ナイトのピッピ 26
アダムはさらに増えた呪いにも対応していた。鎧武者の軍団には地雷、手榴弾、マシンガンで悉く蹴散らし、空の敵には火炎放射器とショットガンで仕留めていた。
だが、アポロとピッピは違う。
アポロは、壁紙剥がしを発動する時、上空から地面に落下するときには無類の強さを誇ったが、発動直後を狙われ、少しずつだがダメージを与えられていた。
ピッピも呪い達の、俺がやられても誰かがこの鳥を仕留めればそれでいいという戦法により、少しずつ翼にダメージを蓄積していく。
そんな状況を戦いながらアダムは冷静に観察し、二人に伝える。
「ピッピ聞こえるか?」
「ピッ!?アダム?どこピッピ?」
ピッピは呪いを避けながらアダムを探す。
「俺は今、お前に付けた発信器から語りかけている。聞こえているなら良い、聞け。ピッピ、お前の今の状況は少し劣勢だな。それは俺が、押されている感を出せと言ったからじゃねえな。だがそれでいい。俺の方でもう少し呪いを引きつけるからそのままでいろ。
ただピッピ、お前は自分の能力を使いこなせていない。信じていない。まずお前のステルス能力、結界を通り抜ける力をもっと高めればこんなレベルの低い呪いなんか、お前に触れることなんか出来やしないんだ。それと時速200キロを超える速度で飛べるお前の翼が巻き起こす風、それは精霊になったお前の強力な武器だ。
生前からの武器、嘴、爪に頼るのもわかるが、吹き飛ばしてやれ。お前の大事な者に手を出す愚か者などズタズタにしてやれ」
「了解ッピ。ありがとうッピ!アダム」
アダムはピッピとの通信を終えると、すぐにアポロに呼びかける。
「アポロ、聞こえるか?」
「きっ聞こえてましゅよアダム」
「お前もピッピと同じく劣勢だな。辛いかもしれねえがそのままでいてくれ。お前に群がる呪いも俺が少し受け持ってやる。ただ余裕が出来たとしても本体は攻撃するな。襲ってくる呪いで精一杯という雰囲気をだせ。
それとアポロ、お前の攻撃は直線的過ぎるんだ。いくら壁紙剥がしが強力でも、単純な上下移動だけでは呪いもそれに気づいて技発動後のスキをついてきている。お前がツチグモと戦っていた時には、超スピードで落下するとともに超スピードで横移動もしていた。
ただ今回は横移動だけを試して見ろ。周りに沢山ある木を蹴飛ばし、周りながら敵を蹴散らせ。お前がホットケーキの粉を撹拌するようにな。俺がその技をアポロミキサーと名付けてやろう」
「カッコイイでしゅー。やってみるでしゅ。ありがとうでしゅアダム」
「良いってことよ。ただ、やるのは俺が合図をしてからだぞ」
「了解でしゅ」
攻撃陣の戦いはさらに激しさを増していった。