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落とせ!難攻不落の姫路城!!14

「えっ!?本当にあの宮本武蔵が姫路城にいたんですか?」


「はい、そうなんです。ある時妖怪の目撃証言が絶えず、誰もが見張りを嫌がるようになったのですが、その当時正体を隠して足軽として仕えていた武蔵だけは平気で夜の番をしていたそうです。そのことを聞いた家老が武蔵の正体を見破り、武蔵に妖怪退治を命じたのです。しかしここから先は詳しく記録に残っていないのです。どのような妖怪と戦い、どのようにして勝ったのか不明なんです。記録によると武蔵が階を上る度に炎が燃え上がり、そして轟音がしたとあります。武蔵はその度に刀を抜こうとするのですが、妖怪は姿を現さず、その上それ以降なにも起こらなかったと記録されているのです。そしてそのまま天守で一晩ただ過ごしたそうです。あまりに何も起きないため、武蔵が眠ってしまうと、夢の中に祭神である長壁姫が現れ、『あなたに恐れをなして妖怪は逃げ去っていきました。これはお礼です』と刀工 郷義弘ごうよしひろの名刀を授かったそうです。これがざっくりとした宮本武蔵の妖怪退治話です。ちなみにその妖怪の正体は狐とも蛇とも言われています」


「う~ん激しい炎と轟音かあ・・・何があったんだろ?でも武蔵は妖怪退治して神様から刀を貰ったんだ」


「貰ったみたいだが、それが神か妖怪か分からねえらしいぞ。なあアッちゃん」


「あっすみません。そうですね、専門家の方々にとっては重要な事ですよねスミマセン。別の話では妖怪が武蔵に刀をあげることで罪を着せようとしたという話もあるんです」


「観光客に話をするにはどっちでもいい事だしな、細けえこと言ってごめんなアッちゃん。まあ神か妖怪かは置いといて刀は貰ったみたいだな。しかも郷義弘ときたもんだ」


「郷義弘って有名なの?」


「ああ、鎌倉時代の刀工なんだけどよ、サオリンでも正宗っていう刀は知ってるか?」


「ええ聞いた事あるわ。あの妖刀村正と並ぶ刀よね」


「そう、その正宗だ。それで郷義弘ってのは正宗十哲まさむねじってつ、正宗の十名いる高弟の一人だ」


「そうなの!?すごい人じゃない」


「ああそうだ。正宗の高弟というだけあって腕も確かで人気があったんだが、二十七歳で死んじまってな。郷義弘が作ったと言われる刀は数える程しかないんだ。そうなると今と同じでみんなが郷義弘の刀を欲しがって、特に戦国武将に凄い人気が出た。『ごうと化物は見た事が無い』っていう諺が出来たほどだ。へっ、誰が考えたんだか知らねえがピッタリじゃねえか。ただでさえ貴重な刀が、滅多にお目にかかれない化物が持ってたんじゃあそりゃ見る機会がなかったよな」


「スゴイね。天守閣で一晩過ごしただけでそんな貴重な物をくれるなんて気前が良いね。あっ罪を着せる目的があったかも知れないんだっけ・・・」


「いえ、沙織さん。もしかしたら本当にお礼の気持ちで渡したかもしれませんよ」


「えっアリタンどう言う事?」


「武蔵が階を上がる毎に炎が燃え上がり、そして轟音がしたと浅見殿が言いましたが、これは幻術をかける場合の基本とも言える誘導パターンの一つです。沙織さん、アダムさん、アポロさんは、以前にサヤカが私の炎鞭えんべんで全身に火傷を負っている姿を見たと思います。あの時、私は皆さんに炎の鞭をみせ、音を激しく鳴らすことで幻術にかけました。私は武蔵も階を上がるごとに幻術をかけられていたんだと思います」


「そうか!さすがアリタンッス。タダで刀をあげたんじゃない。武蔵に幻術をかけた奴は対価をもらったッス。郷義弘の刀に匹敵するものを武蔵から貰うとすればそれは・・・二天一流」


「か~~っ日本史上最強の一人とうたわれる武蔵の二天一流かよ~。アイツの二刀流は二天一流をさらに長い時間をかけて洗練させたものか。そりゃ俺の銃弾も落とされるか。アリタン、同じ幻術使いとしてさすがだぜ。長年誰にも解けなかった謎をといちまったな」


「本当ね。すごいアリタン!」


「アリタンは天才でしゅ!」


「白百合さんすごい。本当にすごいですよ。この事を歴史家に伝えられないことが本当に残念です。『鎧武者が二天一流を使う事が、炎と轟音が幻術であった証拠です』と伝えても、『疲れてるんだね浅見君』って言われて終わってしまうのが悔しいです。いやっ勘違いしないで下さい。墓の中まで持って行くと誓ったんで、伝わる伝わらないに関わらず言いませんよ」


「みなさんありがとうございます。しかし、多分当主は知っておられたんだと思います。その上で幻術を使える私をよこして謎解きをさせたのだと思います。逆に東九条家がこんな回りくどい情報の出し方しか出来ないことを謝罪します」


「ううん。そんな事ないわ。アリタンありがとう。やっぱりアリタンは頼りになるわ」


「おお、ありがとうございます沙織さん。沙織さんにそう言われるとメチャクチャ嬉しいです」


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