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ナイトのピッピ 48

山の広場で、香山特製の紅茶を飲みながら休憩しているとアダムが言う。


「マナナ、橋本が恨んでた理由は聞いたかい?」


アダムは香山に尋ねる。


「ええ、聞きました」


香山の顔に暗い影が落ちる。


今の会社は香山が欲しかった。直接香山に当たってみても、「今の会社に満足しています。入社した時はパソコンなんて扱えなかった私に一から教えてくれた社長を、スキルアップ出来たのでサヨナラなんて」と頑として首を縦に振らなかった。


すると次は社長に当たってきた。数年前からその会社の下請けのような状態になっていた社長は香山の引き抜きに渋ったが、これから仕事を今まで以上に沢山回すとまで言われ、ここで断れば、今まで回してくれていた仕事もなくなるかもしれないと、仕方なくその要求をのんだ。


そして社長は香山を呼び出し、「香山さんの才能生かすには大きな会社で仕事をするべきだ。ウチの事は気にするな。引き抜きを受けてさらなるステップアップをするべきだ」と表面上は快く香山を送り出した。


その後、一切仕事が回されなくなった。社長は怒った。しかし・・・


「あんたの所に仕事を回してたのは香山さんを引き抜くためさ。この業界良い人材を引き抜いた会社が生き残る。あんたみたいな零細企業はとっとと引退した方がいいぜ」と言い放った。仕事が減った会社は従業員を雇うことが難しくなり、一人、また一人と人数を減らしていった。そうなると止まらない。従業員の転職ラッシュが始まり、会社は借金だけを残し、倒産してしまった。


社長が途方に暮れて歩いていると、偶然香山を見た。多くの人間に囲まれ、課長と言われ楽しそうにしていた姿を見て、『お前のせいだ!』となったらしい。呪いに使った呪物は、霊媒師をしていた祖母の遺品だった。



「そうか。マナナは何も悪くねえよ。ただ一つ注告しておくと因果応報、今の会社も長くねえと思うぜ。転職をお勧めする」


「ありがとうアダム。じゃあ私の決断は間違ってなかったわね。あのね、私、東九条家に転職が決まったの」


「「「「エーーーッ」」」」


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