表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/292

ナイトのピッピ ⑰

「えっ!?」


「今日、呪いは、乗っ取った者の魂を食い尽くして香山さんに強力な呪いをかけてくるッス。アダムは、時間がないって言ってたッスよね。アダムは呪いをかけた奴を、呪いから解放する事で、香山さんに対して魂を対価に放たれる強力な呪いを防ごうとしてるッス。そしてそいつの命も救おうとしてるッスよ」


「だっ大丈夫なんですか?間に合うんですか?」


香山は自分の命の危うさを心底実感する。そんな香山にサヤカはニッコリ笑い、自信を持って伝える。


「大丈夫ッスよ。例え、その呪いが香山さんを襲ってきても、沙織さんがいるッスから」


香山は運転している沙織を見る。今まであまり活躍せず、ホットパンツ姿で窓をぶち壊す姿しか見てなかったので『本当に?』という顔をしている。沙織はルームミラーでそれを確認し、『ですよねー』という複雑な顔をしている。


「香山さん、東九条家で言われましたよね。ここより良いところを探すのは難しいって。それはですね、沙織さん、アダム、アポロの事を指してるんですよ。香山さんはサヤカの事を、凄いって言ってくれましたが、私なんて沙織さんの足下にも及ばないッス。何を言ってるんだと思うかもしれないッスけど、サヤカは本気を出した沙織さんの横にも立てないッスからね。今回の呪いも沙織さんにかかれば朝飯前ッスよ」


香山はまた思う。この事務所は何なのと。昼間パフェをニコニコ笑いながら一緒に食べたカワイイ女の子が、あの東九条家からそれ程までの評価を得ているとはとても信じられなかった。でも、そのお墨付きが香山を安心させ、恐怖に怯えた顔から、ホッとした表情に変える。


「さて、それじゃあ次は、香山さんがメチャクチャ知りたいはずのピッピについて話をするッス。ミミズクのピッピッスけど、始め全く正体が分からなかったッス。でもアダムとアポロがあの日、確かに屋上への出入り口の所まで確実に追い詰め、さらにサヤカが屋上をすり抜けられないように結界符を貼ったのに、どういう訳か煙のように消えてしまったッス。


最初、結界符を、サヤカが作った符、アダムやアポロみたいな強い精霊なら難なく突破出来る効果の弱い符を貼ったんじゃないかって思ったんスけど、二人が結界を突破出来なかったことから、その線は消えたッス。


アダムが悩んでいる時に、その符を作った沙織さんが、こう言ったらしいんス。『オーラが上手く入っていかない』って。でもアダムは芸術的なまでにオーラを操る沙織さんの術を喰らったりしてるから、サオリンに限ってそんな事はないって思ったッスけど、思い出したッス。この符はコピー用紙で作ったんだって。


東九条家で売る符は、和紙で作られているッス。その製法は秘匿ひとくされているッスが、植物の繊維を生かして作られているッス。そして符術士はその繊維に水の代わりに、オーラを与え、符に命を与えるようにして作るって言われてるッス。一流の符術士の作る符は、まるで意思があるかのように符術士の意のままに動くらしいッスよ。


でも、今回サヤカが用意したのはコピー用紙だったッス。繊維なんかズタズタッス。だから何も考えていなかったサヤカは符をササッと作れたッスが、ちゃんと繊維にオーラを流し込む正しい方法で作ろうとした沙織さんには、符を作る事が凄く難しく感じたッス。サヤカの符は道真様が浄化してくれた紙だったから、曲がりなりにも使えただけッス」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ