落とせ!難攻不落の姫路城!!24
そこには数千の様々な種類の動物達が待ち構えていたからだ。
「次は此奴等と戦って貰うぞホッホッホッ」
いつの間にか、動物達の先頭に現れた鎧武者が言う。
「おい鎧武者!これはいくら何でも多勢に無勢だろ!」
「いやいやそんな事はない。お主は此奴等が二足歩行しておることから精霊じゃと思っておるようじゃが違うぞ。此奴等はワシが力を与えて二足歩行にしておるだけのただの霊じゃ。大して強くない。じゃから逆にお前達にハンデをかす。お前達はこの剣で此奴等とチャンバラをして貰う」
鎧武者が右手を前に掲げると沙織達の前に、剣がドサドサッと現れた。
「なんだこりゃ?オモチャの剣か?」
「まあ見た目はな。しかしそれはワシの特別製よ。それで斬られた者は、傷を負うことには変わりは無いが、軽い怪我しか負わぬようにしておる。そして斬られた者は戦闘不能とみなし、広場の端に強制移動されるというオマケ付きじゃ」
「チッ聞くんじゃなかったぜ。化物が!」
「褒め言葉として受け取っておこう。しかしお前達はやはり面白い。これだけの力を見せようとも、ワシの首を獲ることを全く諦めておらぬホッホッホッ」
「当たり前ッス。天守閣でお前の首をとるのはこのサヤカッス!良く覚えておくッスよ」
「うむうむ元気があってよろしい!では一分後に始める。各々準備をせい」
沙織達は鎧武者が準備した刀を持つ。アダムやアポロ用に短い刀も用意してあった。
「ウィングは間に合わなかったか」
「チッあの馬鹿が!一番槍の栄誉を受けとっておきながら間に合わんとは情けない奴だ」
「サヤカちゃん、どうする?」
「じゃあ、清本殿達を真ん中に置いて、十二時の方向を沙織さん、三時の方向をアダム、六時の方向をアリタン、九時の方向をアポロとサヤカが受け持つというのはどうッスか?」
「まあそれが良いだろうな。アリタンはどう思う?」
「私もサヤカの策に賛成です。しかし清本殿達の真上が手薄になってしまうのが問題ですね。こんな刀を使わなくてもいいならアダムさんや私がカバー出来るのですが」
「そうだな。じゃあキヨタン達を何らかの方法で狙ってきた時は、サヤカーンが中に入って対処するってのはどうだ?外側はサオリン、アリタン、俺で三角形を作ってガードすることになるが」
「いいッスねそれ」
「私もサヤカちゃんとアダムの策に賛成!」
「私もそれがベストの策と思います。ウィングめ、沙織さんに迷惑をかけおって!ただではすまさん!」
「大丈夫、私は大丈夫ですから白百合さん!ウィングさんもすぐ来てくれますよ。それまで頑張りましょ!」
「おお~なんとお優しい。やはり沙織さんは女神―」
その時、白百合のハンズフリー受信機にウィングから通信が入る
「待たせたな白百―」
「殺すぞ!」
白百合は秒で切る。
「えっ!?アッアリタン今の・・・」
「なんでもありません沙織さん」
再び呼び出し音が鳴る。白百合は眉間に皺を寄せ、舌打ちをしながら応答ボタンを押す。
「コラ白百合!なんで切るんだよ!」
「あ?沙織さんとの会話に割って入りやがってお前死にたいのか!」
「なんでだよ!なんで味方に殺されるんだよ!ここはギリギリ間に合った俺をけなしながらも褒めるとこじゃないの?」
「知らん。お前抜きの作戦はもう出来ている。それに間に合っただと?寝言を抜かすな!ここにいないではないか!あと三十秒で合戦が始まるのだ。この期に及んでまだこの場にいないお前の事など考えている暇などない。切るぞ」
「ちょっ待て待て!あと三十秒後か。頼む!状況を簡潔に教えてくれ」
「・・・三の丸広場。霊数千体とチャンバラだ!」
「了解。やはり俺が一番槍を貰う!」
それだけ言うとウィングは通信を切った。
「あの野郎!何を勝手な事を!」
「まあまあアリタン落ち着いて。そんなにオーラを乱しちゃ清本さん達を守れませんよ」
「そっそうですね。アイツの事でオーラを乱すなんて時間の無駄でした。私達はあんな奴のことなんか無視して作戦通り頑張りましょう」
両軍が静かに対峙する。残り五秒。
まるでダイナマイトの導火線が火薬に引火する直前の緊張感が三の丸広場に充満する。
「時間じゃ。合戦開始!!!」