ナイトのピッピ 29
「アポロ、ピッピ!全力を出せ!」
「了解でしゅ」
アポロは、アダムの合図を聞いて、壁紙剥がしを敢行しようとしていたのを止め、木々を蹴り回転しながら降りていく。
アポロが落ちてくるのを待ち構えていた呪霊達は、突然のアポロの行動の変化に戸惑う。そうしている間にアポロが木々を蹴りながら落下してくる。
「こうでしゅかね?いやアポロの撹拌はもっと速いはずでしゅ。もっと、もっと・・・」
アポロは気づいていないが、それはアポロが以前、布団に入ってまで震えていた絵本の中のトラの行動と同じだ。
ホットケーキと言う事でアポロの気を逸らすアダムの戦略がここにも生きていた。
そして高速回転を続けるアポロが通った後には、バターのような濃密なオーラが充満していき、円の中にいた呪霊達は、圧迫され押し潰されていく。そしてアポロが地面についた時には、円の中央に呪いの残滓が残っているだけだった。
アポロは今までいた呪霊達はどこにいったのか?不思議に思ったが、考えてもアポロには分からなそうだったので、教えて貰おうとアダムの元に駆けていった。
呪いの本体が展開していた左翼の呪霊達は全滅した。