落とせ!難攻不落の姫路城!!15
「話を戻すッスけど、じゃあ武蔵は幻術をかけられて、階層毎に誰かと戦わされてその間に技を盗まれたってことで良いッスね」
「ああそうだろうな」
「じゃあ、『あなたに恐れをなして妖怪は逃げ去っていきました。これはお礼です』って言って刀をくれたッスが、最初から妖怪なんていなくて、一連の騒ぎは長壁姫が武蔵の二天一流を体得するために引き起こした自作自演だったんスかね?」
「いや俺は違うと見てる。ホテルで会ったあいつは好戦的な奴だった。そんな奴が武蔵の二天一流を会得したらもっと城の奴を脅かしたりしそうじゃねえか?」
「たしかにそうッスね。浅見さん、他に何か姫路城で妖怪騒ぎとかあるんスか?」
「いえ、聞いたことがありません。強いて言うなら播州皿屋敷です。知ってますか?『お皿が一枚、お皿が二枚・・・』って数えていく話なんですが」
「知ってるッス。へ~それって姫路が舞台なんスか」
「申し訳ないです。これもハッキリしないんですよね。他にもうちがその事件の舞台だと言っている街があるので。ただそれが鎧武者と関係があるようには・・・それ以外ならウィングさんの説明された時までの数百年間騒ぎを起こしていないことになります」
「数百年間・・・やはりアダムさん、鎧武者と長壁姫は同一人物ではありませんね。ホテルで吹っ飛ばされた時、アイツはまだ暴れたりないという感じを受けました。そんな奴が数百年我慢出来るはずがない」
「だな。長壁姫というのは文献を調べてみると神という記述もあれば妖怪という記述もあるって言ったが、蛇や狐の妖怪ということも書いてるんだ。さっきの幻術に使ったと思われる炎を加味して考えれば、あれは狐の妖怪が得意とする技、狐火だった可能性が高い。そうなると鎧武者はこの辺りを治める狐神もしくは狐の上位妖怪で、長壁姫はその眷属かもしれねえ」
「おお、さすがアダムさん。素晴らしい推理です。二天一流を体得した鎧武者が長壁姫に渡しとけとでも指示したかもしれませんね。奴は義理堅いのかもしれません。ホテルで受けたオーラ攻撃もアダムさんが手札を見せたから、自分の力の一端を見せたとも考えられる」
「私達がすぐに全滅しないようにッスか。舐められたもんスね。アイツは尾を見せたつもりはないかもしれないッスが、しっかり尾を掴んでるッスからね。今度会ったら引き千切ってやるッスよ!」
「そうね。ギャフンと言わせてあげましょサヤカちゃん」
「えっ?ギャフンッスか?」
「ハハハッギャフンってサオリンちょっと古くないか?サヤカーンにゃ分かんねえよ」
「えっ!?そっそうなの?だってお父さんがいつも言ってたから」
「いえ、私は好きですよ沙織さん。ギャフンと言わせてやりましょう!」
「ギャフンでしゅよ~~」
「アポロも知ってるッスか?じゃあ作戦名は『ギャフン』でいくッスよ。雰囲気的に『ギ』ギッタンギッタンに『ャ』やっつけて、『フン』ふん縛って退治するとかそんな略ッスよね?」
「まあ、あながち間違ってねえな。じゃあそれで行くか作戦名は『ギャフン』だ」
「さあ鎧武者を狐と想定して、ギャフンと言わす作戦を組立てるッスよ」
「そうね頑張りましょサヤカちゃん」