落とせ!難攻不落の姫路城!!②
「優希ちゃんは歴史に詳しい?」
「あっもしかして池田輝政ですか!私、最近お城にはまっていて調べてるんですよ。姫路城を現在の形にしたのは池田輝政らしいですね。実は今回の依頼を聞いて、お城好きの私としても早く解決して貰ってお城と動物園を回りたいなと思っていたんです。輝正がいるなら尚更行きたいです。」
「優希ちゃんお城好きだったのネ。じゃあ早く解決しないとネ。でも残念ながら答えは間違ってるヨ。あの方を語る上で必要なのは近代の歴史よ。優希ちゃん、姫路は太平洋戦争で米軍による空襲を受けてメチャクチャになったのを知ってる?」
「あっその事ですね。空襲で瓦礫の山となった姫路にそびえ立つ姫路城。一番目立つ所にあるのに無傷だった話ですよね」
「うんうん良く知ってるネ」
「でもこの話は二つの説がありますよね。一つ目は、米軍が姫路城への空襲を避けた説。二つ目は奇跡的に当たらなかった説。一つ目の説の検証で、米軍が指示していたという話がありますが、乗組員の話では『おいおい2000から3000メートル付近から爆弾を落とすんだぜ?今みたいに誘導弾じゃない。そのまんまの意味だ。ただ床がパカッと開いて落とすだけだ。それをコントロールして城に落とさないようにしろだって?バカバカしい。出来る訳ないだろ?もし俺にそんなコントロールがあったらメジャーで三振の山を築いているよ』と言っているので一つ目の説は偶然残った事を米軍が美談にしようとしているだけだという説が濃厚で、結局二つ目の奇跡的に当たらなかった説が有力視されています」
「そう、それヨ優希ちゃん。違うのヨその二つの説、どちらも間違っているのヨ」
「当主は答えをご存知なのですか!?」
「あの方が城を守ったのヨ」
「そんな、米軍の空襲を!?一体誰が?」
「それは優希ちゃんの情報アクセスレベルでは教えられないネ。当然この話も一切他言無用ヨ。分かってるよネ?」
当主の目から殺気が迸る。優希はガタガタと震える身体にオーラを巡らせ、震えを強制的に止めて言う。
「当主、舐めないでもらえますか!私はこれでも秘書部の人間です。ここで見たり聞いたりしたことは許可無く上司にすら絶対に言ってはいけないと訓練されています」
当主の目が一気に優しくなる。
「ごめんネ優希ちゃん。許して欲しいよ」
「もちろんです。ここでの会話が日本の安全保障に深く関わっていることを考えれば、当主の今の行動も当然ですから」
「ありがとう優希ちゃん。それじゃあ優希ちゃんに電話をかけて欲しいところがあるよ」
「どこでしょうか?」
「アーサー探偵事務所ヨ」