落とせ!難攻不落の姫路城!!⑥
「キヨタン!サオリンとアダムにだけズルイでしゅ。アポロにも名前くだしゃいでしゅ」
「ハハハッこれは某などにキヨタンという可愛い名前を付けて頂きありがたき幸せ!ではアポロさんは、侍大将はいかがですかな?」
「かっこいいでしゅ~侍大将アポロ!強そうでしゅ~。ありがとうでしゅキヨタ~ン」
アポロは清本の顔をペロペロと舐める。
「おおこれはありがたき幸せありがたき幸せ~~!」
沙織は姫路城を落とす前に、二人の精霊を瞬時に落とした市長の精霊たらしの才能に唖然とする。今さっき会った未知の存在とそんなにすぐに仲良くなれるなんて市長スゴイと、沙織の中の市長の評価が、甲冑を着た変態から甲冑を着た変わった人まで上昇した。
「市長!サヤカは軍師でいいッスか?これでもサヤカはガチの天才ッスから!」
「これは頼もしい。サヤカ殿、その年で東九条家から紹介されて来たというだけで実力は疑っておりませぬ。此度の戦では某が軍師の役目を担おうと思っておりましたが、今この眼鏡をかけて某には荷が重いと分かりましたわい。それに某、今は市長などやっておりますが、昔は医師でしてな。戦場を走り回って怪我人を治療する方が性に合っておりますわい。サヤカ殿、此度の戦の軍師、任せましたぞ」
「市長!このサヤカに任せれば、難攻不落の城、不敗の城と呼ばれる姫路城でさえ、砂上の楼閣のように脆くサヤカの前に崩れ去るであろうッス」
サヤカと清本は固く握手をする。
「え~ゴホンッあの市長、私は沙織さんを側で守護する太刀持ちでいいですか?」
「アリタンはこの軍師サヤカがゴブリンキングに任命するッス」
「だれがゴブリンキングだ。そんな役職無いだろクズが!そうだ、私がお前の代わりに軍師をやってやろう。そうだな、お前には肉の楯の役目を与えてやろう。通し矢が好きだったな。大好きな矢をその身体の隅々まで受けて貰おうじゃないか」
「肉の楯なんて役職もないじゃないッスかー!」
「軍師権限で今作りましたー」
「軍師はサヤカッスー!!」
「二人共見事!某、涙で前が見えんわい。わざわざ京都からこの姫路まで来て頂いた上、城攻めを本気で考えておられる。某、実は姫路城を攻め落とすなどという話は馬鹿にされると思っておりました。しかしお二人は、お二人はグスッ、城を攻め落とすのは私だと!我々の誰よりも真剣に考えておられる。ありがたき幸せありがたき幸せ。白百合殿、大将軍の命、お任せしてよろしいか?」
「もちろんお任せ下さい清本殿。この西九条沙織大将軍の太刀持ち白百合アリサ!命にかえても大将軍を守り抜く所存であります」
「おお白百合殿~!!」
「清本殿!!」
二人は固く握手をする。
『あっ流石だわ。市長になる人は違うわ』と沙織は思った。自分の世界に引き込むのが抜群に上手い。この甲冑も自分のフィールドに引き込むために用意したのだろう。沙織の市長に対する評価が、甲冑を着た変わった人から、甲冑を着た有能市長に上昇した。