落とせ!難攻不落の姫路城!!13
「いやいや災難でしたな」
市長は会議室を用意し、みんなにお茶を用意する。
「まあな、警察に追われるのはまっぴらだぜ。でも相手の力が知れた事は良かったよ」
「警察の方はご安心下さい。この件については、警察、自衛隊、そして市長の私が連携をとっておりますので、合戦絡みと私から伝えておきましたから無罪放免です。ついでに今晩、姫路城で合戦があることも伝えておきました」
「ありがとよキヨタン。それじゃあ作戦会議の再開といこうかサヤカーン」
「はいッス。それじゃあこの軍師サヤカが仕切らせてもらうッス」
サヤカは意気揚々とホワイトボードの前まで進み出る。
「今回の合戦で一番重要な事は勝つことではないッス。勝利条件を満たすことッス」
「戦うのに勝たなくていいんでしゅか?ごめんなさいでしゅサヤカーン、アポロわからないでしゅ」
「大丈夫ッスよアポロ。侍大将のアポロにも分かり易く説明するッスからね」
「ありがとうでしゅ~」
アポロは白百合のお膝の上で暖かいミルクを飲みながら真剣に聞く。
「まずあの鎧武者は激強ッス。そして本人も負けるなどと毛ほども思っていないッス。みんなもそう感じてるッスよね?」
「ああ、そうだな」
「うん、あれだけ強ければね・・・オーラのコントロールを教えて欲しいくらい」
「私もですよ沙織さん。あんなオーラの嵐のような状況下で、浅見殿だけ無傷にするあんな物を見せられては・・・しばらく立ち上がることが出来ませんでした」
「本当に驚きましたよ。私以外の全てが吹き飛ばされるとか何なんですかあれ?こちらから頼んで来て頂いたのにこんな事を言って本当に申し訳ないですが、あれに勝てるとは・・・それなのにただのサラリーマンの私達を戦わすなんて何の目的があるのか・・・」
「アポロもビックリしたでしゅよ。でもあのお姉しゃん、アポロを優しく壁に運んでくれたでしゅよ」
「えっ!?女なんスかアポロ?」
「そうでしゅよサヤカーン。名前は教えて貰えなかったでしゅけどお姉しゃんでしゅ」
「確かに姫路城の天守閣には長壁神社がありまして、その祭神は長壁姫という女性なんですが・・・あの鎧武者の正体は長壁姫なのでしょうか?」
「いやちょっと待てよアッちゃん。俺もそれは知ってる。だがそれだと納得いかねえ点がある。もし長壁姫が鎧武者の正体ってんなら、宮本武蔵なんかに頼らなくても妖怪なんか自分で退治出来たはずだ」
「アッちゃん。市長に続き私にも可愛いあだ名を付けて頂きありがとうございます。あっ皆さん先程アダムさんが言った事分かりますか?」
「すいません。私あんまり・・・」
沙織が気まずそうに手を挙げる。
「大丈夫ですよ。では説明します。昔、姫路城には妖怪がいたのですが、その当時姫路城にいた剣豪宮本武蔵が退治したのです」