と違って、西九条家は単独行動や臨機応変にやれっていうのが多いですからね。でもアリタンは指導員として多くの陰陽師を育ててて、一人でも多くの命を守るためのチームのとるべき行動や命令遵守を部下に叩き込んでるからあんなキツい言い方に・・・あっ!自衛隊のウィングさんに私なに言ってるんだろ」


沙織が頬を赤らめる。


「いえ、全くその通りです。沙織さんすみません。心配かけてしまいましたね。大丈夫です、白百合と喧嘩なんてしませんから。思えば白百合と会議室で会った時から心配をおかけしてたと思います。ここだけの話ですが私は白百合の事を尊敬しているんですよ。アイツの任務達成率、負傷者数の少なさ、部下の練度等々どれをとっても高いレベルにいます。あいつの事を眼中にないなんて言いましたが私は気にしまくりです。この任務で少しでもアイツから学べればいいなと思っているんですよ」


「そうだったんですか。安心しました~」


「そうだな。逆に良かったんじゃねえか。本番前にウィングの本音を聞けてよ。ウィングとアリタンが本当にギクシャクしてて、この依頼に支障がでるようなら俺が二人共ぶちのめしてるところだったぜ」


「良かった!本当に良かった!!」


ウィングは胸をなで下ろす。

そして話している間に、合戦は終了した。西九条大将軍の勝利だ。



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