落とせ!難攻不落の姫路城!!17
「皆の者!我が姫路の宝である姫路城が賊に乗っ取られて早一週間!ついにこの刻が来た!アーサー探偵事務所、東九条陰陽道総本家、自衛隊から精鋭を迎えた我々に敗北など無い。我々を理由もなく追い出した賊に天誅を下す刻が来た。さあ、皆の者、今こそ難攻不落の城、姫路城を落とそうではないか!」
「「「「「「「「「「おおーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」
「では今回の作戦の大将である西九条沙織大将軍から御言葉がある。心して聞くように!」
「エッ!?」
急に名指しされ、何も考えてなかった沙織はまだ戦ってもいないのに死にそうになる。
遠慮しますと言おうとしたが、周りからの大将軍コールで沙織の声など届かない。
沙織は仕方なく前に出る。
「あっあの~~。皆さんお元気ですか・・・」
「元気で~~~~~~~~す!!」
「家に帰っても喜んでくれるのは愛犬だけですが元気で~~~~す!」
「鎧武者のせいで残業やりまくってるから逆に元気で~~~~~す!」
「『今夜、姫路城を落としに行く』と家族にキメ顔で言ったら無視されましたが元気で~~~~す!」
等々口々に沙織にレスを返す。
「げっ元気で何よりです。あの、無茶だけはしないで下さい。無茶をするのは私達です。そのために呼ばれたんですから。皆さんの仕事は城を落とした後ですから。だっ大将軍なんて私なんかでは力不足と思いますが、それでも精一杯皆さんを護りますから!絶対絶対護りますから、みんな無事に家に帰りましょう」
「「「「「「「「「「「「「オオーーーーーーーー!!大将軍!大将軍!大将軍!大将軍!大将軍!大将軍!大将軍!大将軍!・・・」」」」」」」」」」」」」
「ヘヘッすげえ人気じゃねえか大将軍様」
「もう!からかわないでアダム」
沙織は恥ずかしくて両手で顔を押さえる。
「よし!皆の者騎乗せよ。馬に乗り込むのだ!」
清本がそう号令をかけると、三台の軽トラの荷台に全員が飛び乗った。
姫路城の入り口まで仲良くぎゅうぎゅう詰めでいく!
サヤカは職員達が乗る軽トラの屋根に飛び乗り、軍配を姫路城に向け叫ぶ。
「敵は姫路城にあり!皆の者、この軍師サヤカを信じて付いてくるがいいッス」
「「「「「「「「「「「「オオーーーーーーーー!!サーーヤーーカ!サーーヤーーカ!サーーヤーーカ!サーーヤーーカ!サーーヤーーカ!サーーヤーーカ!・・・」」」」」」」」」」」」」
サヤカはさらに公務員達の士気を上げ、車は上下に大きく揺れる。
「アダム・・・私ああいうのを見ると所長はサヤカちゃんで良いかなって思っちゃう・・・」
「ああ、あいつには盛り上げる才能があるな。でもなサオリン、俺は大将なんてのはどっしり構えておけばいいと思うんだ。部下には大事なことだけ言って自由にやらす。サオリンはこの合戦で一番大事なことを言ってくれた。『精一杯皆さんを護りますから!絶対絶対護りますから、みんな無事に家に帰りましょう』ってな。サオリンがそう言ってくれたから、サヤカも、怖いはずのみんなもあんなに大騒ぎ出来るんだ。サオリンは自分には大将軍なんて力不足と言ったがとんでもない。立派な大将軍様さ!サヤカーンにはまだまだ出来ねえ芸当だよ」
そう言ってアダムは沙織に笑いかける。
「もうホントにアダムは~」
「ヘヘへッサオリン頑張ろうぜ」
「うん!絶対にみんなを護る」
沙織とアダムは拳を静かに合わせる。