ナイトのピッピ 27
「―サヤカの名において命じる。呪いよ退け」
サヤカは、白百合から教えて貰った、今サヤカが行使できる最高の結界術を唱える。
沙織はサヤカが結界を張っている前で、舞踏を舞うように鎧武者達を倒していく。鎧武者達が砕け、その欠片が沙織の周囲を雪のように舞う。
沙織の流れる様な動きを見て、サヤカは結界を張っている最中にも関わらずその美しさに心を奪われていた
「今、アリタンの言ってたことも、東九条家のみんなが西九条様と呼ぶ理由もわかったっす。山田師匠がお世辞にも教え方が上手いと言えない沙織さんを最高の指導者って言った意味も分ったッス。沙織さんの動きに魅了される。強制的と言っていいほどに。力の開きが天と地ほどあるのが分っているのに、ああなりたいと追いかけてしまう。何つ〜スパルタな指導員ッスか」
呪いの本体は焦る。
「クソッあの女~!やはり強い。犬は別として、トラと鳥を削り殺してから勝負をかけたいが・・・さらに仲間が増える可能性を考えるとやむを得ん。一気に勝負をつける。トラと鳥に割いている呪いをを少し割いて、あの女にぶつける。霊や呪いには強いみたいだがこれならどうだ?クククッ」
沙織達のいる所より、後方100メートル。
大量の呪いの力により、木が何本も人知れずへし折れる。木は倒れることなく浮き上がると、香山がいる車目がけて猛スピードで飛んでいく。
「人間にこれが止められるか?調子に乗ってんじゃねえよ。潰れちまえーー!」