ナイトのピッピ 24
「別に驚くことじゃねえよ。まず一つ目、サオリンメインによるごり押し。二つ目、俺メインのごり押し。ただこの二つは、巨大呪霊が、呪いをかけた者の呪殺対象、マナナを殺すことが無理と分かった瞬間、呪いをかけた者、橋本って言ったか?そいつに還ってくる。
つまり、巨大呪霊は橋本を殺そうとする。ところが今、橋本は呪いに取り込まれているから、巨大呪霊がそれに切り替えた瞬間、橋本は即死だ。助ける暇なんかねえ。そうなる前に瞬殺するしかねえが、まあ橋本が無事助かる可能性は50~60%ってとこだな。
そこで三つ目だ。この作戦は探偵団とピッピ全員の力が要る。そして重要なのはサオリンが本気を出さないことだ。正確に言うと俺が合図をするまで精霊化はするな。精霊化しただけで、巨大呪霊は無理と判断して橋本を殺すかもしれねえ」
「わかったわ」
「ヘッ今から、生身の身体に大量の呪霊が襲ってくるっていうのに顔色一つ変えねえなんてな。ホットパンツは要らなかったか?」
「いいえ、アンタが私の心配をしてくれたこと、すっごく嬉しいわ♪」
沙織とアダムは微笑む。お互いを信頼していると言うように拳をコツンッと合わせる。
その姿をサヤカが羨ましそうに見ている。サヤカも拳を出そうとしたが遠い、あまりにも二人までの距離が遠い。強引に拳を出せば二人はタッチしてくれるだろう。でもそれじゃ駄目だ。二人のように自然にタッチ出来るようになるんだ。車酔いなど吹き飛んだ。サヤカは、この戦いに全神経を集中していく。
「アーサー探偵団、ピッピ、良く聞け!攻撃は今まで通り、ピッピとアポロと俺でやる。ただ削り過ぎるな、押されている感を出せ。そうすれば、アイツは必ずマナナを狙って大技を仕掛けてくる。あいつはマナナさえ殺せればいいんだからな。狙いはそこだ。
ピッピ、我慢しろよ。サオリンとサヤカーンが必ずマナナを守るからな。その後、必ず核の防御にスキが出来る。今度はその出来たスキに俺達が全力で呪いの核までの道を作る。その時に・・・」
アダムが沙織に微笑む。
「分かった。アレだね。任せて」
「アポロがいる限り、誰も死なせるつもりはないでしゅ!」
「了解したッピ。サオリン、サヤカーン宜しくッピ」
「ピッピ安心するッスよ。この魔王サヤカに呪いで勝とうなんて、クックックッ土の中でおねんねしてた方が良かったと後悔させてやるッス」
「よし!アポロ、ピッピいくぞ!」