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落とせ!難攻不落の姫路城!!③


プルルルップルルルッ


「はい、夜な夜な霊が現れて寝られない方の味方、アーサー探偵事務所です」


「ちょっと何言ってるのサヤカちゃん!?」


あわてて自分の机の受話器を取り、通話を遮る沙織。


「サヤカちゃん、変な事言わないで!」


「大丈夫ッスよ沙織さん」


サヤカはディスプレイを指指す。そこには東九条家総本家と出ていた。沙織はホッと胸をなで下ろした後、今の所唯一のお得意様である東九条家の話を聞こうと仕切り直す。


「大変失礼しました。アーサー探偵事務所です」


「あの~夜な夜な女性の生霊が枕元に立って困ってるヨ。怖くて寝れないヨ。サオリン何とかして欲しいヨ」


「もう大家さん!からかわないで下さい」


「ハハハッソーリーソーリーネ サオリン。元気そうでなりよりネ。仕事は順調?」


「まあ・・・アダムがいるから何とかなってます・・・」


「どうしたヨ?何かあった?」


「いや~浮気調査の依頼が何件かあったんですけど、現場を押さえるとなると夜になりますよね。そうなるとサヤカちゃんは未成年だから尾行出来ないんで、アダム、アポロ、私の三人でやる事になるんですけど、アポロは夜寝る習慣が付いちゃってるんで九時には眠たくなっちゃうんでお留守番。だから私とアダムで頑張らなきゃいけないんですけど・・・私の尾行が下手ですぐバレちゃうんです。それでアダムから怒られてばかりで・・・」


「そうだったネ。でも最初は誰でもそうヨ。アダムという最高の指導者がいるんだし、すぐにサオリンは一流の浮気調査探偵になれるヨ」


「いやっそれはちょっと・・・」


「あれ?嫌なの?じゃあ止めることをお勧めするヨ。ミーは浮気調査がサオリン達に合ってるとは思わないからネ。お互い好きで結婚したのに、今は相手の浮気現場を押さえて慰謝料を取れるだけ取ってやろうと変わり果てた奴に付き合うのはツラいでしょ?普通の探偵ならそれは我慢するべきヨ、どんな仕事でも嫌なことなんてあるんだからネ。でもサオリン達は違う。除霊、解呪、霊道移動、結界、妖怪討伐等々、それらの限られた極一部の者にしか出来ない難しい仕事をアーサー探偵事務所なら難なくこなすことが出来る。本当に困っている者達を笑顔に出来る。ミーとしてはアーサー探偵事務所をそれ専門にして欲しいヨ」


「う~んやっぱりそうした方が良いんですかね~?」


「それはみんなと相談するべきヨ」


「そうだぜ。俺はサオリンが嫌なら浮気調査断っていいぜ」


「でももう少ししたらサヤカが調査対象のスマホをハッキング出来るようになるッスからボロい商売になるッスよ。会ってる場所と時間が分かるんだし、二、三時間外で待ってパシャッととるだけで50万、100万頂けるんスからね」


「馬鹿野郎サヤカーン!サオリンに何度危ねえ橋を渡らす気だ!まあお前のやり方が悪いとは言わねえよ。俺も散々同じような事やってきたからな。でも浮気調査ごときで法律を犯すなよ。それにそんな事を何百回もやってるとまず確実に同業者が不審に思って調べ始める」


「ねえねえアダム~写真を撮るのはアポロに任せて欲しいでしゅよ!」


「ダメ~~!九時に寝ちゃうお子ちゃまのアポロには写真は任せられませ~ん」


沙織と大家の会話に、三人が各々の机の電話から割り込んでギャーギャーとケンカを始めた。ケンカをしている相手が目の前にいるのに電話を介してするのは止めて欲しい。しかも今通話中だ!


「うるさーーーーーーーーーーーーい!!!!みんな静かにして!あっ大家さんごめんなさい」


沙織もうっかり受話器に向かって叫んでしまったことを大家に詫びる。


「ハハハハハハッ良いヨ良いヨ 元気があってよろしい!サオリンにはこんなに支えてくれる所員がいるんだからゆっくり考えたら良いヨ。あと霊専門にするなら、こちらから色んな仕事も回すヨ。探偵事務所にピッタリな霊がらみの不審死とかもネ」


「大家さんありがとうございます。これからみんなで事務所の方向性をしっかり考えてみます。それじゃあ失礼します」


「ウンウンそれがいいよ。それじゃあまた―じゃない!ちょっと待ってヨ。ミーの用件が済んでないよ~」


「あっそうだった!すいません大家さん」


「まったくしょうがねえなサオリンはハハハッ」


「それが沙織さんの可愛いところッス」


「サオリン大好きでしゅ~」


沙織は真っ赤になりながら大家の話を聞く。


「それじゃあミーの用件を、ゴホンッ皆さん、難攻不落の姫路城を攻め落としてみませんか?」


「「「ハア?」」」


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